フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンのレビュー・感想・評価
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陰謀論をイジってぶっ飛ばす
アポロは月に行っていない、という俗説を逆手に取ったライトなコメディ。アポロ計画はもちろん実際に月に行くプロジェクトとして描かれるが(NASAの協力も得ているので当たり前)、万が一の時のために月面着陸のフェイク映像を準備しておこうかというフィクションを挟んで、陰謀論を笑いのネタに仕立てている。
政府関係者であるモーは何故、フェイク映像なんてものを作ろうと画策したのか。
スプートニク・ショックをもたらしたソ連に対抗しようと国力誇示に躍起になったアメリカ、1961年のケネディ大統領の宣言(「この60年代が終わるまでに人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる」)、その後のアポロ1号の悲劇。泥沼のベトナム戦争への反感からくる国民の国への不信感。そんな時代の空気の中で、アポロ11号の月面着陸はまさに、絶対に負けられない闘いだった。
こうしてリアルな事情を振り返ってみると、そりゃフェイク映像の準備くらいはしておきたくなるわなあなんて、妙にモーの動機が生々しく見えてきたりする。それが図らずも陰謀論の育つ土壌になった。
そんな生々しさとのバランスを取るためか、物語のリアリティラインは低めだ。
ケリーはやり手と言うよりも、偽名で活動する詐欺師に片足突っ込んだような怪しげなやり口のマーケター。そんな彼女をNASAの中枢に入れて極秘任務に関わらせるところや、アポロに搭載するカメラを改造する部品調達のために、発射直前に電機店に侵入するくだりなどは、「フェイク映像制作の部分は全くのフィクションなんですよ」と強調するかのようなちょっとありえない展開だ。
こういう遊んだ展開のところでもうちょっと大笑いしたかったのだが、どかんと笑える場面はあまりなかった。
それと、ケリーとコールのラブストーリーもちょっと大味で、あまり刺さってこなかった。ケリーは嘘を操る人間なので(モーがケリーの弱みを握ったというのがフェイク協力のきっかけだったから、話の流れ上仕方ないのだが)、最後に改心仕草をされてもちょっとだけ眉唾になってしまうんだよなあ……でもまあ、そんなに生真面目に考えるような映画じゃないか……美男美女がくっついたからそれでよし。
モーを演じたウッディ・ハレルソンがよかった。怪しくて、軽やかで明るくて。ガタイのいいチャニング・テイタムとスタイル抜群なスカーレット・ヨハンソンのアメリカン・カップルぶりはなかなかの迫力だった。
キーパーソンならぬキーアニマルとして登場した黒猫は楽しかったし、アポロ11号打ち上げにまつわる映像の臨場感は見応えがあった。
不吉な黒猫シーンは場面に応じ3匹の猫を使って、CGなしで撮影したそうだ。クライマックスで、月面セットでの撮影を荒らしまくるシーンを演じたヒッコリーという猫ちゃんはなかなかの芸達者。もっとアップで見たかった。
格納庫から発射台に運ばれるロケットの姿や打ち上げの瞬間は、その迫力に引き込まれた。テレビ中継の画面など、当時の実際の映像を織り交ぜていたように見えた。パンフレットには、アーカイブ映像を組み込んだとの記述がある。
NASAの協力を受ける過程で、アポロ計画時代の膨大な未公開映像にアクセスできたそうだ。リアル映像の説得力もあいまってか、打ち上げの瞬間や空高く飛んでゆくロケットを見守る管制室の様子などから、当時の現地の人々の気持ちが伝わってくるようで、なんだかわくわくした。
ところで、フェイク映像制作のくだりで名前があがったキューブリックだが、「ムーweb」の記事によると(あの「ムー」です)、2002年にフランスで製作されたモキュメンタリー「ダークサイド・オブ・ザ・ムーン」において、彼がCIAに協力して月面着陸のフェイク映像を制作したという説が提唱されて以来、彼の名前は20年以上「月面着陸の事実はなかった」陰謀論と表裏一体のような形で認識されてきたそうだ。
映画「シャイニング」を検証するという主旨の2012年のドキュメンタリー「ルーム237」でもその説に触れる箇所があり、娘のビビアン・キューブリックが陰謀論についてSNSで「グロテスクな嘘」と声明を出すにいたっている。
「2001年宇宙の旅」の完成度の高さから湧いたであろうこういったキューブリックの「疑惑」も、本作はネタに昇華させた。
映画制作サイドはこのように陰謀論を笑い飛ばすが、全面協力したNASAは結構真面目に俗説の完全な火消しを狙っていたかもしれないと想像したりする。
フェイク映像放送を画策したとしてもおかしくないほどアポロ計画は困難なミッションであり、だからこそそれを実現した当時の関係者へのNASAのリスペクトが半端ないことは間違いないからだ。
ウェルメイドの魅力と限界。
月面着陸の陰謀論を肴に、オールドファッションなラブコメを絡めた「はたらくひとたち」への讃歌を描く。なんとも魅力的な企画だし、一定のラインはキープできていると思う。ただ、キャラクターが弾けていないというか、予定調和を超えてくるほどの魅力を引き出せていない。それが脚本なのか、演出なのか、演技のせいなのかは判別がつかないところはあるが、政府の裏仕事を請け負うフィクサーを演じたウディ・ハレルソンの愛嬌と強さが入り混じった演技を観る限り、俳優のせいではないのではないか。ウェルメイドを目指しているにしても、進取の気性や枠からはみだす冒険心があってこそウェルメイドは光るのだと思っていて、カタルシスは感じつつも物足りなさはある、しかし、制作陣が陰謀論を扱っているせいでNASAの協力は得られないかも、と思っていたら、脚本を読んだNASAが大いに気に入ってくれた、という宣伝資料にあった裏話は、とてもいい話だと思う。
アメリカの威信
大胆かつ斬新な物語だった。
「月面での第一歩は捏造である」
そんな都市伝説?陰謀論?を真っ向からネタにした作品で、その成り立ちも含めて楽しめる稀有な作品だと思われる。
作中では月面のフェイク画像が撮影される。おそらくその技法は連綿と語られる「こうやればその映像は作られる」って事の再現なのではと思われる。
で、そこに至る経緯、キャラの配置が実にスムーズ。実際とフェイクがほぼ同じって設定が小憎らしい。
世界最大かつ最高のハリウッドって母体のクオリティまでアピールしてくる。
膨大なデータとそれを再現するに至る技術力。役者がヘボでもデレクションが生み出す魔法とか、噂を全て肯定した上で、それら全てを蹴っ飛ばす構成は楽しかった。
なんせ、捏造した映像は実在したと言っちゃうのだ。黒猫の飛び入りはすっごい刺激的だった。
たった1人の観客であるモーの脳裏には何が浮かんでいたのであろうか?
たった1匹の黒猫によってもたらされるアメリカの失墜だろうか?…目の前が真っ暗だったと思われる。
前半のキャラ紹介を含めた様々なエピソードが煩わしい事もあるのだけれど、当事の報道や情勢に明るい人なら思わずニヤけてしまう事も多いような気がする。
実際、この作品自体が大いなる茶番劇でフィクションなのであろう。とはいえ、映画の本質に忠実とも言える。創造し再現する。その原則に則った極めて正当な製法で作られているようにも感じる。
ただ、まぁ、この開き直り感というか、嘘を嘘と思わせない姿勢には感服してしまう。
主人公のキャラも楽しくて、詐欺というか虚構を生きてる女性なのだけれど、案外正直な部分も多くて、その印象も含めて、よく練られたキャラだった。
エンディングの滑り出しもそうだけど、あんな映像実際に撮れるわけがない映像だ。
単純に言えばヨリからヒキに、延々と引いていくのだけれど、このまま宇宙空間まで行くのかと思う程引いていく。
そんな結末を見ながら見るモノ聞いたモノが「真実」である事の境界線があやふやになっていくような感覚を覚えて、実に小気味よいエンディングだった。
そして、
アポロ11号から届けられる音声。それは疑いようのない事実として認識してはいるのだけれど、この作品を通して、ホントなのかなと疑ってる自分もいる。
さて、この世に溢れる情報や歴史にどこまで誠実さを求めていいのだろうかと、そんなへそ曲がりな感想をも抱く小癪な作品であった。
これぞアメリカ映画
NASAの光と影。
主人公のケリーとコールの辛い過去。それを踏まえ歩む今。
かなり重いテーマを含みつつも、
壮大な夢、ロマン、懐かしさ、驚き、色んな感情を呼び起こしてくれるスケールの大きい映画。
NASAのセットが本格的。いよいよアポロ11号が発射された時の感動といったら!
この分野はアメリカの独壇場。絶対に大画面で観るべき映画。
音楽や衣装が素敵。フェイク映像というぶっ飛んだ設定もなぜか違和感を感じさせない。
最初から最後まで別世界に連れて行ってくれた、非常に映画らしい映画。最高の1本だった。
唯一少し気になった部分:
*時代性を無視したポリコレ配役
*黒猫=不吉に固執する風潮。50年以上前だし仕方ないが・・・
黒猫は性格も良く懐っこくて幸せを呼ぶ最高の存在です!
ん・・・?シナ?
前々から観に行く予定にしていた作品。公開して間もなくして鑑賞。
2人の主演の内、男性の方がどうにもジョン・シナっぽく見えて仕方がなかった。もちろん横に並べてみると全然違うんだけど。
この男性は元空軍の人で優秀だったそうなのだが、軽い心室細動だったか心臓に若干の問題があり宇宙飛行士の選考で落とされ、その後司令官?として勤務しているのだとか。
彼が過去にアポロ1号で起こった悲惨な事故の際にも司令官を務めており、毎日慰霊碑に花を植えて追悼しているようだった。
この話題はかなりナイーブで、彼があるときのインタビューでこのことに触れられてキレていた。
月への打ち上げが成功した後に同僚で一番付き合いが長いとおぼしき中年男性が屋外に出ていくのを見ていた彼は後を追いかける。
外で話しかけるとこれまでの長い苦労が報われた的な感じで涙する。そんな彼の元に車に乗って奥さんや子供たちがやってくる。
そこで同僚の中年男性が主演の彼に「キミにもいつか家族ができるよ」的なことを言う。
車から降りてきた家族と笑顔で抱き合う同僚の中年男性。それを見届け再び管制官へと戻っていく主演男性。少し後ろ振り返り微笑む。このシーンはなんか良かった。
政府から派遣されたとおぼしきモーという怪しい男が、主演のうちの一人であるヨハンソンの過去を調べ上げ、過去の犯罪履歴をクリアにする代わりに政府の極秘任務を受けてほしいとバーで言われる。
ヨハンソンの腕を見込んで勧誘してきたようだった。当初は断るも結局受けることに。
その極秘任務というのが月への着陸が失敗したとき用として月面着陸の様子を撮影する「フェイク」の制作だった。予算はいくらかけてもいいと。
この極秘任務は限られたごく一部の人間のみでスタジオを使いNASAの敷地内にある空きスタジオのようなところを使い、そこに着陸船や月の様子、そして宇宙飛行士(役者)を用意しリハーサルの撮影を何度も繰り返す。この極秘任務は主演男性にも伝えていないものだった。(絶対反対されるため)
様々な葛藤の末、ヨハンソンは主演男性にこのことを告げると当然、猛反対。
発射までもう間もなくという中、シャトルに積んである中継用のカメラを調べようとするも、細工が施されてたようでテレビの部品があれば直せるかもしれないと。
どうやら着陸が失敗したことを想定してカメラに細工を施しハナからフェイク映像を流す計画だったことが判明する。国を上げた極秘プロジェクトであるため絶対に失敗が許されないためなのだそう。
テレビを入手するため歴史的瞬間を目撃しようと多くの一般人も相当数おり、会場?に入れない車の大渋滞が起こっているなか、急いで街の電気店になんとか着くもクローズしていた。
躊躇することなく電気店のガラスを割りソニーのテレビを持ち出すも、タイミングよく警察が登場。
が、ヨハンソンが得意の喋りで警察に誘導してもらうかたちでNASAへと戻る際はスムーズにいった。
テレビから必要なパーツを取り出し、発射ギリギリとなる中急いでシャトルのカメラに施された細工を元に戻したようだったが、あまりに時間がなかったためテストはできなかったとのこと。
NASAの敷地内にある極秘スタジオにはあのモーが来て、歴史的フェイク映像をチェックする流れに。
そして実際に月へ降り立つそのとき、その様子はリアルタイムで全世界に中継されるのだが、その映像と動きを合わせるかたちでスタジオでもカメラを回し動きを合わせる。
このスタジオでの映像はモーを騙すためこの場にいる人間しか見ることができないようになっており、途中まではうまくやれていたのだが、そこへ劇中で度々登場する不吉と嫌がられていた「黒ネコ」が登場。
そこでハプニングが発生し、黒ネコが撮影中の宇宙飛行士たちの元へ走り出し、フェイク映像に写ってしまいダマされていることに気づかれる。
が、結果的に月への着陸は成功していたからなのか、とくにお咎めはなかったようでヨハンソンの過去の犯歴もクリアにされたようだった。
モーから次の極秘任務も依頼されるが、流石に断ったようだった。
レンタルされたらもう一度観てみようかな?
虚飾と真実
アポロの月着陸がフェイク映像だった、という有名な都市伝説の映画化。
もう発想からして面白い。
コメディ風だが意外にリアルな部分がある。
巨額の税金を投入する国家プロジェクトにおける、「宣伝」の重要性や、政治家への裏工作とか。
終盤の、カメラの部品が故障して電器店から強盗するくだりとか、猫がスタジオに入り込んでてんやわんやするとことかは、コメディ色が強すぎてちょっと白けた。でもこのへんは好みかな。
人間が月に行って地球に戻ってくるって、今の時代でもとんでもなくすごいのに、よく当時できたな、って思う。
(一説によるとアポロ宇宙船のコンピューターはファミコン並みだったとか)
フェイク映像説がいまだに根強いのもさもありなん。
でもこの映画は逆説的に、いろいろな角度から「フェイク映像説は無理筋」ということを示していて、そこがちょっとフェイク説を主張する人への批判になっていて、痛快だった。
ストーリーがアポロ計画を揶揄しているようで、実は超礼賛してる。
広報が月に着陸したときの言葉の候補を用意していたが、実際にはそれらは使われず、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」という言葉はアームストロングが自然に思いついた言葉だ、ということになってるところとか。「本当に行った人にしかこんな名言思いつけないよ~」、みたいな。
この映画のタイトルの由来の曲「Fly Me to the Moon」は、もともとアポロ計画とは何の関係もなかったのだけど、アポロ計画のテーマソングのように使われたことがきっかけでヒットしたんだという。アポロ計画の理解の促進にも貢献したのだろうな。アポロ計画の広報に深い関係のある曲だったのか。なるほど。
この曲の歌詞の中に、「In other words, please be true(言い換えれば、真実であれ)」というフレーズが出てくるのだけど、この映画のテーマはまさに「虚構と真実」。
主人公のケリーは自分の名前さえも偽って、虚飾の中で生きてきた女性、NASAの計画責任者のコールは、真実だけに価値があると信じて疑わないクソ真面目な男性。しかし二人はお互いの理解を通して、ケリーは真実の尊さを、コールは虚飾の便益さを認め、生き方を変えるようになってくる。
コールが真実だけに価値があると頑固なままだったらアポロ計画は頓挫していたし、ケリーがフェイク映像を準備していることを告白しなかったら、それでも失敗していた。真実や虚飾を超えて大事なのは、目的を達成すること、ということか。
何が真実かはわからないけど、信じたものが真実ってことで。
いや〜スカーレット・ヨハンソン、いいですね〜
すごくいい!!
スカーレットはさておき、アポロ11号は時代でしたね〜
小学校の学級新聞に載った記憶あります。
月の石、万博で大行列(笑)
50年以上も経って、あれが偽物って言われてもね。
いいのいいの。あの時代、あれで盛り上がったんだから。
それにしても、ホントにケリーのような人は存在したの?
それが知りたい。
実在?
そうならば、すごいな〜
いかにもアメリカらしい。
あの映像はフェイクか真実か
50年以上前にできた事がなんであれから1回も出来ないのか。。。
誰もが一回は不思議に思った事。
月面を跳ねているあの映像実はフェイクなんじゃないか?
ドキュメンタリー映画では無いから、真実は迷宮の中ですが、仮にフェイクとリアルを並行させたらという過程を作った映画
ストーリーも面白かったし実際に我々が見たあの映像はどうなんだろうと思いを馳せながら見てました。
あとは見た映画館が音響が良くて発射シーンなんかは迫力があって本当に発射を見たような体験でした!
思った以上にまとまったストーリー
事前情報はほとんど仕入れずに鑑賞。
ストーリーは、宇宙ロケットを飛ばすために頑張る男性と今までの人生で嘘ばかりついてきた広報担当の女性とのアポロ11号を打ち上げるまでのサクセス・ラブストーリー。最初はちょっとどうなんだろう、、、とか思いながら見ていたけれどめちゃくちゃ良かった。クソ真面目な堅物イケメンと嘘つき美人との掛け合いがとても良い。くっついたり離れたりお互いの感情が伝わってくるようでとても良かった。あまり宇宙?には詳しくないけれどアポロ11号を上げるためにたくさんの努力があったんだなぁって。どのくらい本当かは知らないけれど。キャラクターも好きにはなれないような嫌いではないようなリアル感。起承転結も綺麗だったし終わり方も良き!ワクワク・ドキドキしながら楽しんで見れた!
カプリコン1とは似て非なる良作
戦争、暗殺、人種差別、陰謀等
当時のアメリカの闇を映す作品も好きですが
本作は、音楽、ファッション、車、カフェ、友情と恋ラストは家族愛まで憧れのアメリカがいっぱい!
「正直者がバカを見ない」「正義は勝つ」「逆転満塁ホームラン」という痛快なアメリカ映画はやっぱり最高!
ラブ・サムバディ♪のシーンを境にスカーレットヨハンソンと共に映画の雰囲気が変わりクライマックスまで
スクリーンに釘付け⤴︎
予想外の涙腺崩壊⤴︎
こんな作品を撮るグレッグ・バーランティって何者だ!
今後要チェックです。
偽物みたいな本物の月 🌖
アポロ11号打ち上げのPR担当として雇われたケリーを、スカーレット・ヨハンソンが軽やかに演じる。スカーレット・ヨハンソンの魅力が炸裂。ずっと見ていたい。
アポロ11号の発射責任者コールを、チャニング・テイタムが演じる。オードリーの春日のような髪型がレトロ。
コールが操縦桿を握る飛行機で、ケリーを乗せ夜間飛行。それは恋に落ちるでしょ。
映画監督ランス( ジム・ラッシュ )が、月面歩行の本気の演技指導をするシーンが笑いを誘う。
ー イーグルは舞い降りた
ー 最大の嘘は自分に
映画館での鑑賞
1960年代のアメリカ。アポロ計画に真剣に取り組む人と、PR活動に全力を注ぐ人と、失敗を恐れ要らんコトをしてしまう人とが織りなす人間ドラマです。見応え有り。
この作品の紹介を読んでいたら、昔無料招待券をもらって
観に行った作品のことを思い出しました。
「カプリコン・ワン」(1977)
コンセプトが似ているような違ってるような。うーん・-・;
とても気になってしまったので鑑賞です。
(” カプリコン・ワン ” は有人火星探査のお話です)
さあ鑑賞開始。
アポロ計画の真っ只中だった1960年代のアメリカ。
宇宙開発競争で、ソ連に遅れをとった米国の威信にかけて
どの国よりも先に「月」に人類を送り出す。
幾度かの失敗が続き、アポロ計画への国民の関心が薄れつつ
ある中、NASA(アメリカ航空宇宙局)に一人の女性が
送り込まれます。
彼女の名はケリー(スカーレット・ヨハンセン)。
色々な大企業のPR活動に携わってきた女性。
その実力を知る政府の要人が彼女に目をつけ、アポロ計画の
ことを国民にアピールするために抜擢したのだ。
ケリーがやってくる事を知らされておらず寝耳に水のNASA。
NASAの発射責任者がコール(チャニング・テイタム)
アポロ計画には1号の時から参画していた。そして堅物。・-・;
アポロ計画に携わることになった二人なのだが
どうやって宇宙開発をアピールするか が大事なケリー。
どうやってアポロ計画を成功に導くか が大事なコール。
当人たちの性格が正反対なら、仕事の方向性も正反対。
色々なところで衝突も発生するのですが、どちらかというと
ケリーのペースに巻き込まれながら計画が進んで行きます。
アポロ計画の予算確保のためにケリーが立てた企画。
#腕時計のメーカーとのタイアップ(オメガから費用ゲット)
#計画に消極的な議員へのアピール(議会での予算承認へ前進)
# 宇宙から見た地球の映像を流す(タイアップしていたか忘却…)
#TV番組へのコールの出演(…これはTV局に嵌められたかも)
コールは、ケリーが打つ手が的確で効果的な事を知り
ケリーは、コールの計画に取り組む熱意と過去を知り
互いに認め合い信頼して、計画もPR活動も進むのですが…
アポロ計画とPR活動に割り込んでくる政府要人のモー。
大統領直属部門の人物らしいのだが、正体不明。名前も偽名か?
重要なポイントで「上の意志」を伝えてきます。
” アポロ宇宙船にカメラを搭載し、月の映像を放送する ”
この話が出た際に、コールたちスタッフは不可能と一蹴するが…
# 宇宙で使えるカメラが無い ⇒ 軍事機密のカメラを準備 あら
# 7㎏ものカメラは搭載不可 ⇒ 大統領が望んでいると熱弁 あらら
ネジ一本の軽量化にも神経を使ってているのに… (同情)
伝家の宝刀(=大統領の希望)の効目は抜群だ。うーん。
そしてある日、モーが言い出す。
” 月面での映像を、地上ロケで再現する ”
フェイクの映像を撮影できる環境を準備し、万が一の事態に備える
というのだ。「万が一」とは、月面着陸の失敗のことを指す。
これを聞いたケリー。悩む。
着任直後ならいざ知らず、今となってはアポロ計画に取り組む
スタッフの想いを知ってしまっている。特にコールの熱意を。
” コールには絶対に知らせる訳にいかない ”
こうして、
実際に宇宙飛行士を月まで運ぶ、当初からのアポロ計画と
失敗に備えて地上で月面映像を再現するアルテミス計画が
並行しながら進んでいき、そして打ち上げ当日へと…
◇
と、このような感じのストーリーが進行しますが
思ったより遥かにしっかりとした人間ドラマでした。・_・ビックリ
NASA内部を再現した、発射基地やサターンⅤ型ロケットの
映像、そしてロケット打ち上げシーンは迫力満点。 @∪@;
とても壮大なスケール感のお話で、面白かったです。
上映時間があっと言う間。満足しました。・_・v
◇あれこれ
■黒ネコ
NASAの敷地内に出没する黒いネコ。
アルテミス計画に黒ネコとくれば。名前はルナ。(…違うかも)
最後の場面ではニセ映像のセット付近をウロチョロ。
政府のフェイク関係者を大慌てさせてました。
うさぎがいたら、月に代わってお仕置きされそう。-∨-
(月のセットは一帯一面の砂場。大きな猫トイレです♪)
■アポロ計画の歴史(ダイジェスト)
1号 発射台上での試験中指令船に火災。乗員3名死亡。(涙)
2号 1号の事故をうけ計画中止 (…らしいです)
3号 同じく中止
8号 月の周回軌道からの「地球の出」を撮影(作中登場の写真)
11号 この作品で打ち上げられたのが、この11号。 月面に第一歩。
13号 打ち上げから2日後に酸素タンク爆発。きゃー。月面着陸断念。
NASAの総力をあげて地球帰還の最短軌道を計算。
何とか無事に乗員の帰還に成功。ほっ。
※↑日本の「はやぶさ」帰還プロジェクトみたいな感じだったの
でしょうか。どちらも無事帰還できて良かった。
■アポロチョコ(明治製菓♪)
そんな名前のチョコあったなぁ と遠い目モードで調べてみたら、今も
流通している商品みたいでした。・_・;
発売開始が1969念8月7日とか。
アポロ11号が月面に降り立った次の月が発売日なのですが、
商品の登録(商標?)はこのチョコが早いのだそうです。へぇ。
(明治製菓の公式サイトより)
チョコの形の三角形は、地球に大気圏突入する宇宙船のカプセルの
カタチがモチーフだそうです。そして、その三角形を作る機械から
もっと別の形がつくれないかと工夫の末に誕生したのが
「きのこの山」なのだそうです。そうだったのか。
明治製菓のサイト、見ていると楽しくなりました ・∇・
◇最後に
タイトルの「フライ・ミー」の「ミー」。
これが誰のことを指すのかとか意味があるのか、あれこれ考えました。
アポロ11号の乗組員?
アポロ1号の犠牲者?
アポロ計画の関係者全員?
どれもありそうで、けれども何かしっくりとこない気も…。
という訳で、改めて検索かけてみて分かりました。・_・
1954年、Bart Howard(バート・ハワード)が書いた曲で
1964年、フランクシナトラがカバー。
1969年、アポロ11号に持ち込まれ「宇宙で最初に流れた曲」になった。
やはり、ちゃんと意味のあるタイトルだったようです。
※ 邦題は ” 私をツキーに連れてって ” がいいかも
などと思っていたコトは内緒です。@∇@
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
逆転の発想、「ゴジラ-1.0」の影響も
もともと、アポロ計画には無理もあった。もし、月面に人を送り込もうと思ったら、
まず、地球を離れて月をひと回りして戻ってくるところから始めて、
次に、月の周回軌道に入ることが目標、
できれば月にタッチダウンして地球に帰還することを経て、
月に着陸することが真の目的。
こうした試みを、まず無人のミッションで行い、有人のミッションに移行することができれば理想的。NASAのとった戦略は、司令船、機械船、月着陸船を組み合わせるという複雑なもの、こんな計画がたった10年で、本当にできたの?じゃあ、月に行かなかったとしたら、アームストロング船長たち3人は、一体どこにいたの?
この映画は、NASAの全面的な協力の下、こんな難しいアポロ計画は、上手くいきっこないから、フェイク映像の準備を表の計画にするとの、いわば逆転の発想で作られている。さて、実際は、どうだったのだろうか?
主人公は、私の大好きなスカーレット・ヨハンソンの扮する、なうてのPRレディ・ケリーと、チャニング・テイタムの務めるNASAの打ち上げ責任者コールの二人。背景は1969年。ケリーは、生きてゆくためには仕方がなかったとは言え、母に教えられて人を騙して生きてきた極めて魅力的な女性。一方、コールは、朝鮮戦争の英雄で、身体のことがあって宇宙パイロットにはならず、打ち上げに関わっている。アポロの次のスペース・シャトル計画でも、船長には空軍最高の操縦士が就くと聞いたことがあった。コールは、アポロ1号で、3人の飛行士を喪ったことを、今でも悔やんでいる。そんなコールに、ケリーは、どんどん魅かれてゆく。あんなに真面目なコールも、最後は、ささやかなウソをつくことを覚える。
この映画で、一番美しい場面の一つは、コールがケリーを載せて、朝鮮戦争の時のP-51マスタングを操縦して、800kmを旅するところ(ただ、戦闘機は複座に変更されていた)。この場面は、あの「ゴジラ-1.0」を思い出させてくれた。実際の機体とVFXの組み合わせ。マスタングと言えば、ケリーはフォード・マスタングのPRで認められて、NASAのアポロ計画に携わることができたのだった。しかも、P-51マスタングの動きは、この映画に出てくる「妖精」を連想させる。一方で、コールは、いつもライバル社のブルーのシボレー(GM)カマロSSコンバーチブルを乗り回している対比の見事さ!
見どころ満載の傑作映画!
陰謀論に対するアンサー
コメディチックだけど終盤泣けるシーンもあり、結構面白かった。
アポロ11号がフェイクだと一部の人から言われていることに対するアンサーみたいな感じ。
チャイニングテイタムかっこよかった。
黒猫ちゃん可愛かった。
ウッディハレルソンはムカつくけどやっぱり面白いキャラ
スカーレット・ヨハンソンの交渉力が羨ましい
偉業の裏方
タバコの煙が充満する飛行機内で、登場人物が私はフェミニストだからニクソンは嫌いですというシーンは当時の時代背景をうまく表した面白い表現だと思う。
終盤のシーンで黒猫を名前で呼んでいた描写から考えると、猫に餌をやっていたのはケリーということになるのだろうか。
展開や演出がややベタなところがあるが、作中の時代に合わせて敢えてそのようにしているようにも感じられ、最新の技術で撮った古き良き映画といった印象を受ける。
明るいノリのコメディ映画
平日休みが取れたので見てきたが、そこそこ客は入っていた。年齢層が高そうだったのは、映画の内容か平日だったからか。
冒頭で妊婦に扮したケリー(スカーレット・ヨハンソン)が、ムスタングにシートベルトを、的なマーケティングの売り込みをしているのだが、他の映画でも見たような提案だな、と思ったが思い出せなかった。『フォードvsフェラーリ』だっただろうか。
このあとどう話が展開するのかと思いきや、政府のエージェントらしき、モー(ウッディ・ハレルソン)という怪しげな男が登場して、アポロ計画のマーケティングをケリーに依頼する。
冒頭からコミカルな展開で、1960年代の風物を描いているので、懐かしいコメディ映画の雰囲気。ケリーのマーケティングは、どこまで事実に基づいているのかはよくわからないが、オメガがアポロの公式腕時計となったのは有名な話だ。カメラはハッセルブラッドだったらしいが、この映画では出てこなかったように思う。映画でタイアップできなかった企業は除かれているのかもしれない。
アポロ11号の発射責任者、コール(チャニング・テイタム)と、ケリーとの出会い、車と飛行機でのドライブ?もデート映画(って今は言わないか)としてよくできている。ケリーの秘書や、コールの同僚や仲間たち、癖の強い政治家連中もいい味を出しているし、登場人物が多いのに、ストーリーもごちゃごちゃせずに良くまとまっている。黒猫の伏線回収も見事。ロケット打ち上げシーンは迫力があって良い。
胡散臭いエージェントのモーが、『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』を歌って踊るシーンもいい。この男もどこか憎めないキャラクターだ。
終盤の月面での撮影が不調に終わった場合の保険として、裏で行われる月着陸映像の撮影は、『カプリコン1』を嫌でも思い出すが、昨今のアポロ捏造疑惑という都市伝説にも絡めていて面白い。この撮影を行う映画監督がゲイっぽいというか、ゲイなんだろうけど、なんとなく、『マネキン』を思い出した。全体的に見ていて、’80年代に多かった、ダイアン・レインとか、リー・トンプソンみたいな若手の女優が出ていたような、明るいノリのエンターテインメント映画を思い出して楽しい時間を過ごせた。
最近は、こういうノリのアメリカ映画あまり見かけない気がする。あんまり映画.comでの評価は高くないようだが、私は映画館を出た後も明るい気分でいられるような映画をもっと見たいので、若干点は甘目につけてみた。
爽やかに尽きる
予告では都市伝説や陰謀論をシリアスにやる作品かなー程度で鑑賞しました
正直コテコテのラブコメお仕事映画でビックリしました
ジャンル的に苦手でしたが、鑑賞後はかなり爽やかに見られたのは自分でも驚きです
仕事パートでもラブコメパートでも苛つくような無駄なシーンや人物が少ないです
恋愛パートも極端にベタベタせず、途中ある仲違い部分も過剰にトラブルを大きくしない良いバランスです
何より好きなシーンはケリーがコールにフェイク映像を作っているのを告白するシーンですね
それまで都会の洗練された服を見せつけるように着ていたケリーがコールの地元で着られているダサめのワンピースを着ている所かな
コールが肌着が透けてるサマーセーターの色違いを何着も持っているのもマッチョ思考ぽくて好きです
傑作だった。これが映画というメタも。
映画で感動するしないってのは、映像が真実か捏造かなんて関係なく、なんならほとんど全ての映画は定義によっては捏造だけど、自分の心が動かされたらそれは本物で良いと思う。
なんてことを映画館の帰りに思うことがあるのだが「本物の感動」の意味がひとつクリアになる作品であった。
話としてはリアルとフェイクのよくある対比構造に加えて、嘘で生きたケリーと誠実の化身のコールがアポロ計画成功のために近づいていき、しまいにはフェイクの月面でリアルを確かめるなんて洒落たフィナーレには拍手したくなった。
黄色の色使いと意味合いはわかりそうでわからなかった。黒の次に黄色、青と黄色、覚悟の赤?これは他のレビューも拝見しよう。
爽やかな傑作でした。ほぼ5なんだけどこの映画の宣伝をケリーならもっと上手くやるのでは?と鑑賞前の期待値づくりも含めて4.5。
まあまあだった
舞台となる時代や美術、登場人物はとても魅力的なのだけどストーリーがあんまり面白くない。なくてもいいところでドラマをこねくり回している感じだし、懸命にやってる人たちをバカにする内容だ。ウディ・ハレルソンは大好きなのだけど、この役はアホみたいで嫌だ。猫がよかった。
面白かったよ。
1968年小2の僕は、夜遅く、目をこじ開けてアームストロングの姿を観ていた。翌年の大阪万博に月の石を並んで観たよ。まさかこんなことがあったんかな?
カプリコン1は、フェイクにしたけどね。
ギリギリのリアルだな。しかしスカーレットヨハンソンは美しいね。コミカルな場面もあって楽しみました。
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