「Yellow」バード ここから羽ばたく ブレミンガーさんの映画レビュー(感想・評価)
Yellow
日本の貧困事情とはまた異なるイギリスの貧困事情が描かれており、そんな中で暮らす少女をはじめとした周りの人物、そして突然現れたバードという男との交流がメインストーリーになっており、個人的には全体的なやかましさがマイナスにはなってしまいましたが、刺さる人にはしっかり刺さるんだろうなと思いました。
子供たちは学校に行かず、大人たちは働かず、という不思議な環境下で暮らす登場人物たちのありのままが描かれており、早い段階での出産や育児なんかもあったりと、非日常がこれでもかってくらい味わえます。
父親がどう転がしてもダメクソ親父で、時折お前のこと分かってるで?という優しげな顔を見せたりもするんですが、それを覆い隠すようなカスみたいな行動ばかりなので、そこへの嫌悪感が最後まで拭えず、なんか良い感じにまとめたラストも個人的には綺麗事にしすぎだろう…と怪訝な表情で観終える事になりました。
父親のセリフも個人的にはクソさを加速させるものになっており、決してコイツを善として扱っちゃダメだろうというモヤモヤが増しました。
バードとの出会いからグッとストーリーは動き出すんですが、ツギハギのようにストーリーが進んでいき、基本的に誰かしらが怒っているのでハチャメチャですし気分は良くないといった作りなのでモヤモヤします。
その点マイペースに歩いてくれるバードの存在がどんどん有難くなっていきました。
バードが名の通りの姿に変化する感じは「動物界」を思い出させるようなシーンでしたが、あちらの作品ほどカタルシスを感じるものでは無かったです。
ファンタジーさも序盤から中盤にかけて地に足ついたドロドロさを見せていたので悪い方にギャップが働いているようでした。
周りでの出来事を眺め体験していくという成長物語のはずではあるんですが、主人公含め成長を感じさせる要素も弱かったかなーと思いました。
暴力描写もガンガン映されるので苦手な方は要注意です。
作品内で流れる音楽は抜群に素晴らしく、監督の選曲の良さが光り輝いていました。
Coldplayの「Yellow」を全員で歌いながらドラッグカエルの体液を呼び起こすとかいう化学反応起きまくりのシーンは印象的でした。
カメラワークは良く言えば個性全開、悪く言えば見辛くてしゃーないものになっていました。
ざらついた映像やiPhone視点だったりと色々やってるんですが、観やすさなんて二の次と言わんばかりのグワングワンしたカメラワークなのでちと不親切だなぁと思ってしまいました。
まぁ好みでは無かったですが、要所要所に良い意味で気になるところはあったので、監督の次回作以降でまたどうなるのかというところは気になります。
鑑賞日 9/10
鑑賞時間 15:35〜17:35
