「「これは宗教ではない・・・」教皇選挙 A.Camelotさんの映画レビュー(感想・評価)
「これは宗教ではない・・・
、宗教とは伝統ではない、前進することだ。」
というカブールの新入り大司教の言葉が、胸のすく思いだった。この言葉で票が一気にこの大司教に流れて選出されたが、あれを聞いてこの人に投票しないわけにはいかない状況だっただけで、連中が本気で改心したとは思えず、一時的な効果という気がした。ローマ・カトリックはこれまでも様々なスキャンダルが発覚し、健全な宗教団体かどうか揺らいできた(一大勢力のためにどこからも異端だと言われないだけでそもそも最大の異端だという見方もあるそうな)。そういう事件にも言及があったが、この映画は、伝統と威厳を見せつつも、およそ神に仕える者とは思えない欲深くて手段を選ばない人間を描いて、宗教者の表と裏、上に立つ大司教という立場であっても敬虔とは限らないことを示していた。そうだろうなぁ、やはり人間なんてこんなものなのだろうなぁと思う。宗教って何だろうとあらためて考えてしまう。
それは置いといて、映画として非常によく出来ていて、サスペンス要素、主人公の苦悩、衣装、天井画や様々なしつらえなどが、興味深くて見応えがあった。主人公が投票した瞬間にテロの爆風で吹き飛ばされたときは驚いたが、あのときの主人公は、神からの警告といったことも想像したかと思えた。その後、爆風で空いた窓から風が吹き込むというのも、まさに空気が変わることを示したような、何かを示唆するシーンだったが、何を狙ったのだろう。(精霊が入ってきたとか!?)
最後にもうひとつ発覚する新教皇に関する秘密、現在重視されている「多様性」(トランプ政権除く)につないだのだろうか。一昔前では追加されない展開だろうなぁ。
イザベラ・ロッセリーニを久しぶりに見られたのは良かったが、無名の女優でもいいような役どころだった。もう少ししっかりした役にしてあげて!という気がした。
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