「ウソのような迫真のドラマを笑いで描く」フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 60代の男ですさんの映画レビュー(感想・評価)
ウソのような迫真のドラマを笑いで描く
[60代の男です]
僕が子供の頃からあった都市伝説みたいなものを、こんな形で物語にするとはうまい。
フェイク画像の撮影があったのかどうかなど知らないが、主人公の宣伝マン、スカーレット・ヨハンソンのやるPR活動や起こる出来事などは現実のもの。
月面着陸に情熱を燃やす人々が熱い。
月に最初の一歩をしるした宇宙飛行士の伝記「ファースト・マン」では、アポロ計画で死者が出た悲劇などは一切無視されていたのに、コメディである本作のほうが、そういう影の部分まで主人公たちのドラマの一部としてちゃんと盛り込まれているのも良かった。
気持ちの良いドラマと、娯楽的な楽しさが両立された傑作。
しかし高層ビルのような巨大ロケットの打ち上げって、それだけで凄いスペクタクルだね。
《物語》 故ケネディ大統領が国民に宣言した、60年代のうちに人類を月に送り届けるというギリギリの年、NASAはアポロ11号で、それを成し遂げようとしているところだった。
しかし莫大な予算を食うため、議員など反対する勢力から逆風を受けていた。
大統領の非公式な参謀ウッディ・ハレルソンは、それをなんとかしようと、凄腕の美人宣伝マンの主人公スカーレット・ヨハンソンを大金で雇い、NASAに送り込む。
彼女は、国民の月面着陸への期待と機運を盛り上げるため、大企業とタイアップしたり、デッチ上げのインタビューを報道したり、反対派の議員ひとりひとりを篭絡していったりと、手段を選ばず突っ走って効果を上げていく。
しかしもう一人の主人公、NASAの現場の計画責任者チャニング・テイタムは、真面目一筋な性格で、彼女のやることに否定的なため、いちいち衝突する。
前半はこの二人のラブ・コメディ。
後半になると彼女は、参謀から、月面着陸が失敗した場合にテレビの生中継で流すため、フェイク画像を用意しろという命令を受ける。
誠実な計画責任者に惹かれ始めていた彼女は拒絶し、そんなウソはすぐバレると主張したが、恥ずべき過去の自分の犯罪を消し去ってくれるというのでしぶしぶ承知する。
彼女は極秘で巨大なスタジオに月面のセットを作り、スタッフを集めて撮影の準備を進める。
しかしアポロ11号の発射が成功した段階で、参謀が方針を変える。
絶対に成功させるため、テレビ中継では音声は本物を流すが、映像は最初からフェイク画像にしろと強要してくる。
主人公は苦悩する……。
面白かった!