「イザベラ・ロッセリーニのシスター・アグネスが一番良かった!」教皇選挙 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
イザベラ・ロッセリーニのシスター・アグネスが一番良かった!
高校の世界史で出てきた「コンクラーヴェ」にまつわる物語。
ラテン語、英語、イタリア語、スペイン語が出てくるが、ラテン語は典礼に関わる部分のみ(特に、投票の時)、あとは、投票に参加している枢機卿たちのそれぞれのお国の言葉が中心。複雑な人称や、時制や場合で変わる動詞の活用を持ち、論理や感情の整理に優れているフランス語やドイツ語は出てこない。製作者が公開国を考えたのか、主要な枢機卿の多くは英語を話す。それにしても、皆さん、ラテン語を含み、多数言語に通じているということだろうけれど。
英語は、何といっても実利的な言語だから、カトリックの教義や歴史よりは、選挙の背景になるような思惑や企み、ミステリーが話の中心になる。あとは、イタリアとスペインがカトリックの主要国であるので、彼らの感情がストレートに出てくるイタリア語とスペイン語が目立つ。
とは言え、ストーリーや俳優たちが優れていれば、それで良いのだが。
私の心に届いたのは、イザベラ・ロッセリーニの扮するシスター・アグネスのみ。「自分達は、invisibleな(目に見えない)存在」という台詞が一番良かった。それでいて、彼女の行動が、選挙の行方に、一番インパクトがあった。
思うに、彼女たちシスターの発言を認めることこそが、プロテスタントの出現、カトリック対抗改革に引き続く、真のカトリック改革に結びつくのではなかろうか。おそらく、それは、経典から遥かに隔たることから、もはやカトリックとは呼べなくなるだろうけれど。その日がいつか来るのではないかと思われた。
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