「地味なのに傑作!」教皇選挙 ゆうじんさんの映画レビュー(感想・評価)
地味なのに傑作!
映画を見始めたときの感想は、「全部似たおじさんばっかりでだれがだれか分からない…」。
日本人でも顔を覚えるのが苦手なのに、全部似たような年齢で、同じ服を着ているおじさんばかり。その上名前も場面によってファーストネームだったり、ファミリーネームだったり、主要人物の中に眼鏡の人が二人もいて、どっちがどっちか分からなかったり…。正直、序盤はストーリーについていけるか不安。
やっと主人公のことを認識しだしたのは、選挙前の演説のときだったか?しかし、このあたりから、ぐっと物語が面白くなる。
思えば本作は、教会内部での密室劇に終始し、ほとんど場面的なバラエティがない(パターンは寝室、食堂、講堂ぐらい)。終盤近くの爆発事件以外には、派手なシーンはなく、実に淡々と進む。にもかかわらず、とてもスリリングで、すごくおもしろい。三谷幸喜の初期作品などが好きな私にとって、こういうストーリーで見せるタイプの映画はとても好みだ。
なにより、ストーリーに込められた、現代への警鐘、皮肉が一級品である。特に切り口が鋭かったのが、ジェンダー問題に対する視線。これが、最後の最後のミステリーのカギとなるとは、余りに鮮やかではないか。
見終わったときの満足感は、非常に高かった。もちろんパンフレットは即買い。なお、この映画を見終わってしばらくした後、本当の教皇様もお亡くなりになった。新しい教皇様も平和路線は継承してくれるようで、その点は映画の結末に重なるようなありがたさを覚えた。
共感ありがとうございました。
ガール&本作
アカデミー賞はコチラかと思いましたが、アノーラでした(低俗!) 投票母体が俳優なので嫉妬や忖度が働きます。来年はまともなやつで決まるはずです。

