「ぼくは進歩できているか」ロイヤルホテル La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
ぼくは進歩できているか
カナダからオーストラリアに旅行に来た二人の女性がお金が無くなって働く事になったのは荒野の採掘場の酒場。高圧的な店主とマッチョな男性客達から女性であるが故に蒙る様々な抑圧というお話です。
「酒場の女なんだからそれ位サービスするのは当たり前だろ」
「冗談だよ。チェッ、洒落の分からない女だな」
本作中でのこうした場面は、古今東西の映画でも酒場風景として繰り返し描かれてきたのではないでしょうか。いや、今の日本にだって現実にあるに違いありません。でも、それを女性視点で女性監督が撮ると、こんなにも心を抉られる映像になるのです。男性の僕の眼から見ても目を背けたくなります。しかし、こうして見せて貰わねば気付く事が出来ないほどに僕自身も男社会の中でのうのうと生きて来たと言う事なのです。そういう意味では、映画を通じて僕も世界も少しずつでも進歩しているのでしょうか。
そして驚くのは、これが現実にあった出来事で、それをドキュメンタリーとして撮った作品が原作となっているという点です。やっぱり、世界は中々進歩できないのでしょうか。
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