「「嘘」にまつわる「真実」の物語」フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
「嘘」にまつわる「真実」の物語
アメリカによる人類初の月面着陸はデッチ上げだったみたいな映画なのかと思ったら、アポロ計画に携わる人々の奮闘を案外真面目に描いていて、これだったらNASAも協力するだろうなと納得してしまった。
実際、フェイク映像の話が出てくるのは中盤以降で、それまでは、マスコミ対策やら、企業とのコラボやら、政治家の取り込みやらのエピソードが続いて、それはそれで面白いのだが、「あれ、何の話だったっけ?」とも思えてしまう。
そのフェイク映像については、「カプリコン・1」のように「なかったことをあるように見せかける」ためではなく、万が一計画が失敗した時の「保険」という位置付けだし、仮に計画が成功したとしても、万全を期するためにフェイク映像を放送するということもあり得る話で、本当にこんなことがあったのではないかという「リアリティー」を感じてしまった。
悪いことの予兆として度々登場していた黒猫が、最後にやらかすという展開は心憎いし、ドタバタ劇の末に、「真実って何だろう」と考えさせられるエンディングにも深い余韻を感じることができた。
ただ、やはり、前半の口八丁手八丁の広報戦略の部分は、やや冗長な印象を受けたので、もう少し簡潔にして、始めからフェイク映像の話に絞り込んだ方がよかったのではないだろうか?
性格的に正反対の2人のラブ・ロマンスにしても、お約束と言えばその通りなのだが、はっきり言って、この物語には必要なかったと思う。
コメントする