「いつもは満点なのに」ANORA アノーラ 越後屋さんの映画レビュー(感想・評価)
いつもは満点なのに
タンジェリン以来「この人が撮ったなら無条件で観る」監督なので、オスカー獲得は全くご同慶の至りではありますが、いつものベイカー節は若干不足気味と感じました。
ドラッグ、同性愛、移民など貧困層の悲哀をカラッと描くのがこの人の真骨頂で今回も定番の移民を扱ってはいるものの、室内場面が多くてスラムなどの屋外描写が殆どないので、いつもの「アメリカの現実」感が希薄な印象です。
全体的には前半がやや冗長、後半はドタバタ気味ってとこでしょうか。
尤も、アイリッシュ、イタリア、ユダヤ、ポーランドなど国籍ごとの移民に対する明確なイメージを持ち得ない他国人には直感的な理解は無理、とするのが本当のところでしょう。
とはいえ個人的には「ベイカー・メーター」は期待の水準は十分満たしています。
ただ、これがオスカー、すなわち2024年を代表するアメリカ映画なのか?という疑問も残りますし、2000年代以降のオスカーはどんどん三大映画祭に近付いていますね。
面白いから観てみなよ、ってオススメできる作品かどうかは微妙ですし、どこが面白いの?って感想を持つ人がいても不思議はありません。
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