劇場公開日 2025年2月28日

「性欲と金銭欲の果てにあるものは」ANORA アノーラ ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0性欲と金銭欲の果てにあるものは

2025年3月5日
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鑑賞方法:映画館

萌える

雪が降るなか、とことこ歩いて映画館へ。アカデミー賞取ったんだから観とかないとね。そして感想文です。
アノーラの富への欲望とイヴァンの性欲が見事に一致し、それが恋愛に発展した。それはそれで偽りではない。そしてイヴァンがアメリカの市民権を欲することと相俟って結婚へと急展開。
若い2人は欲望のままに激しいSEXを繰り返す。そしてらんちきparty。もちろんこんな経験はないけど、心象風景として若い頃を思い出す。
しかしそんな愛情も長続きをするわけもなく、イヴァンの両親であるロシアの大富豪の登場でThe End。当たり前すぎる結末を迎える。恋愛というのは波がある。その二人の波長がばっちり合えば二人にとってその恋愛は映画(小説)のようなロマンチックな状況にもなる。しかし掛け違いが起こると苦しみや喧嘩、そして坂道を転げ落ちるような結末を迎えることもある。その繰り返しだ。そんなもんだ。
性に溺れるバカ息子イヴァンも性風俗で働く尻軽なアノーラも、批判する気には到底なれない。そしてあの嫌みったらしいロシアの大富豪も彼らからすれば当たり前の行動だ。あの程度の横槍で止めてしまえる恋愛なんて長続きをするわけないからね。
そして見事なラストシーン。最後のアノーラの心の痛みはよく分かる。あれは本当に切ない。がんばれアノーラです。
全部わかってしまう、そして認めてしまえる僕は年をとりすぎたのかな。いや、映画監督の手腕というやつだろう。だってこの映画に出てくる人達、誰も憎めないんだから。

ゆみあり