「前半の展開はスリリングで最高。対して後半の展開は微妙。」教皇選挙 といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
前半の展開はスリリングで最高。対して後半の展開は微妙。
映画好きの中で非常に話題になっていた本作。SNSで「『十二人の怒れる男』が好きな人なら刺さる」という投稿を見掛けたので、人生ベスト映画として『十二人の怒れる男』を挙げる私は、期待しながら鑑賞いたしました。
結論、面白かったけど、ラストが微妙。なんならコンクラーベが始まる前の準備段階が盛り上がりのピークだったかもしれない。候補者の中から教皇筆頭となる人が現れ、その人がスキャンダルで失脚し、次に教皇筆頭となる人が現れ、その人もスキャンダルで失脚し……。これの繰り返し。ラストの展開も、「まあそうなるだろうな」という展開で、特別驚きも無い。
事前に『十二人の怒れる男』に似ているという情報を見てしまったせいで、映画の観方が偏ってしまっていたかもしれない。事前知識無く鑑賞したら面白かったかもしれませんが、残念ながら期待を下回ってしまった映画でした。
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ローマ教皇が逝去した。14億人を超える信者を抱える、キリスト教の最大宗派・カトリック教。そのトップである教皇が亡くなったことで、次期教皇を決めるための選挙(コンクラーベ)を行うために、世界中から候補者である枢機卿たちがシスティーナ礼拝堂に集う。自身も教皇候補であるローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ)は、今回のコンクラーベの運営を任され、その準備に奔走するのであった。
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キリスト教最大派閥のカトリック教のトップである教皇。教皇の死後、新たな教皇を決めるための選挙を描いた作品です。教皇候補である枢機卿たちが文字通り一堂に会し、外界との交流を遮断した室内で話し合いと投票を行う。人種や本拠地などで明確に派閥が分かれており票が分かれてなかなか決着がつかない。そのうち有力候補のスキャンダルが発覚するなどして、選挙は混沌とした様相を呈してきて……。という作品。
先にも述べた通り、私は本作に対して過大な期待をしてしまい、本作はそのハードルを越えることができなかったという印象です。もしかしたら、事前知識なしで鑑賞したら楽しめたのかもしれません。
まずは面白かった点を述べます。
登場人物のキャラや、役者陣の演技は見事だったと思います。登場するキャラクターはカトリック教の重役たちなので、言ってしまえばオッサンばっかりです。そんなオッサンたちが非常にキャラ立ちしていて、魅力的に映ります。また、演技も素晴らしかった。ベテラン俳優で固められた出演者の演技は非常に安定感があり、引き込まれるような魅力がありました。
次に不満点を述べます。
先に述べた通り、事前に聞いていた情報と異なり、期待外れだったと思います。まぁ、これは本作と『十二人の怒れる男』を比較しているX(旧Twitter)のポストを何件か見掛け、勝手に似た作品だと思い込んでいた私が悪いのですが。
私はてっきり本作を、「一堂に会した枢機卿たちが、選挙が終わるまで出られないという密室の中で様々な議論を繰り広げ、様々な候補者たちの思惑が交差して最後まで結末が読めないハラハラドキドキの展開になるのだろう」と勝手に思い込んで期待してしまいました。コンクラーベが実際に開始される中盤あたりまでは、これから歴史に残る出来事が始まるのだという重々しくも期待を抱かせる展開で、本当に楽しかったです。しかし実際にコンクラーベが始まってみると、話し合いらしい話し合いはほとんどないまま選挙は粛々と進むし、有力候補たちがどんどんスキャンダルで勝手に失墜していき、最終的に教皇になったのはそれまでパッとしてなかったのに最後にスピーチしただけで一気に信頼を獲得したベニテス枢機卿。正直、最後にベニテス枢機卿に票が集まって教皇になるまでの流れが急すぎて、納得感がかなり薄かったです。
「期待していたものと違う」というのが私のガッカリしたポイントではありますが、おそらく事前情報無く特に期待しない状態で鑑賞していたとしても、私はそこまで高い評価はしなかっただろうと思います。
世間での評価は非常に高い本作ですが、残念ながら私には刺さりませんでした。しかしこれは単純に「私の好みに合わなかった」というだけで、作品のクオリティは非常に高かったと鑑賞していて思いました。
クオリティの高い話題作を見たい方にはオススメです。