教皇選挙のレビュー・感想・評価
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ダイバーシティの準備はできているか?
見事なストーリー!
最後のひねりはあなたならどうするという投げかけが凄い!
映像も美しかった。
選挙の時に党として公認するかしないかというところでも似たような葛藤があるんだろうな。とも思ってしまった。
チェックメイト!!
内容バリ難しかったけど、展開に弛みが無いのと建物が美し過ぎて2時間あっという間だった。
登場人物も少なく、キャラクターも立っていて観やすい。
ローレンスが悪いやつじゃなくて良かった。
鑑賞後リアル教皇選挙について調べて勉強になりました。。。
最後のオチ
誰が選ばれるのか、ロビー活動を見ていて、ベニテスが現れ、こいつがカギを握ってると思い、最後はベニテスが選ばれ、実は1番の悪者で、ニタっと笑って終わりで普通の映画だったけど、
最後の3分のオチで星一個増えた!
最初の2時間なんやってん!
何と戦うのか?
タイムリーだった教皇選挙という歴史的イベントを通して、人間の本質に迫った今作は、シンプルなストーリー展開ながら非常に見応えのある2時間になっている。人間の持つ欲望とそれぞれが持つ信念や信仰に着目しながら、それぞれの人間ドラマを描く。キャラが立った登場人物達の人間臭さをストーリーを通して魅せていく。ただの宗教映画になっていないのがすごい。
教会への疑念に対し、「多様性が力を与える」「確信が寛容性への敵」と信念を燃やすローレンス枢機卿は最後まで試される。完璧に思えた教皇の知らない一面を知り、確信の狭間に立たされた彼が、最後に空を見上げるシーンは印象的。
音楽的にも、視覚的にも楽しめる今作は、作品全体を通して映る赤色に反して「スピーチ」後の白い傘のシーンには、ハッとさせられるところがある。
他の方も書かれているように想像以上にエンタメ性があり、嬉しい驚きがある映画だった。
すうききょう
カトリックの教皇を決める選挙「コンクラーベ」
前教皇が策を練り、ローレンス枢機卿が執り仕切る中で、その策が功を奏す。どの枢機卿にも疑いがあり、選挙という分かりやすい構図は見応えがあるし、映像も雰囲気も良さが出てると思った。
良い作品のせいか展開を少し期待しすぎたため、物足りなさを感じてしまった。
結局は神の思し召し??…
例え、それが女性であっても。。この多様性の時代、国、人種別け隔てなく、そう性別も。確かに!とラストは唸った。ある者は過去の性的スキャンダル、それを利用し、更には金で票を買う者、異国のテロに乗じ、異教を忌み嫌い、排斥しようとする者、票が集まらず、票が集まる友に嫉妬し、諦める者、祈りに疑念を感じながらも他者を教皇にするくらいならと仲間に説得され覚悟を決める者…それぞれの思惑、陰謀渦巻く模様が描かれ、不穏な効果音が密室で響く度に緊張感が増した。皮肉なことにテロで壁が崩壊し、外から差し込む光がベニテスの正論と共に突き刺さり、一気に密室の中の鬱屈した空気が開放される。ラストの意外性、誰もがハッとするが女性で何が悪い、ある意味、神のお導きかもしれない。
面白かった。
私みたいな無神論者からすれば、薄汚い蹴落としあいを傍観できて楽しかった。
それと、なかなか進まない選挙の様子にだんだんイライラしてきて、思いました。
「根くらべ」になっちゃうなぁ、と。(笑)
なぜこうも重なって見れるのか
人生において教皇について考えることはなかった。
「教皇=すごい人」くらいのやんわりとした認識しかなく、楽しめるか不安だったがしっかりと胸を鷲掴みにされた。
「確信」が持つ危険性、疑うことの必要性が説かれ時は、ついつい数週間前の参議院選挙を思い出した。
また、「誰と戦うのか」という問いもとても良かった。
仮想敵を作り、そこにヘイトを向けて支持を集める政党は国内外問わず珍しくない。
今だからこそ見応えるのある内容。
また、“極右”の候補者に喝ことをドラマチックに描かず、あくまでそこをゴールにしていない描き方も良かった。
激しい展開感がないにもかかわらず、ここまで引き込む見せ方には驚きしかない。
映画は素晴らしかった
映画には重い感銘を受けた。
カトリック世界の思索や文化の蓄積、その宝の中に含まれてしまった誤りを正そうとする続く人々の努力、これから世界を明るませるだろう光などが描かれていて、原作があるようなので、本でも是非読みたいと思っていた。
が、日本ではまだ翻訳も出版もされていなかった。
そして「LGBT一掃されるところが早く見たい。」と過去ツイートで語っていた人(書房?出版社?経営者?)が翻訳出版権を獲得したらしいと知り、疑問や焦燥、間違いであって欲しいとの願いで一杯になった。
話の運びももちろん、映像が美しかった。翻訳文はどうなるのだろうか。装丁は。書体は。
映画は素晴らしかったのに。
どのシーンも芸術的!素晴らしかった!
コンクラーベがどのように執り行われるか興味津々だったので鑑賞。
学生時代に丁度コンクラーベが行われて、自分たちのバンド名に「コンクラーベ」を入れたくらいの馴染み。
教皇が決まるまでおじいちゃん達が閉じ込められて選挙するイメージだったが、今はちゃんと宿泊施設もあるのね。
昔はなかなか決まらず閉じ込める事にしたとか。
伝統的な建物や服飾がとても美しい。
一度システィーナ礼拝堂に行った事があるが、あまりにも大きく立派で巨人でも住めそうだなと思った笑
しかし、所々に彫刻や壁画があったりで、とても緊張感のある場所だった。
映画は教皇が亡くなってからコンクラーベがはじまり、淡々と進むが中身はサスペンス。
陰謀や憶測が渦巻き、まさに「確信」の狭間で揺れ動く。
誰の言葉を信じればいいのか、観ているこちら側もまんまと翻弄された。
選挙のように推しを見つけて選ぶ感覚だったが、誰になるのか最後まで分からない!
映像がとにかく計算された芸術的なシーンが多く、とても美しかった!
亀ちゃんも可愛かったなぁ。
最後はとんだ秘密が明かされ驚愕!!
いやぁ、良い流れだった!
ありのままの自分で生きよう!!
4ヶ月で解禁?
3月に劇場公開されて4ヶ月後に、ネットで観ることが出来るなんて
嬉しいけれど、採算はとれるのかと心配してしまう
なんということでしょう!!
この映画の公開直後に、実際にコンクラーベが行われるとは
12年ぶりという凄いタイミング
新教皇ルイ14世は、イタリアではなく アメリカ出身
映画では新教皇も、 イタリアではなく メキシコ出身(原作ではフィリピン人)
共通点がいっぱいで、なぜだかドキドキする
13年前に全10話からなる『ボルジア家 愛と欲望の教皇一族』というドラマを
見ていたので、政治の世界と同様、ドロドロの選挙だとは知っていたから
驚きは少ないはずだったのだけれど
さすがに、最後の大どんでん返しにはビックリした
そう来たか!!!!
あの時もドラマ後に、実際にコンクラーベが行われてるのも不思議な一致
聖職者の頂点に立つはずの枢機卿達でさえ
「汚点のない候補者などいるはずがない」と・・・・
ベリーニも謙虚な言動を周囲に見せつつも、
奥底ではTOPの座に着きたいという黒い心が蠢いていたんですね
況や 政治家をや 況や い●ばをや
権力の座にしがみつく哀れな姿を、
自分では鏡のように写して見ることは出来なくなるものなんですね
これぞ権力の魔性
アグネスが「私たち修道女は目に見えぬ存在ですが、神は目と耳を下さった」と勇気を持って述べた瞬間と、
ベニテスが口を切って皆を一括するように語った瞬間が1番スッキリしたシーンだった
チェスを思い出しながら放った「教皇は常に8手先を読む」という意味深な発言
もし有力候補の悪事をローレンスが暴き、ベニテスが新教皇になることまで見通して教皇が采配をしていたのなら、それこそまさに『神業』だ
そして爆破事件は、本物の神の仕業???
結局、1番相応しい人が教皇に選ばれたことで、教会の崩壊は免れた
ローレンスの活躍は「天晴れ!」 彼にしか出来ない役割だった
徒然なるままにいくつかを
①さすが、バチカン!枢機卿達が泊まる部屋のなんと豪華なこと!
1泊30万円くらいしそうです
②ミケランジェロの天井画 もっとゆっくりと堪能したかったな
③実際にシスティーナ礼拝堂で撮影されたのかな
内容だけでOKがでたとは思えない いくらもらったのかな
④旧教皇は、毒殺された? だとしたら犯人はトランブレなのか
元も子もない質問を最後に投げかけます
教会って必要なの?
宗教って必要なの?
神様って実在するの?
仏教も イスラム教も ユダヤ教も どの宗教も、
人々が信仰を深めれば深めるほど、政治に利用されるし
政治そのものでもあるのだから
鑑賞し終わった人は、是非公式サイトの特設頁を見て欲しい
監督の細部に至るまでのこだわりに、唖然としてしまう
確認のためにも、もう1度観てみよう!と、きっと思うでしょう
単なるサスペンスかと思いきや、、、
てっきり前教皇が殺されて、枢機卿の中に殺人犯がいて密室のコンクラーベで次々と候補が殺されていく、、、みたいなチープなんを考えておりました。
ほんましょーむなくてすみません!!
実際はもっと高度な政治の世界。
それを取り仕切る主席枢機卿のローレンスは少しでも公平に選挙できるよう務めるが、教皇候補の枢機卿達のとんでもない隠し事が次々と発覚してーーー。
実際のコンクラーベ期間に映画館で観たかった😭
白人×リベラル層に媚びた、賞レース向けの傑作です。
ポリコレのダブスタ自己欺瞞が顕現した傑作。
意図してやってるなら最早リベラルへのネガキャンだし、そうでないなら尚救いがない。
死んだリベラル派の前教皇が今わの際に送り込んだ、性分化疾患&イスラム地域出身の刺客が、前教皇のシナリオ通りに新教皇になるお話。他の枢機卿は皆、死んだ前教皇の掌の上であり、さしずめ道化。
上記のようにポリコレメッセージを前面に押し出してくる割に、
・下半身の問題を起こすのは黒人
・東洋人の枢機卿は(ぜんぜん実在するのに)面白いほどに登場しない
など、無意識に監督の差別感情が漏れ出している or 意識的に白人×リベラル層に媚びている様が痛快(さすがに後者だと思いたい)。
バチカンを舞台にしているが、バチカンである必要性は全くと言って良いほど感じられない。
作り手側の
・批判しやすい(そして、そのことでメッセージを発信しやすい)
・映像作品にしやすい(舞台装置が単純なのに映像映えする)
・注目を浴びやすく収益が見込める
という都合で、インスタントに消費されてしまったローマカトリック教会にアーメン。
信仰とは何かとふと考えた
私はキリスト教徒では無い。
しかし何故か子供の頃からずっと、
イエス様とお釈迦さまに関心があり、
色々と本を読んだり調べてみたりした。
二人がどんな人なのか何故か知りたかったから。
そして現在、結局のところ、
キリスト者では無い、
神道の国に住む、
現世利益の時々なんちゃって仏教徒として、
この映画を見た。
しかしそれでも、大ラスがとても刺さった。
最初からかなり長い間、
カトリック教会の総本山の世俗的な権力闘争、
権力への露骨な欲望が描かれ、
ここら辺は言わば、
我々の社会にも起こっている事の縮図なのだけれど、
最後の最後で、
教皇に選ばれた人の中に宿る、
「社会的弱者への寄り添いの心」、
「他者ではない、自分の中にこそある偏見と、
そこから来る闘争心、排他的な心の克服」、
そして、
「その時代のその社会に於いて、
最も偏見に晒され、特異な存在こそを、
神様は愛されるのではないか」的な、
告白に胸熱になった。
現代社会に蔓延する偏見と差別、
自分だけ良ければいいという利己的な世界の拡大、
ジェンダー問題、
そういう事ごとと向きあう象徴としての結末とも言えるが、
私個人はさらに、
もしもイエス様が現代に生きていたら、
そう言ったのかもしれないなと、
そういう方向で感動してしまった。
複雑化する現代を教皇は救えないかもしれない。
しかし、その精神は生き続ける。
そういう事がそもそも「信仰」なのではないか。
教団とか信仰団体というよりも、
宗教の始祖の持っている、
素朴で切実な、
人間への強い愛情とか理念とか、
それそのものが現代に復活しているような感慨に襲われ、
とても余韻があった。
信仰と現実の間で、
この映画の新教皇はどう生きていくのだろう。
実はそれも色々想像して感慨深かった。
最後に。
システィーナ礼拝堂が爆破されるシーンには、
流石に度肝を抜かれ、
カトリックの枢機卿たちの衣装の色彩と、
建造物や庭の美しさも印象深い。。
教会巨大組織のスキャンダル合戦
結果的には面白かったです。
が、盛り上がりに欠けるシーンも多くあり少々「ダレる時間」もありました。
……不覚にも、第3回投票の終わりから第5回投票の始まりまでの間、意識を失ったしまいました。
ちょっと盛り上げ要素の一つの「音楽」が、同じテンポが多く、演出も極度の誇張した表現を抑えていたのか、盛り上がれなかった自分がいました。なので、眠気に……。
さておき、教会内のしかも最上位の教皇を選出する場が、あまりにも「俗世的」過ぎて、スキャンダラスまみれの欲望まみれの利己的まみれ。
そこがある意味で、聖職者とはいえ人間だもの「ですよね~」と、映画として面白く見れました。
はっきり言って、選出された代表格には誰一人としてふさわしい人がいなかったことが、風刺的な見解も織り交ぜて制作されたのかなと思ったりします。
あくまでもフィクションなので、余りにも選出されるには不適合の人物たちが普通に候補に上がり、もしローレンス枢機卿が取り仕切らなかったら、そんな人物が教皇になっていたと思うと、「ただの会社組織じゃん」と、思う次第でした。
そのローレンス枢機卿でさえ、感情的で利己的な人物像として描かれていましたので、聖職者って何なんだろうと呆れていた矢先、唯一の「適合者」選出がギリギリの最終投票で出現。
ベニテス枢機卿。
まず協会自体において選挙初日直前まで存在が隠されていたり、活動していた地域が過酷な地ばかり。
物語の途中途中、淡々と存在し自分の信じるものを曲げない、冷徹に見える態度。
最後の身内会談の際に、今まで奇妙なほど他の聖職者たちが口にしなかった、余りにも慈悲深く聖職者らしい発言。
そして当確。からの、「実は……」とローレンス枢機卿に打ち明ける同僚聖職者。
このくだりの時点で、今までのスキャンダラス合戦から考察して、病院?え、薬物?二重人格的暴力者?
もしかしてベニテス枢機卿は反社会組織関係者?教会の計画的支配??などと、どうしようもない人間の集まりの中において、ある意味期待をしていたら……あの展開は、正直感心しました。
そして、エンドロールを見ていながら考察したのは、以下。
①ベニテス枢機卿の姿がまさにキリスト様を連想させており、そのスキャンダル内容も、キリスト様を連想させるものだったのでは。
※キリスト様は性別に関しては明確な表現がなかったはず。
②その存在に、故教皇はキリスト再来を想い、あえて周囲の目から遠ざけていたのでは。
③聖職者とはいえ、組織は所詮俗世的である事は必然だし避けれない。だが、上層部ではない聖職者達は、心から慈愛を信じているという事に意味があり、本作の教皇選出は、真の聖職者の出現を期待するメッセージも込められているのかなと思えました。
④また老婆心的に、歴史を振り返ると「真の聖職者」は欲望の権化である人間社会からは、いずれ必ず滅ぼされてしまうのも運命なのかも……とも思ってしまいました。
以上、結果的に結句の「観せ方」はとても感心しましたので、観てよかったと想いました。
最後に、本当に普通の会社組織の役職者達だったなーと思いながら、面白く感じながら帰路についた作品でした。
前教皇の慧眼
滑り込みで鑑賞。ほぼ満席でびっくり。
前教皇の描いた筋書きが、見事にハマっていく、最後になってわかる爽快感があって楽しかった。
一つだけ、前教皇は、手術しないという選択まで読んでいたのかだけ気になった。(そうだったらいいな)
現在を深さで捉え直す傑作だと思われました。
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと、今作の映画『教皇選挙』を大変深く面白く観ました。
私が観た範囲の今年のアカデミー賞の関連作品で、個人的には、1番アカデミー賞に相応しい深さある傑作に感じました。
今作は、亡くなったローマ教皇を継ぐ、新しいローマ教皇を選ぶ選挙(コンクラーベ)の話です。
主人公・ローレンス枢機卿(レイフ・ファインズさん)は、教皇選挙(コンクラーベ)を執り仕切る役割でしたが、選挙に先立って行われた彼の「確信は団結の最大の敵であり、寛容の致命的な敵です。」という趣旨のスピーチは、映画の序盤で既に感銘を感じさせていたと思われます。
ところが、この主人公・ローレンス枢機卿の、観客にも感銘あった序盤のスピーチは、すぐに伝統保守派のテデスコ枢機卿(セルジオ・カステリットさん)への投票を弱め、主人公・ローレンス枢機卿も支持するリベラル派のベリーニ枢機卿(スタンリー・トゥッチさん)への投票を増やす意図があったことが明らかになります。
つまり、主人公・ローレンス枢機卿が行った感銘ある序盤のスピーチは、スピーチ内容とは別に、ある種の党派的な意図が背後に隠されていたとその後に分かるのです。
このことにより観客は、(伝統保守派の「確信」を半ば否定している)感銘を感じた主人公・ローレンス枢機卿の序盤のスピーチの背後に疑念を持ち、主人公・ローレンス枢機卿を含めたリベラル派にも疑いを感じることになります。
しかし今作の凄さは、このリベラル派にも向けられた観客の疑念に、制作者側も全く自覚的だった所にあると思われました。
問題あった候補者が脱落して行く中、リベラル派のベリーニ枢機卿を含めて誰もローマ教皇の選出のための投票の2/3を超えない中、多くの紛争地域を渡って来たベニテス枢機卿(カルロス・ディエスさん)は、選挙前に行われた主人公・ローレンス枢機卿のスピーチによって、主人公・ローレンス枢機卿こそ教皇に相応しいと彼自身に伝えます。
ただ、主人公・ローレンス枢機卿は、自分は教皇の器ではないと、このベニテス枢機卿の申し出を断り、リベラル派が勝つためにベリーニ枢機卿に投票しようとしないベニテス枢機卿に怒りすら覚えます。
しかし、リベラル派のベリーニ枢機卿から、”自分の教皇名を考えてないのか、誰しも教皇になろうとする野心があるはずだ”、などの話もされながら、ついに主人公・ローレンス枢機卿は、リベラル派の代表として自身の名前を投票する決意をします。
ところが次の投票時、主人公・ローレンス枢機卿が自身の名前を投票した直後に、テロの爆弾が投票場所のシスティーナ礼拝堂で爆発し、選挙は中止になります。
その後に枢機卿たちが集まった中で、伝統保守派のテデスコ枢機卿が、テロ犯と伝えられたイスラム過激派を非難、彼らと戦うべきだと主張します。
しかし、紛争地を回り実際の戦争を経験して来たベニテス枢機卿は、伝統保守派のテデスコ枢機卿のテロを起こしたイスラム過激派との戦いの考えを否定し、教会の教えを周縁まで伝える重要性を訴えます。
この時の、本来のカトリックの教えに通じるベニテス枢機卿の訴えは、静かに枢機卿たちの心に届き、そして再開された選挙で、ついに紛争地を数多く回って来たベニテス枢機卿が新しいローマ教皇に選ばれるのです。
ところで、予想外でもあったベニテス枢機卿が新しいローマ教皇に選ばれた直後に、ベニテス枢機卿は、即座に自身の教皇名「インノケンティウス」を示します。
このことは、ベニテス枢機卿にも教皇になるという野心があった(前もって自身の教皇名を考えていた)ことが、暗に、主人公・ローレンス枢機卿や観客に伝わった瞬間だとも思われました。
つまり、ベニテス枢機卿に対しても、最後に皆が持った彼への全面的な正しさの「確信」に、ここで作品として疑念を差し挟んでいると思われるのです。
今作は最後に、ベニテス枢機卿に関する驚きの深層が明かされます。
そしてこのことは亡くなった前ローマ教皇も知っていたことが、主人公・ローレンス枢機卿に伝えられます。
主人公・ローレンス枢機卿が、ベニテス枢機卿の深層を知った時に、”さすがに新しいローマ教皇としては問題があるのでは”、と、ローレンス枢機卿も思っただろうと、彼の表情などから観客にも伝わります。
しかし同時に、主人公・ローレンス枢機卿が、新しくローマ教皇に選ばれたベニテス枢機卿の深層に抱いた”新しいローマ教皇には問題あるのでは”との疑念の想いは、彼が大切にして来たリベラル的な考えとは異なる、伝統保守的な考えから出ていると伝わるのです。
そして主人公・ローレンス枢機卿も、いかに自分も保守的な「確信」から逃れられていないかを、この時認識したと思われるのです。
今作の映画『教皇選挙』は、「確信」を疑い、人々への寛容を取り戻すことが、根底に流れた作品だと思われました。
そして、その過程で遭遇する人間の矛盾と、寛容を取り戻すことの困難さを描いた作品にも思われました。
この今作の根幹の眼差しには、個人的にも深い感銘と同時に共感し、エドワード・ベルガー 監督や脚本のピーター・ストローハンさん、原作者のロバート・ハリスさん、などに対して、称賛と心からの同意の握手を求めたいと、僭越思われました。
今作は、描かれている舞台は狭い範囲ですが、そこからの内容の広がりと深さは、現在に必要な最重要な作品になっていると、深い感銘を感じながら今作を観終えました。
テーマありき?
厳しい見方かもしれないが、ちょっとうんざり。ローマ教会の風通しが悪いことはわかった。しかし、アフガニスタン出身の教皇が、戦争や対立を肌身で知っている「記号」として登場して、最後にかっさらっていくという構造が強引すぎる。言いたいことはわかるが、リアリティがなさすぎ。あの主人公の羊の管理人を仰せつかった人の方がまだリアリティがある。あとはシスターたちかな。シスターが下働きしかしていないことが驚きだった。そこが光っていた。ラストシーンも。つまり、あれだけ教皇選挙を見せられたが、何も変わらないという予感しかない。そんな映画だった。
祈りへの疑念
誰が教皇にふさわしいかという問題は、歴史を踏まえて、これから求められる世界がどのようなものかということと関係していると思う。
したたかに金で票を得る者。
陽気で明るいが、過去の過ちを隠す者。
宗教戦争を厭わず、差別を行う者。
それを冷静に諌める者。
最後に選ばれた者の言葉と、枢機卿たちによる選択に、未来への希望を持つことができた。
それは、戦争を肯定すべきではないということ。
また、世の中の考え方が正しいか疑念を持つことを肯定するということ。
傷つけられる世の中に、疑念を持って良いのだと、救われる気がした。
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