密輸 1970のレビュー・感想・評価
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【”海面に響く海女笛。そして海中で最強なのは誰だ!”今作は化学工場、密輸王、卑劣な税関係長に追い詰められながらも、一発逆転を図ろうとする貧しき韓国海女達のど根性が響く作品なのである。】
■1970年代の韓国の貧しき漁村クンチョン。
海の傍に出来た化学工場の影響で鮑が全滅し、ジンスク(ヨム・ジョンア)をリーダーとする海女達は、密輸品の引き揚げの仕事を受ける。
だが、税関に取り締まられ、ジンスクの父と弟は事故で亡くなり、彼女も獄に繋がれる。一人、ジンスクの親友だったチュンジャ(キム・ヘス)だけが船上から海へ逃げるのである。
◆感想
・序盤は、貧しき海女達の姿と共に、当時の哀調を帯びた韓国歌謡曲が切なく響く。
・数年後、チュンジャがベトナム戦争で武勲を挙げたというクォン軍曹(チョ・インソン)と共にクンチョンに帰って来る所から、物語は動き出す。
ジンスクはチュンジャが税関に密告したと思っており、チュンジャがクォン軍曹に持ちかけた”クンチョンを密輸品引き揚げ地にして稼ぐ”という案に疑心暗鬼なのである。
故に、久しぶりに会った髪を茶色に染めたチュンジャに対しジンスクは平手打ちを喰らわすのである。だが、負けじとチュンジャもジンスクに平手打ちをかますのである。
ー チュンジャが平手打ちをかます意味合いは再後半に分かるのである。ー
■それまで、使い走りだったチンピラのドリが、クォン軍曹に対し反旗を翻し彼を襲うシーン。激しいバトルが繰り広げられるが、クォン軍曹は血だらけになって倒れるもチュンジャを咄嗟に匿うのである。
そして、徐々に極悪な正体を現してくる税関係長(キム・ジョンス)。ドリを操っていたのが係長だと分かって来るシーンも予想通りだが、彼らに対し自力で喫茶店を買い取ったオップン(コ・ミンシ)が海女達を守るために駆け引きするシーンなども、面白い。
■そして、税関係長に指示されたドリ達一味は鮫の泳ぐ海中に、ジンスク達海女を銃で脅して飛び込ませ、お宝の入ったトランクを引き揚げさせようとするのである。
更に卑劣な事に、税関係長は海女たちを使った後に彼女達を殺すべく酸素ボンベを背負った男達を海中に投入するのだが、海の中では当然海女が強く、彼女達は男達の酸素ボンベの管を引きちぎり、オップンも泳げないのに、税関長を海に叩き落とし、逃げようとするドリも海女達が碇を岩に固定した弾みで海中に落ちるのである。
そして、ドリの眼の前には鮫が迫って来るのである。観ていて、実に爽快なシーンである。悪い輩は鮫に食べられれば良し!ガブガブー。
<ここまで観てくれば、チュンジャがクンチョンに戻って来た理由は明白である。
彼女はクォン軍曹に駆け引きを持ちかけつつ、ジンスク(ヨム・ジョンア)をリーダーとする貧しき海女達を助けるために戻って来たのである。
そして、彼女達は、自分達を虐げて来た男達を海の中で返り討ちにし、見事にお宝の入ったトランクをゲットするのである。
更に、負傷をして病院に入院し飯を食べているクォン軍曹を訪ねたチュンジャは、一粒だけ感謝の印として、宝石を上げるのである。粋だなあ、海の女チュンジャ。
今作は、化学工場、密輸王、卑劣な税関に追い詰められながらも、海の女としてのプライドを持つ韓国海女達のど根性と爽快なるラストが心地よき作品なのである>
海中はホーム。
1970年半ば近隣工場からの汚染物、汚水で商売上がったりな海女漁、仲間の生活を守る為に密輸品を海底から引き上げる仕事を引き受けたリーダージンスクと海女達の話。
密輸品の引き上げ時、税関の摘発に遭いリーダージンスクと仲間達は捕まるが、海女仲間の1人チュンジャだけが現場から逃げる…、それから2年後に出所したジンスクはタイミングよく来た税関と現場から逃げたチュンジャが怪しいと疑うなか、密輸王クォン、元海女漁仲間のドリ、税関係長を絡ませ人の繋がり、裏切り、絆を見せてく。
海女着を着たチュンジャの谷間と2年後に派手になったチュンジャのセクシーリップを見ながら情報漏らした奴は誰なんだと思うなか、黒い繋がり、誤解、殺し合い、だましの演技と作戦で見せてくけど、韓国ならではセリフのユーモアさリアクション、ストーリー展開も面白く飽きずに楽しめた。
予告編
を見るだけだと、もっとコメディタッチのドタバタな喜劇かと思ってましたが、アクションや殺しの場面の多いものでしたね。あと、コンフィデンスマン的な要素も少しありましたが、主は肉弾戦でした。
Freestyle
海女さんvs裏社会関連vs海上警察が入り乱れるだなんて聞いたら観に行かねばという事で鑑賞。
惜しむべきは少し体調が悪かったんだけど、映画代は無駄にできない性分だから意地と根性で乗り切って涼しいお部屋でレビュー書けてる。文明の進化に感謝。
なんて与太話は置いといて、本編は海女さんが上からの命令とはいえ、金の搾取に手をつけてしまったがために捕まってしまい、そこから抜け出した海女さんと数年後再会して…みたいな感じで進んでいくので、中盤くらいから入り乱れるのかなーと期待して観ていました。
序盤のワクワクから一転して、最終的に繋がる人物紹介をのんびりやっていくせいか、物語にダレが生じてきてしまい、そこはもったいなかったなーと思いました。
中盤からギアがかかって室内アクションが展開されていくところから徐々にボルテージが高まっていきました。
ナイフでのやり合いは少ないながら見応えがあり、こういうのを待っていた!となりました。
終盤の水中バトルは最高に燃えました。
海女さんたちにピンチが訪れる時も、自分たちのフィールドに引き摺り込んでしまえば問題なし!と言わんばかりに、海女さんたちを殺そうとするチンピラたちを水中でのアドバンテージとチームワークを活かして、羽交い締めにしたり、酸素ボンベの線を切ったりしたり、ぐるぐる巻きで海中に沈めたり、岩と岩の間に体をぶっ込ませたり、タコを張り付けたりとトムとジェリー並みのコメディも挟みつつ、しっかりと成敗していく様子はとても良かったです。
署長も署長で破壊力抜群の銃を持ちながら、ノーコンなのもあって全然当たらない隙を狙って、水商売お姉が海中に自分もろとも入水して、そこに海女さんが連携プレーで沈めて(ここの合成が雑でちょっと面白かった)という暴れっぷりは爽快ものでした。
最後は弟との対峙も上手い事起点を効かせて、錨を引っこ抜けなくさせてから、海に落として、見捨てたのちサメにパックンチョされるスピード感がよかったです。
全体的にオーバーリアクションな演技が多いので、中盤はかーなり胃もたれしちゃいました。
韓国のラブコメがこういう感じなので苦手なんですが、この作風でそのオーバーさが来るかーと思って面食らってしまいました。
あとやけに楽曲が流れるんですが全く盛り上がらない曲も情緒を不安にさせるものでした笑
エンジンかかるのが遅かったのがもったいなかったなーとは思いつつも、アガるところはしっかりブチ上がりましたし、観たいものはしっかり観れたので良かったかなと思いました。
鑑賞日 7/12
鑑賞時間 16:05〜18:25
座席 I-12
70年代のファッション&音楽で紐解く、韓国西海岸の黒い闇
2024.7.12 字幕 イオンシネマ京都桂川
2023年の韓国映画(129分、G)
海洋汚染によって漁ができなくなった海女たちが裏社会のビジネスに加担する様子を描いたクライムムービー
監督はリュ・スンワン
脚本はリュ・スンワン&キム・ジョンヨン&チェ・チャウォン
原題は『밀수』、英題は『Smugglers』で「密輸」「密輸業者」という意味
物語の舞台は、架空の港町クンチョン港
そこで漁業に従事しているジンスク(ヨム・ジョンア)たちは、近くにできた化学工場の影響によって出来高が激減し、生活は困窮を極めていた
父である船長のオム(チェ・ジョンウォン)たちも憤りを見せるものの、状況を変える術はなかった
ある日、彼らの元に海底に沈んでいる物資の引き上げの依頼が舞い込む
オム船長はそれが密輸品であることがわかっていて、娘たちを加担させる気はなかった
だが、背に腹は変えられない状況になっていて、1回だけという約束で、海底に沈む密輸品の引き上げに加担することになったのである
その後も、生活のために引き上げを繰り返すことになり、中身はさらにやばいものになってしまう
そして、とうとう税関に見つかって逮捕されてしまうのだが、ジンスクの友人のチュンジャ(キム・ヘス)だけは逃れていて、彼女が密告したのではないかと疑うようになった
出所後も仕事がなく、いつの間にか地元のブローカーになっていた元船員チャン・ドリ(パク・ジョンミン)の計らいの元、低賃金で密輸を繰り返す日々を過ごさざるを得なくなってしまっていた
物語は、うまく逃げおおせたチュンジャが釜山にて暗躍していく様子を描き、喫茶店の奥で密輸品を捌いていく様子が描かれて行く
だが、その一帯はクォン軍曹(チョ・インソン)と呼ばれる元軍人のマフィアの縄張りで、彼にチュンジャの行動がバレてしまう
被害総額が8000万ウォンだと言われ、彼女はやむなく「地元のクンチョン港で海底から密輸品を引き上げられる」と言い、販路を広げることを条件に難を逃れようとするが、そうそううまくは事が運ばない
映画は、クォン軍曹がクンチョンに乗り込み、そこでドリと取引をする様子が描かれて行く
チュンジャが裏切り者だと考えているジンスクたちが協力するはずもなく、それでもニンジンをぶら下げて説得工作に乗り出す
そして、その過程において、あの逮捕劇の裏で何が起こっていたのか、がわかる流れになっていた
後半は回顧シーンが多用され、「実は」の展開がかなり続いていく
パンフレットには、それらを簡単にまとめたものが載っているので、意味わからんかった人は一読しても良いかもしれない
とは言え、そこまで複雑な話でもなく、ドリと税関の係長(キム・ジョンス)が結託していたとか、クォンをハメて金塊をせしめようと暗躍する中で返り討ちに遭うというものなので、誰が勝ったかはわかりやすい
時代が1970年代ということで、その時に韓国で流行ったファッションとか音楽が満載なので、そのあたりに興味がある人には韓国カルチャーを学ぶ教科書になるのではないだろうか
いずれにせよ、コミカルとサバイバルがマッチし、容赦ない暴力シーンが展開される後半は面白い
海女さんはボディダブルでガチの人たちが演じているが、海洋パニックあるあるも登場するので飽きさせない展開になっていた
さらっと原因が海洋汚染とディスっているあたりは、ある企業が想定されているのかなと勘繰ってしまう
架空の港のようだが、思いっきり韓国西海岸側の釜山近辺なので、わかる人にはわかるのかな、と感じた
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