「静かに心に響くエンドロール」ANORA アノーラ momokichiさんの映画レビュー(感想・評価)
静かに心に響くエンドロール
享楽に興じるだけの映像に食傷気味になってきたところから、中盤はガラッとモードチェンジ!イヴァンを探す4人のドタバタが超楽しい!これ中盤から別物の映画やん(笑
アニーは決して大金持ちになりたかったわけではない。(少しはあるけれど)
本当に大金が目当てなら、離婚にももっと抵抗しただろうし、イヴァンの母親に啖呵きったように裁判でも起こしたはずだが、それをせずに去った。お高そうなミンク(じゃなかったか)のコートも投げつけて。
欲しかったのは下記のような「ささやかな幸せ」なんだと思う。
・普通に心から求婚され、可愛い奥さんになる
・普通に家族の一員になる
・自分の尊厳を認めてもらう
・線路沿いのアパートのルームシェアからは抜け出す
娼婦のような呼び方にはしっかり抗議し、
嫌われているとは思いながらもイヴァンの母親に丁寧に挨拶して握手を求める。(なんてアサーティブな姿勢)
「結婚は無効よ」という聞く耳をもたないイヴァンの母に法的な根拠と対応を毅然と突きつける。(むしろ大金持ちのイヴァンの母の方が非合理な苦しい抵抗に。)
極めつけは「イヴァンはそんな母親が嫌いなのよ。だから母親が嫌がるような私と結婚したのよ。そんなこともわからないの?」と核心を突く捨て台詞を吐いて去る。
なんて賢くてかっこいい。
でも体つきは華奢で折れそうな女の子なのだ。
車の中でイゴールにまたがりながら、思わず泣くシーン。やっと泣けた。。
雨の中で車のワイパー音だけが聞こえてくる。そこから無音のエンドロールへ。
至極のエンディング。
アニーがイヴァンの家でガルニクとイゴールとドタバタするシーン。私の愛娘の暴れようとそっくりで笑った。(噛みつくところとか、、、。)
どこか重ね合わせて観ていたからか、幸せになって欲しいと切に願う。
※イゴールが親友に似てて笑った。優しく、格闘技が強い。そしてどこかホモッぽい(笑
※上流階級や金持ちに翻弄される悔しさ。。
※イヴァンがアニーや友人たちと遊び暮らすシーン。不思議と誰も心底楽しそうじゃない。
※ラストシーン。イゴールの上で単に行為をして終わるんじゃなくてホッ。だってそれやったらもう猿よ。笑
※大金持ちのくせに、手切れ金がたった1万ドルかよ。最低その10倍はだせよ。
※前半・中盤・後半でこうもテイストが変わるのをどう評価するか。五月雨でまとまりがない映画ともいえる。そんな小っちゃなこと気にすんな、エモーショナルに作ったらいいんだよ、ともいえる。ふむ。
コメントありがとうございます。
サイドガラスにくっつく雪で外が次第に見えなくなり、聞こえるのわワイパーの音だけ、そこからの無音のエンドロール、これ凄く良かったですよね。
アニーが強く反発した理由はmomokichiさんがレビューされているとおりなのでしょうね。
コメントありがとうございます。ラストの車の中のシーンは私にはそう見えた・思っただけです。でもそうでなければ、彼女の初めての「泣く」は出てこないと思ったので。自分も一緒に泣きました
今晩は。温かきコメント有難うございます。
今作は、ショーン・ベイカーならではの視点で描かれたテイストとしては「フロリダ・プロジェクト」に似た作品だな、と思いましたね。では。
共感とコメントありがとうございました。
あのラストシーンで、評価爆上がりしてしまいました。効果的に音楽を使った映画なのに、ラストはあれって凄いですよね。
私も、え、金持ちのくせに手切れ金それっぽっち?!と思いました。彼女をとことん馬鹿にしてたのか。。
外は雪で、温かい車の中、温かいイゴールとふたり。
彼女の心もちょっと溶けて、声上げて泣いちゃったのではないでしょうか。いいラストでしたよね。