「ラストを「まさか」と思うことの偏見を噛み締める」教皇選挙 よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストを「まさか」と思うことの偏見を噛み締める
ようやく拝見してきました。
よく行くシネコンでは上映しておらず、職場から行きやすい映画館だと夕方の回はいつも満員。仕事の終わり時間が読めないので、前売りも買いにくい、という状態。
計画的に仕事を早めに終わらせる状況を作り、ようやく拝見できました。
実際にローマ教皇がお亡くなりになられた直後ということもあり、満席でした。
映画の舞台は、世界中でももっとも伝統を重んじる組織のトップを決める選挙で、改革派と守旧派、新興勢力が争うという構図。世俗とは隔離された環境下で、ひたすら投票を繰り返す中、いくつかの事件に翻弄される主人公。
話としては聞いたことのあるコンクラーベですが、実際にどのように行われているのか、それが映像として見られるだけでも興味津々(もちろん脚色や演出はあるでしょうが)。古いしきたりや規範に則って淡々と儀式は進んでいくわけですが、その一方で電波妨害装置を設置したり、スマホを取り上げられたり、といった現代的な側面も描かれる面白さもあります。
密室で行われるなんとも格式ばった儀式かと思いきや、部下を使って外の情報を集めたり、シスターのPCを覗き見するような自由さもあることがわかります。
そのような世界観を美しい美術や印象的な劇判、実力ある俳優たちと確かな演出手腕で見事に映像化されています。
物語はある程度予想がつく展開で幕を閉じようとしますが、そこで一つのサプライズが起きます。起きますが、それをサプライズとして受け止める心こそが多様性を損なった社会の一端であることも事実。
どれくらいの時間が必要なのか、わかりませんが、後年本作を見た人が「この話のオチがわからないんだけど」というくらい、多くの人が平等で住みやすい社会になることを願います。
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