教皇選挙のレビュー・感想・評価
全169件中、81~100件目を表示
コンクラーベを楽しめた。
意外にもエンタメに振り切った本作が功を奏したのでは?
最後の展開は少し行き過ぎたポリコレと言うかなんと言うか。でもスリリングでよかった。
一級品のサスペンスです
枢機卿たちが同じ服飾なのに、むき出す個性がはっきりしているし、ストーリーがとても判り易いので、驚きの展開に没入できる。そして衝撃のラスト二段落ち!
ミケランジェロの天井絵を囲みながらの素晴らしい美術、衣装。
テデスコ枢機卿は間違いなく見事にジャン・レノが演じていました。
世界一古くてスリリングな選挙
原題はCONCLAVE(枢機卿たちの互選による教皇選挙会議)。
ストーリー自体はフィクションだが、その昔、世界史の語呂合わせで覚えた「コンクラーヴェ(=根比べ)」が現代も伝統にのっとって行われているのがまず驚きで、あまり知られていない選挙の手順や様子をつぶさに見られる構成になっている。
教皇が急逝し、次の教皇を決めるために世界中から集まった100名を超す枢機卿たちが、バチカンのシスティーナ礼拝堂を閉鎖し、外部との連絡を断ち(選挙期間中はスマホ、タブレット、PCは取り上げられ、電波も遮断される)、投票総数の2/3を占める候補者が出てくるまで連日選挙を繰り返す。
神に仕える者たちとはいえ、選挙なので派閥はできる、票の買収は行われる、スキャンダルで自滅する者も出る、守旧派と改革派の対立もある、と実に生臭い。最後にあっと驚く大どんでん返しもあって、映画館内で珍しくどよめきが起こった。
ネタバレするわけにはいかないが、スリルありサスペンスありミステリーあり。閉鎖的空間でいい歳をしたじいさんたちが繰り広げるドラマとは思えないほど。120分の上映時間がワクワクしながら過ぎていった。
また、シスター役でじいさんたちに厳しめの言葉を投げかけるイザベラ・ロッセリーニも年齢を重ね(撮影当時70~71歳)、山椒のように小粒でもピリリと辛い存在に。デヴィッド・リンチ監督『ブルーベルベット(原題 Blue Velvet)』(1986)の頃とは別人のような名脇役になっていて、わずかな出演シーンなのに強烈な印象を残す。アカデミー助演女優賞にノミネートされたのもうなずける。
なるほど映画の原題通り
CONCLAVE はラテン語で鍵のかかる部屋、という意味。
世の混乱からは完全に隔離され閉ざされた空間でジジ達の静かな戦いが始まる。
前半寝不足もあって少々眠気をもよおしたのだが、
「バリーン!」と風穴が空いてからは啓示を受けたかのように私も目覚め
最後まで鑑賞を楽しんだ。
あのシーン、絵画のように美しかったのでもう一度じっくり観たい。
エンディングは実に「今」らしい。
あの後のバチカンも気になる。
108人(煩悩)のカルディナーリ(枢機卿たち)
いやー、とてつもなく大変な3日間だった。心底疲れた。
コンクラーべではテデスコを当選させたくなかったので、血迷って自分に入れてしまったが間違いだった。あゝやはり教皇様は見ておられた。管理者を望まれていたのに。
それにしてもベニテスには本当に驚かされた。まさかそんなことが。。。でもまずは無事に終わって良かった。これからもいろいろ難題が出てくるだろう。でもベニテスならなんとか上手くやっくれるだろう。私やアルドがサポートしてあげないと(あの迷子のカメのように)。
おや、シスター達が出てきたな。彼女たちもよくやってくれている。これからはもっと配慮が必要だな。それに大事な仕事ももっと任せていこう。
世の中が荒んでるから、せめて教会から少しでも良くしていかなくては。
でも何故ブロディなんだ?2回目だし、スピーチも長すぎたよな。あ、いかんいかん。また神にお叱りを受けてしまうところだった。
日も差してきた。なんとなく心も和み、やる気が湧いてきたよ。
興味深い聖職者たちの裏の素顔
信者にこそならなかったけれども、幼稚園から大学までカトリックの学校に通ったのでタイトルを見た時から興味津々だった。聖職者の最高位の人たちの素顔や彼らが過ごしている区域も見られる(フィクションではあるが)点でも惹かれた映画である。だから、まずは彼らがいる建物、滞在している部屋、外からは見えない中庭や回廊、廊下や階段も分かる限り忠実に再現されていると思うととても興味深かった。
物語はまずは枢機卿がたくさん出てくるので、顔と名前を覚えるのが大変。みんな高齢の男性なのでちょっと油断すると誰が誰だかわからなくなる。途中まで主人公がローレンスという名前であることに気づかず、選挙で得票しているローレンスって誰だっけ?などと余計なことにエネルギーを使ってしまった。そんな調子でまだ見落とした重要要素もあるかもしれないけれど、隔離された状態で選挙戦に突入して食事も一堂に介して取り、その間も選挙戦の売り込みのようなことが行われながらだんだん有力候補やそのそれぞれが割と例外なく生身の人間でキリスト者としての目的もあれば脛に傷もあるということがわかってくる。
選挙戦が進むにつれ明らかになる不祥事もあって最初は新教皇が選出されたら首席枢機卿を辞任しようと思っていた主人公までが密かに自分が選出された場合の教皇名まで考え始めてしまう。
ところが、昨今珍しくない同時多発テロみたいな事件が起きて、一旦選挙は延期になり、やり直しの結果、教皇の座は最後の最後にダークホースだった伝統的な教区ではない教区出身の無名の枢機卿のものとなる。この新教皇が自ら決めた教皇名がインノケンティウス。言葉に詳しいわけではないけれど、想像するに英語にするとinnocent、無邪気なという単語が語源かなと思う。
そのような意味を持つ単語に新教皇がふさわしいかどうか、最後の最後にも衝撃的な新事実が明らかになるんだけれど、首席枢機卿のローレンスは迷った挙句この問題教皇を受け入れ、支えていく決心をしたようだ。彼の横をのそのそ歩いていた亀を手に抱えて中庭の水場に返すという象徴的な行動はそういうことだろうと思う。
司祭の最高位たる枢機卿もスマホを使い、タバコを吸い、シスターに給仕してもらって食事をとり、時には大声で言い争いをする。普段垣間見ることのできない秘密をのぞいている面白さもあったし、二転三転する選挙の行く末も見応えあってあっという間の2時間だった。
今のローマ教皇は高齢で健康状態もあまりよくない。先日退院したという報道があったが、一時は危ないと言われていた。この映画の中で繰り広げられていたコンクラーベがもうじきバチカンで実際に行われる。今度は何日目に白い煙が見られるのだろうか。
驚きはありつつも。
すごいことが起きるよ!っていらん前情報をしてきた友人を恨む。
それでハードルが上がってしまって、
レイフファインズいつ悪いやつになる???
って期待してしまった。もちろんそんな結末じゃなかったんだけど。
意外にすんなりラストを受け入れられた自分がいて、なんか想定内というか。
だからあまり驚きはなかったのです。
どうしても、眠くなってしまったので星は3.5
サスペンス仕立てのストーリー展開と最後のオチにビックリ
全世界で約14億人のカトリック教徒のトップになるのは誰なのか?話が進むにつれドキドキする作品でした。私は全く予備知識がない中での鑑賞でした。コンクラーベを何回も実施するとは知りませんでした。(決着は上位2名で最終投票だと思っていました😅。)首席枢機卿のレイフ・ファインズ、他の枢機卿は、リベラル派のスタンリー・トゥッチ、保守派のジョン・リスゴー、地元イタリアのセルジオ・カステリット等の俳優さんが、それぞれの野心と思惑を上手く表現していたと思いました。やはり、どんな世界でも改革派と保守派の対立があるし、駆け引きやライバル崩しの策略があるということですね。教皇に選ばれた枢機卿は想定外でしたし、その後もまたまたビックリでした。
ファーストカットからラストカットまで目が離せない。
見事な映画でした。
計算された映像、脚本。ファーストカットからラストカットまで目が離せない。
(ファーストカットとラストカットが素晴らしい。)
レイフ・ファインズが神がかった演技する。それにイザベラ・ロッセリーニの存在。なんとも美しく年を重ねて、この映画の良心のような役割。凛としている。
スタンリー・トゥッチも高貴な俗物を楽しそうに演じている。性格俳優(?)ジョン・リスゴーがなかなかの風格で楽しい(どこか嘘くさくて)。
それにカルロス・ディエス(この映画のヘソ)、セルジオ・カステリット、ルシアン・ムサマティ、の演技合戦も楽しい。
映像は青みを帯びた映像で、色調は赤と黒と白で統一されている。無駄のないカットと構図。それらの美しい映像を見ているだけで楽しい。
それに音が、かなり意図的に強調されていて映像効果を上げる。
フェリーニ、ヴィスコンティが撮影したあのチネチッタスタジオ(!)で撮影をしている。そのセットの素晴らしさ。美術の勝利でもあると思う。
話はコンクラーベ。本当に投票のみの話。外にほとんど出ない。それなのに奥行きと広がりのある映画になった。素晴らしい脚本(アカデミー脚色賞)。
映像、役者、演出と音、音楽が渾然一体となってラストへひた走る。
で、ラストカットで、ようやく息が抜ける。
実に面白い。
アカデミー作品賞を取ってもおかしくない作品だけど、取れなかったのもうなずける。
それは見てのお楽しみ…。
監督のエドワード・ベルガー、覚えておこう。
選挙管理委員はつらいよ
カトリックの教皇が亡くなり、後継ぎの選挙を委ねられた首席枢機卿のローレンス。宗教的カリスマを選ぶにもかかわらず、完全に人間と人間の権力争いであり、アメリカ大統領選挙や日本の総裁選を思わせる話だった。
ローレンスは総裁選でいえば幹事長のような実務系リーダーという位置づけだろう。世間から隔離されて厳粛に行うべき儀式を遂行するだけでもかなりのプレッシャーがあるが、有力候補者のスキャンダルなど次々に問題が持ち上がり苦悩する。
面白いのは中立であるべきローレンス自身が弱小派閥に属していて、自分たちのリーダーに票を集める密議にも出席しなければいけない。一方、自分自身も候補者としてわずかに票が集まっている。ローレンスはせっかく派閥リーダーに投票しているのに、リーダーはローレンスに集まった票を見てつむじを曲げてしまう。最後にはリーダーもローレンスに人徳があるのを認め、ローレンスも自分自身に投票するに至る。
そうなのだ、首席枢機卿として選挙を取り仕切ることができる器だということが、教皇としての資質を潜在的に意味している。荘厳な礼拝堂、枢機卿が顔をそろえる大広間が、ローレンスの舞台だ。公平な人物のローレンスは、自分が名乗り出なくても「推される」だけの価値がある。しかし、それを上回る人物が最後には教皇職をかっさらっていく。大筋、そんな物語だったと思う。
若干あれっと思ったのは、ローレンスはスキャンダルを抱えた候補者に直接詰め寄っていき諦めさせるなど、立ち入った行動にも及んでいる。政治でいえば身体検査みたいなもので、任命責任が問われては大変だ。それにしても政治工作のような行動は、結局選挙結果に汚点を残すことにならないだろうか。
候補者同士が対立する理由について、もう少し思想的な深みが欲しいとも思った。確かにイスラム教徒などの敵を作って戦うのか、内面で信仰を深めるかの対立は描かれているが、こんなに老獪な人たちが最後には「正論」に諭されて投票したのかと思うと、やや拍子抜けだった。総裁選では「選挙で国民に通用するか」という大義に殉じる余地もあるが、この場合は何が決め手になったんだろうか。
書き留めておきたい台詞は、宗教者に必要なのは確信ではなく疑念を持ち続けること。理想を求め続けることが大事であって、理想そのものを体現する教皇を選ぶのは不可能だ(大意)。所詮は人が人を選ぶのであって、そのなかで揉まれて石が玉となっていくように、リーダーの器は作られていくのかと思った。
これは○○○○○映画!2025年どころかオールタイムベストに食い込む
これはドラマであり、ミステリー映画です!!!
ふ〜ん教皇決める選挙の映画〜???くらいの感じで見に行ったら開始数分の教皇が亡くなった時のみんなの重っ苦しい空気に教皇亡くなるとこんなやべえの...と映画にスムーズに入っていける導入になっておりすごい。
八手先まで読んでいる前教皇の仕組んだバッチリとした先の読めない教皇選挙の計画を主人公のローレンスを通じて味わう映画です。
なのでオチに関しては衝撃的かつネタバレです。これは実際に見て味わってほしいですね。
全体的に画面がとても綺麗で落ち着きがあるにもかかわらず、展開が先が読めずどんどん引き込まれて映画に没入しちゃいます。すごい映画でした。
「名作映画集」の一つにチョイスされて数十年後に再度映画館で上映してそうな、とても良く作られた名作映画でした
教皇選挙conclave英語の発音はコンクレイヴ。コンクラーベじゃないよ。
3月31日(月)
先週から観ようと思っていて、なかなか観られなかった「教皇選挙」をTOHOシネマズ日本橋で。
カトリック教会の最高指導者ローマ教皇が亡くなり、新教皇を決める教皇選挙が行なわれる。
教皇選挙は、定員120人以内の80歳未満の枢機卿によりに行なわれ、枢機卿団はサンタ・マルタ邸に泊まり込み外部との接触は断たれ、投票はシスティーナ礼拝堂で行なわれる。2/3以上得票をしたものが新教皇となる。
映画でも電話が全て取り外され、窓にはシャッターが取り付けられるシーンが有る。
物語は静かに展開するので眠気を誘われるというレビューがあったが、私はミステリー要素もあり緊張感を持って観たので眠くはならなかった。
バチカンではロケ出来ないため(そりゃあそうだ。教皇選挙の内容は公開されていない)、セットや既成の建物を使って撮影されているが、雰囲気は素晴らしい。
カメラの動き(動かないのも含めて)、構図、色調、音、編集、衣装デザイン、美術全てが素晴らしく、見終わった後は映画を観たと言う感じを強く持った。
教皇選挙を取り仕切る首席枢機卿ローレンスを演じたレイフ・ファインズが見事である。オジさんばかりの中での紅一点?のイザベラ・ロッセリーニは儲け役での助演ノミネート。
投票が繰り返され票が割れる中、有力候補に次々とスキャンダルや不正が明らかになり、脱落して行く(買収で票を集めるのがジョン・リスゴー)。ローレンスも自分に教皇の目が出て来て色気を持ったりするが、テロによる爆破(それこそ神の怒りのような演出が凄い)で投票は中断。ここでの枢機卿の発言で状況が大きく動く。
テロによる爆破でシスティーナに光と風が差し込み、新たな投票で新教皇が決まる。
第1回目の投票で1票しか得票がなかったものが新教皇になると言う意外な展開だが、更にその後に衝撃的な展開が待っている。
全ては前教皇の思いどおりに運んだと言う事か。前教皇は八手先を読む男だった。深謀遠慮とはこういう事を言うんだな。
無事に教皇選挙を終えたローレンスは、空を見上げ安堵とやすらぎと満足感に満ちた表情を見せる。
シスターが3人出て行く。教皇選挙中の緊張感はない。3人が出て来たドアが閉まる音とともに映画は終わる。
いや、映画ってこれでしょ。
主演男優賞は、レイフ・ファインズが相応しいな。(シャラメは若いからまだチャンスは有る)
作品賞と編集賞は「アノーラ」から「教皇選挙」に変更出来ませんかね、アカデミー様。
脚色賞だけと言うのが何とも惜しい映画であった(個人的意見ですが)。
おまけ
亀は卵のうちは雌雄が決まらないそうです。原作には亀は出て来ないとの事。(又聞きです)
亀は、オスの精子を生きたまま体の中にため込むことができるため、数年間交尾をしなくても有精卵を産むことがあります。この特殊な能力は「遅延受精」と呼ばれます。
「教皇選挙」で亀について勉強してしまった。
おまけ その2
本当に教皇が亡くなりましたね!
この映画を観た後では、どう教皇選挙が行われるのか(行われて決まったのか)、が気になりますね。
キリスト教にちょっと詳しくなった
コンクラーベってものがあるのは知っていたけど、ベールに包まれているものだったので、今回の映画で実際にどんな風に行われているかリアルに知ることが出来た。
刻一刻と新事実が分かっていき、選挙の情勢も日を追うごとに変わっていくので、退屈する暇がなく満足感が高かった。
でも、最後にベニテスがすーって教皇に選ばれたシーンはあっさり終わりすぎな気がしたから、もうちょっとだけ過程を描いても欲しかった。
BGMが”光る君へ”とおんなじ感じやったから、ちょっとだけ嬉しかった。たぶん楽器の系統がおんなじだけやと思うけど笑
非常に効果的なBGM!
このBGMのおかげでサスペンス感が確立したと言ってもいいよね。あと、セリフの音量も切迫感出してる印象。
政治的な駆け引きでどうなるのか?っていうのをうまく引っ張ってる。こういうシーソーゲーム的な展開は日本だと若手でやりそうだよね。そこで、ローマ法王ってことで、年配者たちの立ち回りとなって作品が仕上がってる。これは邦画だと出せない味かな?こう言う展開だと必ずふざけたキャラいれそうだもん。コンクラーベという舞台がシリアスさを担保してるとも言えるからね。いい感じ!
なのは、ラスト前までで、あのラストはなあ、、、正直やるわけないパターンをやったからこその驚きというか。うん、ラストがあかんよね。そう個人的には思った。途中までは★5だったよなあ。でもラストで落ちた。あのオチは、、、ノーコメント。あ、あと、最初と最後のタイトルが画面目一杯なのはちょっとなあ、と思った。合ってないよ、さくひんに
ベリーニ役の人、「ザ・コア」のムカつく学者の人じゃん!めっちゃ、久々に見た!それはよかった!
あ、BGMだけじゃなく、エンドロールの曲も重厚な感じで良かったよ!
2025年劇場鑑賞17作品目
後半の展開は予想を裏切る
枢機卿たちのドロドロとした権力闘争は、どの世界でも綺麗ごとでは済まされない。
前半はややもっさりとした展開が続くが、システィーナ礼拝堂での爆発をきっかけに物語が一気に動き出す。そして、観客が「この人が選ばれるのでは?」と思った人物が新教皇に選出される。物語はそこで終わるかと思いきや、まさかの秘密が明かされ、衝撃のラストを迎える。
先週『エミリオ・ペレス』を観たばかりだっただけに、対照的なこの二本の映画に、今の時代を映し出すものを感じた。
見事な赤の戦慄と隔絶された漆黒の闇、そして天から放たれた白煙に神の姿を感じた!
我々、人と言うものは永遠なる俗世を生きている。
どれほど神に近い言葉を述べ様とも
どれだけ善の行いをしようとて、
決して神には成れないし、
足元にすら遠く及ばない存在なのだ。私は常に自心へ戒めている。
--------
「神はその独り子をお与えになったほどに、世を愛された。それは、御子を信じる者が一人として滅びることなく、永遠の命を得るためである。」
-------ヨハネ3章16節-----
今日は、「教皇選挙」の鑑賞ですね。
カトリック教会のトップに君臨するローマ教皇死去に伴って執り行われる
教皇選出選挙(Conclave・コンクラーヴェ)の内幕に迫った話展開。
今まで幾度となくキリスト教題材の映画は多くあったが、これ程深い感銘を受けた作品は他には無かった様に思います。
大変格式があり、重厚でかつ厳格な思いを受けました。
過去、宗教映画ではトラブル発生が多く 一歩間違えるとデモや裁判が起こり
作品が窮地に陥る事がありました。
アジア圏(日本等)では仏教や無信仰者が多いので この作品を最後まで観て
過剰評価する人が多いと思われますが、実際世界では色々と問題視されてしまう事態も少なくないでしょう。(”パッション”、”最後の誘惑”、””ダ・ヴィンチ・コード”など)そう言った点で本作は最優秀作品には選ばれなかったのかも知れません。
とにかく素晴らしかったです。
最後の最後まで 結果がどうなる事かと・・・
コンクラーヴェを執り行う主人公(ロ-レンス)。亡くなった教皇から使命を受けていて 次々起こる周囲の疑惑、疑念。
これらを一つづつ払拭していく彼。そこは強い信念と ”確信” が無ければ出来なかったであろうと感じ取れます。
-------素晴らしい俳優陣----
トマス・ローレンス枢機卿役:レイフ・ファインズさん
アルド・ベリーニ枢機卿役:スタンリー・トゥッチさん
トランブレ枢機卿役:ジョン・リスゴーさん
テデスコ枢機卿役:セルジオ・カステリットさん
アデイエミ枢機卿役:ルシアン・ムサマティさん
ベニテス枢機卿役:カルロス・ディエスさん
シスター・アグネス役:イザベラ・ロッセリーニさん
------------
(良かったポイント)
・深い疑念、悩みに陥ったとき 一度だけベットに横たわる 教皇のお姿が彼の目の前に一瞬映ります。
この場面、ハッとさせますが 教皇の笑顔がそこにあり、それにより彼の心を
迷うこと無く真成る道へ誘っているのが分かります。
この思いが 観ている方にも伝わってきます。
・教皇部屋侵入:(手紙)
場内108人もの枢機卿への疑惑資料の配布。自ら禁断の部屋へ勝手に入ったこと。部屋全体に轟く驚きと批難の声。
その時にシスター・アグネスが発する言葉が場内を一瞬で静まり納めます。
何故彼がそれをしたのか・・・その行動の意味を知らなくては成りません。
ここの一節は脚本:黒沢さんの”雨あがる”の作品にも 同じ様に感じる所があります。何をしたかでは無く、何の為にしたかを知らなくてはいけないのです。
・爆破と白煙
ローレンスが票を投じたときの場内右上採光窓が自爆テロの爆発の影響で割れて
会場に白煙が全体に舞ったとき。
この一瞬の中に私は何かを画面の中に感じました。
この場面を神の怒りと捉えられる方は多いと思うのですが、これはロ-レンスの迷う過ち”確信”を神が戒めているのだと感じました。
と同時にこの場内で執り行われているコンクラ-ベ自体(枢機卿等へ)への
過ちを指摘しているのだと感じます。
・ベニテス枢機卿の最後の言葉:
今回初めて枢機卿として認められそして招かれ、選挙に参加した人物。
彼の発する言葉一つ一つに ハッと我の心の奥底を覗かれてしまっている事に気付かされます。教皇の持つ絶対的な意味を全員が再認識をした瞬間でしょうか。
そして 漸く投票の結果が導き出されます。
そして、ローレンスの役目に平穏が戻ったと思ったら
最後に、本当に最後に神が投げかける問いがそこにありました。
それは 最初にこの場に集まった者達が口にした事。
”女性では無いこと”・・・ それでした。
性別とは何か?
その真意を神は既に皆に対して見据えておらていたのだと感じました。
・・・・ 深い沈黙と、そして人の願いとしての諦めが漂います。
そこに私達は俗世に生きる人で有る姿を 見たと思います。
~ そっとローレンスが窓の外を見るとき、
三人の修道女が下の建物から出て行く姿があり、あの騒がしかったコンクラ-ベは過ぎ去った事を告げていました。~
ご興味御座います方は
今のうちに
是非劇場へどうぞ!!
ミステリーとは?
「次期ローマ教皇をめぐる極上のミステリーが、その禁を解く」というのがこの映画の宣伝文句である。が、最初に言っておくと「ミステリー」でもなければ「禁」も解いてないし、言わずもがな「極上」でもない。
まず、ミステリー要素が薄すぎる。確かに、有力候補が失脚していく流れのなかに、陰謀めいたものはある。しかし、それも「ライバルの性的スキャンダルの相手をコンクラーベに送り込んだ」というセコいもの。しかも、陰謀要素はこれ1回きりである。これでミステリーなどと胸を張れるのだろうか、と首を傾げたくなる。
そして、展開があまりに大雑把だ。有力候補が消えていき、残るは主人公一派と保守派となる。熾烈な争いが描かれると思いきや、教皇に選ばれたのは見せ場のあまりなかった謎の枢機卿!しかもそのきっかけは「争いはよくないものです(要約)」との言葉のみ。これ一発で教皇選挙を制するのである。そしてその後、実は女性だったことが発覚。もう一波乱あるか…と期待させつつそのまま映画はエンドロールへ突入…。
はっきりいって、超展開としか表現できない。しかも前述の陰謀もどきで2人の有力候補が消えるまで、上映時間の半分以上を費やしているにも関わらず、である。あまりにストーリーラインが乱暴だと言わざるを得ない。「教皇選挙の禁を解く!」などど言うからにはコンクラーベの闇や深淵に迫れると思いきや、この体たらくである。
その他、いきなり第一回選挙で黒人枢機卿がトップに何の違和感もなく躍り出たり(現教皇であるフランシスコが初の南米出身!と騒がれたことを鑑みれば、あまりに非現実的なことがわかるだろう)、建物外の自爆テロで教会の壁のおかしなところが壊れるなど、違和感を覚える部分も多々あるが、上述の問題点と比べれば些末なものである。
このように、この映画が「極上のミステリー」などではないことは明白だ。であれば、何をしたかったのだろうか。考えるに、「教皇選挙」は舞台仕掛けに過ぎず、作中で繰り返される「多様性」や「進歩」を訴えたかったのだろう。言い換えれば、制作陣の思想が第一であって、カトリックという宗教はそれをミステリもどきに見せるおもちゃにされたのではないか、と邪推せずにはいられない。
他方、ネット上ではこの映画を評価する声もある。しかし、それは「教皇選挙」というよく知らない宗教の未知の儀式を見たから面白く見えるだけであって、それは某スペイン村に行ってはしゃぐ子どもの反応と大差ない。あるいは、この映画の露骨すぎるメッセージに共感する人は、内容ではなくイデオロギーでもって評価するだろう。いずれにせよ、「物語」として評価の俎上に上がるものではない。なお、登場人物の演技やカット等、単なる映像作品としては光るものがあったことを申し添える。
これは満点
映画を観てると、冒頭からこれはヤバい、面白いヤツだと思う作品が稀にありますが、この映画はまさにそのような映画。
基本的に会話劇にもかかわらず、この緊張感!思うに、録音(音と劇伴がめちゃくちゃいい)と演出がすごいんだろうな、と素人ながらに思わざるを得ない。これは詳しい人に解説してもらいたい。
レイフ・ファインズの顔を大きく捉えるカットが多い。それはすなわちローレンス枢機卿の苦悩。個人的な苦悩を抱えながら、役割を全うしようとするローレンス卿。管理者とはかくも孤独。身につまされますねー。いちど教皇になる覚悟を決めるイコール苦悩を乗り越える覚悟。めちゃくちゃかっこいいです。
物語はそこから少し逸れて行きますが、今のアメリカの状況に対するアンサー的でもあり、個人的にストンと腹落ちしました。
野心とは、かくも醜いもの、人間とは聖職者も変わらず弱いもの、それを喝破した者が教皇になるラストに救いを感じました。映画(や物語、創作物全般)を通じ希望を感じることに喜びを覚えます。ほんとうに、めちゃくちゃおもしろかった!!!
世界の縮図としての教会
エンタメとしてのミステリーの面白さと、現実世界への批判や問いかけが見事に融合していて、マジで面白すぎる!
カトリックの枢機卿なんて日本だと身近ではないけど、
ちゃんと1人の人間として描かれていたから主人公を応援しながら最後まで楽しく鑑賞できた。
コンクラーベ中に発覚していく枢機卿たちの汚点は現実より軽く感じたけど、汚点そのものより、主人公ローレンスがそれに対してどう行動するかが面白かった。
最初は、仲間である枢機卿への疑いについてどこまで踏み込むべきか…という葛藤に始まり、徐々に管理者として正しいと思う事と教会の規則を天秤にかけるなど、どんどん葛藤が大きくなる。そして悩みながらも規則を破っていくさま(前教皇の部屋への侵入とか)はとても痛快。
そしてラストにはバチカン史上1番の規則違反かもしれない事に直面したけど、自分の正義を信じて沈黙することを選ぶ。
シーンとしては静かだけど、やってる事は超破天荒な感じがとても魅力的な場面だった。
私は幼稚園から高校まで一貫のキリスト教系の学校出身。キリスト教が身近な環境で育ったけど信者ではない。幼稚園の時とかは言われるがままに色々信じてたけど、小学校くらいから次第にキリスト教の教えと現実の矛盾、みたいな事に疑問を持ち始めたのを覚えている。
映画でも描かれていたけど、教えでは人間はみんな平等と言いながら、神父だけが豪華な服を着て、シスターは質素な服で下働きみたいな扱いな事とか。
苦しんでる人は助けなきゃいけないと言いながら、同性婚は認めず、それで苦しんでる人には神に祈って許しを求めろとか言う事とか。
でもこういう長い伝統の中で出来た規則が、世の中の変化に対応出来なくなる事って教会だけじゃ無く、組織や会社や家族とかだってある事だと思う。
今まさにバチカンでも、様々な矛盾に対して伝統を守るのか革新するのか揺れている真っ最中らしい。
この映画ではこういう葛藤に対してどうするか主人公の行動によって示しながら、鑑賞者に問いかけてくる。教会という特殊な場所を舞台にしながら普遍的なメッセージがある。
女性や様々なマイノリティの立場についての映画は色々あるけど、舞台を世界で最も歴史が長く保守的な組織のひとつであるバチカンにした所に、原作のコンセプトの強さがあると感じるし、挑戦的でとても好き。
ストーリーやテーマ以外の、音楽や美術や衣装もとても見応えがある。枢機卿の衣装が豪華で権威的な感じはムカつく!でも素敵!コンクラーベの時だけにしか使われないだろう道具も見ていて楽しい。
ずっと同じ所にいるのに飽きないのは、演出的にも色々工夫がされてそうだけど、初見ではそこまで追う余裕は無かった。
それくらい細かい所まで色々作り込まれている。
他にも確信を疑う事が大事(意訳)とか、ありのままの自分で勝負する!(超意訳)などのセリフや
さりげなくもしっかりシスターの存在感があった事など
響く所の多い好きな映画だった!
我々は生身の人間だ
バチカン市国の国家元首であるローマ教皇が急逝し、コンクラーベ( 教皇選挙 )を取り仕切る事になったローレンス枢機卿をレイフ・ファインズ( 映画「 イングリッシュ・ペイシェント 」では冒険家アルマシー役を。)が好演。
室内の設えがシンプルで美しい。
聖職者であるが故に葛藤する候補者達の姿がリアル。
繰り返される投票 … 。閉ざされた場所での孤独な戦いが続く。
予期せぬラストに驚かされた。
ー 神のご意志に
映画館での鑑賞
全169件中、81~100件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。