「ビッチなシンデレラ。面白くて、切ない!」ANORA アノーラ ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
ビッチなシンデレラ。面白くて、切ない!
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ショーン・ベイカーは負け犬を描かせたら天下一品だな。
●ヒロインをあくまで売女として描いたのがいい。自分本意で身勝手で欲深な女。性的表現も妥協なく、シンデレラの要素はカケラもない。だからこそ自分を嘆くラストが胸打つ。
●登場人物、全員が自分本位な言動ばかりで笑える。ちょっとお前らだまれよ、一斉にしゃべるな!…なノリ。現実世界であるある、こんなシチュエーションあるって。
●自分本位なのに後ろめたくてちょっと優しい。それも人物たちがリアルで豊かに感じる。
ありがちなのは娼婦を銃で始末するみたいな展開はなく、攻めた後、ちょっと悪かったなぁって感じがいい。
●雪がいい。やたら寒い寒いと連呼してマフラーのための伏線かと思ったら、窓辺に立つと雪。ゾクッときた。
●雪の車内。ばあちゃんの車。最後に情感が盛り上がる。
●最後の涙。シンデレラになれなかった。なれないんだと思ったら、本当に切なくなった。
そして悪態ばっかりついていたアノーラがどういう人だったか初めてわかるのだ。
このラストに痺れた!
笑った、ハラハラした、そして泣かされた。
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