劇場公開日 2025年2月28日

「祝!オスカー5冠 コメディはそこそこ面白いが・・・」ANORA アノーラ 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0祝!オスカー5冠 コメディはそこそこ面白いが・・・

2025年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

日本時間の今朝方発表された米国アカデミー賞で、作品賞はじめ主演女優賞、監督賞など5冠に輝いた本作。先週末に鑑賞していた本作の感想をまとめておきたいと思います。

主演女優賞を受賞したマイキー・マディソン演ずるアニー(アノーラ)は、ストリップダンサー。ストリップと言っても、日本のストリップ劇場のようにダンサーが舞台上で観客全員に向けて踊るのとはちょっと趣を異にしていて、アメリカのストリップは客に対する個別サービスを行うお店のようでしたが、そんな店に遊びに来たのがロシアの大富豪(オリガルヒ?)の御曹司というかドラ息子であるイヴァン(マーク・エイデルシュテイン)。アニーを気に入ったイヴァンは、彼女を1週間1万5千ドルで貸し切り、さらにはアメリカの永住ビザを取得するために彼女と結婚することに。ここまでの前半部分はアニーの”シンデレラストーリー”ということになりましたが、イヴァンの両親が本件知るに至ると事態は一変。後半部分は取り巻きの用心棒みたいなのが押しかけてきて、彼らの結婚の無効を主張してドタバタが始めるという流れのお話でした。

アニーとイヴァンの馴れ初めを描いた前半は、ストリップダンスシーンやセックスシーンが満載で、かつアップテンポな音楽を背景に明るい物語として描いていましたが、用心棒が登場してからは明るい音楽が封印され、バイオレンスシーンが満載。かなり色調が変わってしまい驚きましたが、よくよく冷静に見てみると、本作はコメディなんだと認識出来、そうして見ると後半部分こそそこそこ笑える物語でした。

ただ、アニーとイヴァンの結婚を無効にしようと送られた用心棒の1人であるイゴール(ユーリー・ボリソフ)の態度が、徐々にアニーに同情的になり、最終的になるようになった流れは、ちょっと予定調和だったかなと思われました。まあ落ち着くべきところに落ち着いたので悪くはないんですが。あと、イゴールを演じたユーリー・ボリソフが、何処かで見たことがあるなと思っていたのですが、「コンパートメントNO.6」に出て来た俳優でした。この時も無口で不器用で強面ながらも優しさを秘めたロシア人を演じており、アニーのマイキー・マディソン同様に、ハマり役だったと感じました。

そんな訳で、R18+指定でストリップやセックスシーン満載で、コメディもそこそこ面白かったものの、話の本筋が今ひとつであったことから、本作の評価は★4.2とします。

鶏