「見事な赤の戦慄と隔絶された漆黒の闇、そして天から放たれた白煙に神の姿を感じた!」教皇選挙 The silk skyさんの映画レビュー(感想・評価)
見事な赤の戦慄と隔絶された漆黒の闇、そして天から放たれた白煙に神の姿を感じた!
我々、人と言うものは永遠なる俗世を生きている。
どれほど神に近い言葉を述べ様とも
どれだけ善の行いをしようとて、
決して神には成れないし、
足元にすら遠く及ばない存在なのだ。私は常に自心へ戒めている。
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「神はその独り子をお与えになったほどに、世を愛された。それは、御子を信じる者が一人として滅びることなく、永遠の命を得るためである。」
-------ヨハネ3章16節-----
今日は、「教皇選挙」の鑑賞ですね。
カトリック教会のトップに君臨するローマ教皇死去に伴って執り行われる
教皇選出選挙(Conclave・コンクラーヴェ)の内幕に迫った話展開。
今まで幾度となくキリスト教題材の映画は多くあったが、これ程深い感銘を受けた作品は他には無かった様に思います。
大変格式があり、重厚でかつ厳格な思いを受けました。
過去、宗教映画ではトラブル発生が多く 一歩間違えるとデモや裁判が起こり
作品が窮地に陥る事がありました。
アジア圏(日本等)では仏教や無信仰者が多いので この作品を最後まで観て
過剰評価する人が多いと思われますが、実際世界では色々と問題視されてしまう事態も少なくないでしょう。(”パッション”、”最後の誘惑”、””ダ・ヴィンチ・コード”など)そう言った点で本作は最優秀作品には選ばれなかったのかも知れません。
とにかく素晴らしかったです。
最後の最後まで 結果がどうなる事かと・・・
コンクラーヴェを執り行う主人公(ロ-レンス)。亡くなった教皇から使命を受けていて 次々起こる周囲の疑惑、疑念。
これらを一つづつ払拭していく彼。そこは強い信念と ”確信” が無ければ出来なかったであろうと感じ取れます。
-------素晴らしい俳優陣----
トマス・ローレンス枢機卿役:レイフ・ファインズさん
アルド・ベリーニ枢機卿役:スタンリー・トゥッチさん
トランブレ枢機卿役:ジョン・リスゴーさん
テデスコ枢機卿役:セルジオ・カステリットさん
アデイエミ枢機卿役:ルシアン・ムサマティさん
ベニテス枢機卿役:カルロス・ディエスさん
シスター・アグネス役:イザベラ・ロッセリーニさん
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(良かったポイント)
・深い疑念、悩みに陥ったとき 一度だけベットに横たわる 教皇のお姿が彼の目の前に一瞬映ります。
この場面、ハッとさせますが 教皇の笑顔がそこにあり、それにより彼の心を
迷うこと無く真成る道へ誘っているのが分かります。
この思いが 観ている方にも伝わってきます。
・教皇部屋侵入:(手紙)
場内108人もの枢機卿への疑惑資料の配布。自ら禁断の部屋へ勝手に入ったこと。部屋全体に轟く驚きと批難の声。
その時にシスター・アグネスが発する言葉が場内を一瞬で静まり納めます。
何故彼がそれをしたのか・・・その行動の意味を知らなくては成りません。
ここの一節は脚本:黒沢さんの”雨あがる”の作品にも 同じ様に感じる所があります。何をしたかでは無く、何の為にしたかを知らなくてはいけないのです。
・爆破と白煙
ローレンスが票を投じたときの場内右上採光窓が自爆テロの爆発の影響で割れて
会場に白煙が全体に舞ったとき。
この一瞬の中に私は何かを画面の中に感じました。
この場面を神の怒りと捉えられる方は多いと思うのですが、これはロ-レンスの迷う過ち”確信”を神が戒めているのだと感じました。
と同時にこの場内で執り行われているコンクラ-ベ自体(枢機卿等へ)への
過ちを指摘しているのだと感じます。
・ベニテス枢機卿の最後の言葉:
今回初めて枢機卿として認められそして招かれ、選挙に参加した人物。
彼の発する言葉一つ一つに ハッと我の心の奥底を覗かれてしまっている事に気付かされます。教皇の持つ絶対的な意味を全員が再認識をした瞬間でしょうか。
そして 漸く投票の結果が導き出されます。
そして、ローレンスの役目に平穏が戻ったと思ったら
最後に、本当に最後に神が投げかける問いがそこにありました。
それは 最初にこの場に集まった者達が口にした事。
”女性では無いこと”・・・ それでした。
性別とは何か?
その真意を神は既に皆に対して見据えておらていたのだと感じました。
・・・・ 深い沈黙と、そして人の願いとしての諦めが漂います。
そこに私達は俗世に生きる人で有る姿を 見たと思います。
~ そっとローレンスが窓の外を見るとき、
三人の修道女が下の建物から出て行く姿があり、あの騒がしかったコンクラ-ベは過ぎ去った事を告げていました。~
ご興味御座います方は
今のうちに
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