「映画の中でなら、月にだって行ける」フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン MAKOさんの映画レビュー(感想・評価)
映画の中でなら、月にだって行ける
その昔、まことしやかに語られていた陰謀論というか都市伝説。
"アームストロングは月に行っていない。あれはハリウッドが造った偽映像で監督はS・キューブリックだ"
なんて噂話を元ネタにそのハリウッドはこんなに素晴らしいロマンチックコメディを造った。
主演のスカーレット・ヨハンソンは美し過ぎて最早普通の役は似合わない。本作でもその美貌を武器にした詐欺まがいの広告屋を魅力たっぷりに演じている。
客はアタシを観に来てんのよとばかりに次々変わる60年代ファッション。服装に合わせて変わるブロンドヘア。男だったら誰もが騙されるコケティッシュな微笑み。
これでもかと魅力全開です。
もう一人の主人公、カードを"マジック"みたいに使うチャニング・テイタム(字幕版はこのシャレをスルーしやがった。バカタレ)は自分がどう見られているのか解っているので冒頭から笑わせてくれます。
筋肉自慢の大男がハンサムで演技も上手ければ、そりゃもう無敵ってもんですよ。
壮大な陰謀論を逆手に取りロマコメに仕上げるという荒業をやってのけた脚本のローズ・ギルロイさんは、あのレネ・ルッソの娘らしい。どうも探しても関連作品が見当たらないので、これが脚本家メジャーデビュー作品と思われます。凄い才能だ。
そして監督のグレッグ・ハンバーランティ氏はデップーにこれでもかとイジり倒されたあの「グリーン・ランタン」の製作脚本を担当していたというから驚きだ。
ハリウッドは意外とセカンドチャンスに寛容なのかも。
クライマックス、人類を月に立たせるという壮大なミッションの裏でもう1つの重大なミッションに挑む主人公達。
胸熱でシリアスな展開になりそうな物だが、コメディ作品のスタンスを頑なに守るかの様に差し込まれる笑いどころは見事と言うしかありません。
汚名返上に「デッドプール4」の監督していただくのは、どうでしょう?
鑑賞中、映画ってこうだよなぁ。これでいいんだよなぁ。
なんて思えた素敵で素晴らしい、映画的満足度の非常に高い傑作。ウッディ・ハレルソンが出ているので間違い無い。
"けっ、今どき白人の美男美女のロマコメかよ"
なんて声も有りそうな気もするが、映画を映画として純粋な気持ちで楽しめるなら、素敵な時間を過ごせる事を保証します。
オススメ。
全体的にシャレが効いてて「やっぱりキューブリックに頼むんだった」なんて楽屋落ちみたいなセリフもありましたよね。
しれっとソニー製のトランジスタが史上にのこる良い仕事をした、とぶっこんでくるところもにやにやしました。