「欲望ダダ漏れの酔っぱらいたちを見るのがツラい」ロイヤルホテル kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
欲望ダダ漏れの酔っぱらいたちを見るのがツラい
酔うと人が変わる人は飲みの席で嫌われる。とにかく面倒くさいから当然だ。女性に対して口説いたりセクハラまがいのことをする男性は特に嫌われる。今後の付き合いを考えてしまうほどに。そして欧米の男の飲み方も個人的には少々面倒くさい印象だ。飲む量がハンパじゃないし、周りを巻き込んでいく感じもあまり好きではない。
だから、本作に登場する酔っ払いたちは相当に嫌な存在。下品なジョークでからかって、あわよくばヤリたいって欲望がダダ漏れしてる。絶対に一緒に飲みたくない。そんな客たちを相手にカナダからの旅行者であるハンナとリブがどう立ち回るのかってことが見どころ。でも、そもそもあの下品なジョークに付き合わなければならないってだけで地獄のような店だ。あぁ、でも日本のキャバクラやスナックでも程度は違えど似たようなことは行われている。あの土地だからということではない。世界共通のことなんだろう。女性の気持ちは本当にはわからないが、ヤリたい気持ちがダダ漏れの酔っぱらいに絡まれるウザさったら相当にキツい気がする。男の私がそんな印象を持ったくらいだから、この映画の目的は果たしていると言える。相当に気持ち悪かった。
でも、2人の態度はどうなんだろう。そもそもリブは自分のせいで遠くまで来て働かなきゃいけなくなったことを気にしていないし、酔っ払いたちの態度にも、盛り上がるの大好き!とばかりに寛容だったりする。一方、ハンナは少し常識的だと思っていたが、徐々に慣れてきたら危ないところまで許したりする。でも、ふと思い出す。そういえば序盤に見知らぬ男とキスしてたのはハンナだったな。堅物に見せてたけど、騙されるところだった!
ホラー的な要素も少しあったが、そこは緩めの解決で終わる。思い返せば、あの店閉めたわけじゃないから!ただの犯罪行為だろ!と思うものの、2人の意外な行動で幕切れするのはなかなか爽快だった。不思議な映画だ。