「前教皇の思惑…ではないと思います」教皇選挙 akiさんの映画レビュー(感想・評価)
前教皇の思惑…ではないと思います
多くの人が「結局は前教皇の計画通り』という見方が多かったので、ちょっと違うと思うなぁと言う意味でレビュー投稿します。
ほぼ最初から最後まで人間くさい思惑に振り回されたコンクラーベ。キリスト教徒にとって、人間の技か神の技かは、そこに聖霊が臨んでいるかで決まります。キリスト教徒以外の人には非常に難しいこの概念は、いわゆる
三位一体のことで、父と子と聖霊、すなわち神様とイエス様と聖霊は全て同じものであると言う考え方。神様とイエス様はイメージしやすいけど、聖霊はわかりにくい。これは、神様の意思を直接人間に働きかける存在で、よく「神の息吹」と表現されます。風が吹くように私たちに意思が伝わると、そこには神の意思が反映されると言ったら良いでしょうか。
さて、生臭い人間の思惑が錯綜し、気の毒なローレンスは疲弊、リベラルすぎるベリーニは這い上がれず(リベラルというのは信仰とはかなり相性が悪いのです)、ほかの枢機卿も自滅していき、いったい聖霊の働きはいずこ?というカオスの中、皆考えあぐね、ついにペンが止まってしまうラストシーン。
半壊の礼拝堂から微かな風が吹き、皆の投票用紙を揺らす。見上げた先に筋のように入る光。そして突然皆が決意したように候補者を書き始める。
あれこそが聖霊が臨んだ瞬間であり、そこから先は神の意思が加わったのです。ちなみに雲間から現れるスジ状の光は「ヤコブの梯子」と呼ばれ、これも天と地をつなぐもの。つまり、もう前教皇の思惑など関係なく正しく完成されたコンクラーベになったのです。
たぶんローレンスは真実を知っても、選挙の結果を受け入れたでしょう。聖霊を直に感じたのだから。そして迷いのない静かな心で亀を池に戻す。
実際のカトリックがこの結果を是とするのかはわかりませんが(私はプロテスタントなので)少なくとも映画的に大団円だったと言えるでしょう。
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