「話の作り込みとキャラ造形が素晴らしい」恋を知らない僕たちは Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
話の作り込みとキャラ造形が素晴らしい
話が中学二年から始まるんだよね。「この役者陣で中学生の話は無理だろ」と思ったら、すぐ高校に上がった。良かった良かった。
キャラがすごく良く作り込まれてるのね。この人たちが、この状況に置かれたら、こういうことやりそうだし、このキャラだからこの行動だなって自然なの。
小春の言動は無茶なんだけど、登場シーンで彼氏のために恐ろしい量のパンと飲み物を買い占めてるし、なんかこいつならやりそうって感じなんだよね。
そして小春の暴走を止めようとするあまり、泉を想う英二はこれやっちゃうかもなっていう。
英二がモテすぎなのは気になったね。顔が近づいたら、みんな英二を好きになってしまうっていう。この映画では英二が主人公だからいいのか。
それで話が自然に転がってる間はすごく面白いの。
英二と泉がキスしてしまい、いろいろ修復無理だろってとこで、英二が主人公属性を発揮し、すべての人とコミュニケーションとってくよね。
それで問題が解消され、この物語は、ここで終わりでいいんだろうと思ったな。
そこからは、大団円にもっていかないといけないから、なんとか三組のカップルを成立させにいくの。
それは無茶なんだよ。
このキャラ設定でいったら、この人たち、こうはならんでしょ。
想いを引きずったり、ぜんぜん違う人を好きになったりするでしょ。
でも映画としてはカップル成立させた方がきれいにまとまるし、しょうがないね。
想いが届かないと思ったら、すぐ違う人を好きになったり、人を好きになるってなんだろうなと思ったよ。
なにかの法則によって好きになるなら、そんな簡単に気持ちは変わらないはずなの。でも違うんだよね。なので突然変わったりするし、そこが面白くも恐ろしくもあるところだと思ったな。
役者は予告編から志田彩良推しだったので、池澤さんの恋を応援してたよ。
志田彩良は、そこまで綺麗すぎないのがいい。いい女優さんになりそうだね。
監督は酒井麻衣だった。
《はらはらなのか》が最後だったから、もうあの路線から脱せず、どこかに消えてしまったかと思ったら、こんな普通の恋愛映画も作れるんだね。
ただ、映像が。綺麗な映像を「ほら、綺麗でしょ」と出してくるんだけど、そこまで綺麗じゃないの。
『どうやったら綺麗になるんだろう?』って思いながら観てたけど分かんなかった。分かったらカメラマンで食べてけるから、そりゃ分かんないんだけど。
話がしっかりしてるから観てて面白いし、これからくるんだろうなって役者さんがやってるし、観て楽しい作品だと想うよ。