「ケリーのPRマーケティングが面白かった。思ったよりコメディ調かも。」フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン マサヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
ケリーのPRマーケティングが面白かった。思ったよりコメディ調かも。
1番面白く思ったのが、ケリー(スカーレット・ヨハンソン)の強引とも思える広報活動。もうハッキリ言って詐欺だけど、予算が取れたので結果オーライ。
ポスター、予告編、解説から予想した物語よりコメディ調だと思った。
予算獲得のためには、世間の注目、賛同と、政治家の賛成が必要だ。
企業にはNASAのアポロ計画とタイアップすれば製品イメージが上がると喧伝して広告を打たせ、TIMEの表紙にも使ってもらって注目を集める。
スタッフに似た俳優を使ってインタビューする場面も面白い。当の本人は怒るどころか感心してる様も笑えた。
ある政治家をNASAに招いた時には、かつて聞いたあなたの講演に感銘を受けたと誉めちぎり、話ベタのコール(チャニング・テイタム)に代わって急きょケリーが案内役をつとめる。男性政治家は、おだてられた上、愛想のないコールなんかより美人のケリーに案内され、鼻の下を伸ばしてホクホク顔。
軍事優先の政治家には、ソ連が月に殺人レーザーを作るかもしれないと吹き込む。
目立ちたがり屋の政治家には有権者にアピール出来るよう、演説させ、有権者と一緒に集合写真も撮る。
政治家達は予定どおりアポロ計画賛成に回ってくれる。
何百キロも離れた場所の政治家を訪問した場面も面白かった。
ケリーは妻の出身地訛りで発音し、出身地まで変えて同郷をのよしみを装う。当の政治家が宗教的なことに重きを置いてると知るや、聖書の一節まで掲げて好感を得る。さすがケリー、きっと実は無神論者かもしれないと思った
コールまでなんか政治家が気に入るような神妙なことを言って政治家のご機嫌をとる。口が上手くなったのはケリーの影響か?
2人の訪問の甲斐あって、予算に賛成してくれた。
それから、ニセ月面着陸映像のために、着陸船や資料をバンバン写真に撮るところが笑えた。機密なので本来は写真も撮れないのだが、ケリーが、なんか「月面着陸までの記録」みたいな記録書誌を作るらしく、それの資料として載せるから特例としてOKをもらったみたいだ。
コールは浮かない顔だが、コールの同僚の責任者が記録誌の序文を任されたのが嬉しくて、ノリノリのイケイケである。さすがヤリ手のケリー。もしかしたら書誌を作ることはでっち上げで、ホントは作らないかも。
もう1つ気になったのが結末。大方の予想を裏切って、実はフェイク映像が全世界に放映されてたなんて結末も少し期待した。エンドロール後のオマケ映像でもしやと思って最後まで見たがなかった。そこまで変に凝ってなくて気持ちよく映画館をあとに出来たから、本編どおりが1番良かったと思う。
あと恋ばなパートについて。ラブストーリーって出会い方と、その時の会話が重要だと思うが、今回はなかなか宜しかったのではなかろうか。
現実的には今回の物語に恋愛は要らないけど、映画で美女と美男を使っといて何もないなんて有り得ん。