教皇選挙のレビュー・感想・評価
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教皇はこのひとで良いと思う
最後に予想もしなかった方向からの爆弾がきました。最初から感じていた違和感(カトリック教会が男社会だということ、彼らに奉仕するシスター(女性)はあくまでこの世界ではおまけの扱いだということ)、とはいえ映画の本質ではないと思っていたこの違和感が、実は一つの伏線だったかと。新しいテクノロジーは入ってくるのに、人間の頭が一番固い。ぐるぐる考えるのはやめて、新しい人に任せましょう。
これは満点
映画を観てると、冒頭からこれはヤバい、面白いヤツだと思う作品が稀にありますが、この映画はまさにそのような映画。
基本的に会話劇にもかかわらず、この緊張感!思うに、録音(音と劇伴がめちゃくちゃいい)と演出がすごいんだろうな、と素人ながらに思わざるを得ない。これは詳しい人に解説してもらいたい。
レイフ・ファインズの顔を大きく捉えるカットが多い。それはすなわちローレンス枢機卿の苦悩。個人的な苦悩を抱えながら、役割を全うしようとするローレンス卿。管理者とはかくも孤独。身につまされますねー。いちど教皇になる覚悟を決めるイコール苦悩を乗り越える覚悟。めちゃくちゃかっこいいです。
物語はそこから少し逸れて行きますが、今のアメリカの状況に対するアンサー的でもあり、個人的にストンと腹落ちしました。
野心とは、かくも醜いもの、人間とは聖職者も変わらず弱いもの、それを喝破した者が教皇になるラストに救いを感じました。映画(や物語、創作物全般)を通じ希望を感じることに喜びを覚えます。ほんとうに、めちゃくちゃおもしろかった!!!
十字架に架けられたのは一体誰なのか?Who was truly crucified?
宗教の役割とは?
信仰とは?
その中心で一体何が起こっているのか?
宗教上のリーダーを決めるとはいえ、
そのやりとりはどこまでも政治的だ。
周知の候補がいて、
出る出ないのやりとりがあり、
いろんな事が起こり、
ラストへ向かって行く。
この作品の中で、
宗教者としての矜持なのか、
その宗教界での慣例なのか、
宗教とは?が問われる場面がクライマックスになる。
途中から、
これはイエスが十字架にかけられた
ローマ総督ピラトの時代なのか?
本当に現代を舞台にしているのか?
よく分からなくなった。
慣習や教義に疑義を唱える、
それに抗うゆえに、
その者は十字架にかけられる。
この映画で十字架に架けられたのは
一体誰なんだろう?
とその疑問が頭の中をぐるぐるしている。
What is the role of religion?
What is faith?
What exactly is happening at its very core?
Even though the purpose is to select a religious leader,
the entire process is deeply political.
There are well-known candidates,
debates over who will run or withdraw,
various events unfold,
and the story heads toward its climax.
In this film, there’s a climactic moment where the question “What is religion?” is raised—
whether it’s a matter of religious pride
or merely tradition within the faith.
At some point, I began to wonder:
Is this set in the time of Pontius Pilate,
when Jesus was crucified by the Roman governor?
Or is it really set in the present day?
It became increasingly unclear.
Those who question tradition or doctrine,
those who resist it,
are the ones who end up being crucified.
So, who was crucified in this film?
That question keeps swirling in my mind.
教皇も人の子
枢機卿も人の子なわけで、たしかに、こんな選挙を仕切るのは大変ですよね。でも、ルールを犯してまで背景を追求するのが良かったのか否か。「世界で最も有名な人物」を決める方法の真摯さを見せつけられながら、仕切ることを教皇から求められたことの重圧も想像に余りありました。
総理大臣もこうした形式で決められたら良いですよね。
分かりやすく「首席」の立場の人が継げば良いのでは、と何度も感じながら静観しましたが、一連の決め方には納得せざるを得ないものを感じましたし、展開は隙のないミステリーに仕上げられていました。その意味でも、「疑念」は大事な要素でしたね。
顛末は想像を超えたものがありましたが、ある意味、爽快さを感じさせられました。
ドロドロした人の動きと対象的に、背景・景色や衣装のキレイさが見事でした。
加えて、「クイズショウ」でもみられたレイフ・ファインズの困惑した表情、表現が目を見張りましたし、変わらぬカッコ良さに羨ましさを覚えました。
やや細かい知識が要求されるがおすすめ枠か(補足入れてます)
今年96本目(合計1,638本目/今月(2025年3月度)30本目)。
日本ではダジャレ用語としての「根比べ」なんていいますが、実態(この点後述)は映画のように投票の繰り返しで、その中でいろいろな駆け引きがあるものです(もっとも、この作品それ自体は架空のお話ですが、歴史上、この投票は何度も行われている点は事実なので、その点においては「やや」ドキュメンタリー映画という観点「も」存在はする)。
その選挙をするために各国から大司教がやってきて投票を繰り返す…のですが、いろいろな国からきているため、出てくる言語が結構多く(イタリア語、フランス語、スペイン語のほか、当然、教会ラテン語まで登場する)、なかなかマニアックだなぁ…といったところです。ただ、ストーリー「それ自体」は架空のものとしても、なかなかマニアックな知識が要求されたり、さすが良い作品だなといったところです。
当然、このような作品であるため特殊な専門用語も多く(ただし、補助字幕は一切出ない)、中には関係者(?)の方しかわからないのでは…といったマニアックな語も出ます(一応、日本は漢字文化圏なので、漢字から推定可能)、字幕の補助として聞いている字幕も、単語が極端にマニアックで(英検1級でも足りないか。極端にハイレベルな用語が登場するなど。ただ、分野偏りのようで、大半はわかるレベル)、日本では補助字幕など工夫があればよかったかな、といったところです。
採点上、以下はちょっと気になったので書いておきます。
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(減点0.3/「イタリアは40年以上代表を出していないんだぞ」の発言)
more than 40 years ですが、more than は「その値を含まず、その値より大きい」しか意味しないので、これだと「40年と1秒以上」にしかなりません(40年ちょうどを含まない)。ただ、この誤訳は結構どの映画でも見られるため減点幅は通常0.2の固定幅の扱いのところ、この映画の趣旨的に解釈が変わってしまう恐れのある誤訳であり、減点幅をあげています。
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(減点なし/参考/教会法(カノン法)とこの映画、および日本などとのかかわり)
ヨーロッパではイエスキリストの時代から法律という概念はなくても、実質的に民法商法といった概念は「概念としては」存在しましたが、近現代になって法の考えが確立していったとき、教会に対して、信者に対して適用される法、あるいは教会内部でのみ有効な法という概念が確立しました。これを教会法(カノン法)といいます。映画内でも字幕でちらっと出てきます。
映画の中で延々と投票を繰り返しているシーンも実はこのカノン法由来のもので、通常の選挙であれば、こういった場合、決選投票(上位2人か3人。2人が通常多い)として「他には投票できない」というルールが一般的ですが、「現在でも有効な」、映画内でもとられる投票制度は「決選投票は通常用いず、議論を経て3日たっても決着しない場合(2/3以上の有効投票がない場合)、一度休息を経て(この「休息」は教会的な意味だが、実質的には数日空ける、程度の意味)、その後の数回の投票でもさらに決まらない場合にはじめて決戦投票が用いられる制度となっています(現在の教会法(カノン法)。日本でも行われうるため日本の教会のサイトにはたいていこのことは掲載されています)。
日本では、明治維新のときにフランス・ドイツの考え方を取り入れた帝国憲法時代の初代民法(旧民法)が定まりましたが、江戸時代に弾圧されていた経緯もあり、カノン法という考え方が積極的に取り入れられることはなく、第二次世界大戦後は政教分離の原則も定まったため、日本には「表立って」教会法(カノン法)という概念は存在しません。ただし、日本においても教会内部で「のみ」有効な法(「法」というより、マナーといったほうが良いか)は日本版カノン法として定まっており、教会内部でのもめごとは、日本では「単なるマナー違反にとどまる限り」、教会内部の「管区裁判所」(東京、大阪、長崎)に設置されているところで審議されます(日本においては、日本国憲法上の「裁判所」との区別のため、和解制度のような動きになっている)(この管区裁判所の制度もカノン法によるもの)。ただし、それに不服があるものは必ず「通常の」地方裁判所等に接続ができる仕組みになっています。これは日本国憲法との兼ね合いです。
※ このあたり、なぜかよく書けるのは、日本では「信教の自由」と「裁判制度」の兼ね合いで憲法判例の学習上出てくるところであるためです(なので、法律系資格持ちは信者ではなくてもある程度このあたりの制度は知っている)。
世界の縮図としての教会
エンタメとしてのミステリーの面白さと、現実世界への批判や問いかけが見事に融合していて、マジで面白すぎる!
カトリックの枢機卿なんて日本だと身近ではないけど、
ちゃんと1人の人間として描かれていたから主人公を応援しながら最後まで楽しく鑑賞できた。
コンクラーベ中に発覚していく枢機卿たちの汚点は現実より軽く感じたけど、汚点そのものより、主人公ローレンスがそれに対してどう行動するかが面白かった。
最初は、仲間である枢機卿への疑いについてどこまで踏み込むべきか…という葛藤に始まり、徐々に管理者として正しいと思う事と教会の規則を天秤にかけるなど、どんどん葛藤が大きくなる。そして悩みながらも規則を破っていくさま(前教皇の部屋への侵入とか)はとても痛快。
そしてラストにはバチカン史上1番の規則違反かもしれない事に直面したけど、自分の正義を信じて沈黙することを選ぶ。
シーンとしては静かだけど、やってる事は超破天荒な感じがとても魅力的な場面だった。
私は幼稚園から高校まで一貫のキリスト教系の学校出身。キリスト教が身近な環境で育ったけど信者ではない。幼稚園の時とかは言われるがままに色々信じてたけど、小学校くらいから次第にキリスト教の教えと現実の矛盾、みたいな事に疑問を持ち始めたのを覚えている。
映画でも描かれていたけど、教えでは人間はみんな平等と言いながら、神父だけが豪華な服を着て、シスターは質素な服で下働きみたいな扱いな事とか。
苦しんでる人は助けなきゃいけないと言いながら、同性婚は認めず、それで苦しんでる人には神に祈って許しを求めろとか言う事とか。
でもこういう長い伝統の中で出来た規則が、世の中の変化に対応出来なくなる事って教会だけじゃ無く、組織や会社や家族とかだってある事だと思う。
今まさにバチカンでも、様々な矛盾に対して伝統を守るのか革新するのか揺れている真っ最中らしい。
この映画ではこういう葛藤に対してどうするか主人公の行動によって示しながら、鑑賞者に問いかけてくる。教会という特殊な場所を舞台にしながら普遍的なメッセージがある。
女性や様々なマイノリティの立場についての映画は色々あるけど、舞台を世界で最も歴史が長く保守的な組織のひとつであるバチカンにした所に、原作のコンセプトの強さがあると感じるし、挑戦的でとても好き。
ストーリーやテーマ以外の、音楽や美術や衣装もとても見応えがある。枢機卿の衣装が豪華で権威的な感じはムカつく!でも素敵!コンクラーベの時だけにしか使われないだろう道具も見ていて楽しい。
ずっと同じ所にいるのに飽きないのは、演出的にも色々工夫がされてそうだけど、初見ではそこまで追う余裕は無かった。
それくらい細かい所まで色々作り込まれている。
他にも確信を疑う事が大事(意訳)とか、ありのままの自分で勝負する!(超意訳)などのセリフや
さりげなくもしっかりシスターの存在感があった事など
響く所の多い好きな映画だった!
我々は生身の人間だ
バチカン市国の国家元首であるローマ教皇が急逝し、コンクラーベ( 教皇選挙 )を取り仕切る事になったローレンス枢機卿をレイフ・ファインズ( 映画「 イングリッシュ・ペイシェント 」では冒険家アルマシー役を。)が好演。
室内の設えがシンプルで美しい。
聖職者であるが故に葛藤する候補者達の姿がリアル。
繰り返される投票 … 。閉ざされた場所での孤独な戦いが続く。
予期せぬラストに驚かされた。
ー 神のご意志に
映画館での鑑賞
【迷ったら観て!】ドロドロエンタメサスペンス
ミステリの中に潜むメタファー。ぜひ公式の用語解説も。
不気味に鳴る弦楽器の音が印象的な本作。
ミステリとして楽しめるだけでなく、多くのメタファーが潜んでいて、鑑賞後に「あれはこういう意味だろうか」と思考を巡らせたり、公式の用語解説を読んで「そういうことだったのか」と驚いたりと、じっくりと楽しめる作品だった。鑑賞後はぜひ公式HPに掲載されている用語解説(ネタバレあり版)を読んでみてください。
また、シーンの一つ一つの映像としてとても美しかった。特に後半の光の使い方が好きだ。冒頭に映されたタバコの吸殻も、教会の腐敗を示すようで印象的だった。(まったく別の意図のメタファーかもしれないが)
あれこれと考えながら鑑賞できる作品だったので、2時間ほぼ薄暗い室内シーンだったが飽きずに鑑賞できた。
激しく二転三転するようなストーリーではないが、じっくりと考えを巡らせながら観たい人には楽しい映画ではないだろうか。
面白かった!
スタイリッシュなサスペンス映画
会場満席。コンクラーベ(教皇選挙)の内容が興味深く、枢機卿らのやりとりが面白かった。服装や建物のたたずまいがスタイリッシュ。驚きのラストに満足した。パンフレットの解説読みたかったが売り切れで残念。
コンクラーベ
確信のはざまで生きる
そんな人特有の陰の部分が漂うベニテスの儚さがよかった。完全でない自分に直面したことがある人。どちらの立場にも共感できる人。立派だけど、いわゆる生きにくい人、なんじゃないかなあ。テデスコやトランブレのような、自分に確信を持っている人の方が、なんか結局楽しそうにやってるような。
敢えて無音演出が臨場感を出す
垣間見た野心
ローマ教皇が亡くなったことにより、新教皇の選挙が行われる裏で、それぞれの思想を持つ者達の知られざる闘いを描いた作品。
本作、とにかく面白かったです!
当たり前の話ではありますが、神だの信仰だの言っても、結局は我々人間が行う選挙。そこには思想や権力が絡んでくるのは世の常ですね。
自分が勝てないなら近い考えの候補者に…。
それも無理なら、せめて反対勢力を当選させないために不本意ながら対抗しうる候補者に…。はたまた或いは…。
罰当たりな言い方かもしれませんが、世界トップクラスの選挙も、たかだか学生の学級委員を決める選挙も、やってることは一緒なんだなぁ。
そんなことを思いながら、1回目の開票。出て来る数字。そして始まる心理戦…。足の引っ張り合い…。成程、それぞれの想いが浮き彫りに。そんななか回を重ねるごとに僅かだが票を伸ばすあの人もどことなく不気味だ…。
それぞれのスピーチや会話劇の中にも、あの人に投票すると言ったり、票集めは望まないと示したり…成程と腑に落ちる部分もあれば、逆に「何故そんなことを?」と、こちらも疑心暗鬼にさせられる場面もふんだんに用意されていて、まさにミステリー好きにはたまらない展開。
それでいて、何と表現すべきか…”難しいのに複雑じゃない”とでも言えばよいか?
しっかり考察させられるし驚きの展開もあるのに、話を見失わせるような見難さは一切感じず、純粋に考えるのを楽しませてもらえるという意味で秀作だったように思う。
個人的に一番気になったのは…結局彼に”野心”はあったのだろうか。無いように描かれているように見えるが、それまでの言動や新教皇決定時の表情が絶妙すぎて…良い意味で謎のままだった。
信仰と権力の狭間で蠢く人物達のリアルさが存分に描かれた、恐ろしくも深い傑作だった。
全583件中、281~300件目を表示
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