「映画史上に残るバカ息子」ANORA アノーラ bionさんの映画レビュー(感想・評価)
映画史上に残るバカ息子
全く予想外の方向にストーリーが進んでいく。戸惑う間もなく、笑いを堪えきれないハプニングの連続。当人たちが120%本気だからこそ巻き起こるドジの数々。アニーとイゴールのやりとりだけで爆笑につぐ爆笑、一体何の作品を観ているのかわからなくなるほど。
「プリティ・ウーマン」 のような展開を予想していたが、早々に怪しげな雰囲気に。アニーの結婚相手イヴァンは、絵に描いたような金持ちのバカ息子。自分の金と親の金の区別もつかず、ドラッグもやりたい放題。それなのに、両親が来ると聞くとビビりまくる。
ショーン・ベイカーの前作 『レッド・ロケット』 も笑えたが、共感できる登場人物はいなかった。しかし、今回は違う。コワモテなのに雇い主であるイヴァンの両親には涙ぐましいほど忠誠を尽くすトロスやガルニク。高倉健ばりの男らしさを気取るイゴール。人間味があふれ、表情を隠そうともしない彼らの振る舞いは、微笑ましくすらある。
実際は超迷惑なんだけど。
風俗業界で生きる人々を描き続けるショーン・ベイカー監督。今回は特大ホームラン。
笑い疲れ、物語を振り返るタイミングで、心の叫びが聞こえてくる。
泣けるなぁ。
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talismanさんのコメント
2025年3月2日
bionさん、アカデミー情報ありがとうございます!アノーラで助演男優賞は「映画史上に残るバカ息子」演じた彼、でなくて「高倉健」ばりのイゴール役のユーリーですよね!!