「垣間見た野心」教皇選挙 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
垣間見た野心
ローマ教皇が亡くなったことにより、新教皇の選挙が行われる裏で、それぞれの思想を持つ者達の知られざる闘いを描いた作品。
本作、とにかく面白かったです!
当たり前の話ではありますが、神だの信仰だの言っても、結局は我々人間が行う選挙。そこには思想や権力が絡んでくるのは世の常ですね。
自分が勝てないなら近い考えの候補者に…。
それも無理なら、せめて反対勢力を当選させないために不本意ながら対抗しうる候補者に…。はたまた或いは…。
罰当たりな言い方かもしれませんが、世界トップクラスの選挙も、たかだか学生の学級委員を決める選挙も、やってることは一緒なんだなぁ。
そんなことを思いながら、1回目の開票。出て来る数字。そして始まる心理戦…。足の引っ張り合い…。成程、それぞれの想いが浮き彫りに。そんななか回を重ねるごとに僅かだが票を伸ばすあの人もどことなく不気味だ…。
それぞれのスピーチや会話劇の中にも、あの人に投票すると言ったり、票集めは望まないと示したり…成程と腑に落ちる部分もあれば、逆に「何故そんなことを?」と、こちらも疑心暗鬼にさせられる場面もふんだんに用意されていて、まさにミステリー好きにはたまらない展開。
それでいて、何と表現すべきか…”難しいのに複雑じゃない”とでも言えばよいか?
しっかり考察させられるし驚きの展開もあるのに、話を見失わせるような見難さは一切感じず、純粋に考えるのを楽しませてもらえるという意味で秀作だったように思う。
個人的に一番気になったのは…結局彼に”野心”はあったのだろうか。無いように描かれているように見えるが、それまでの言動や新教皇決定時の表情が絶妙すぎて…良い意味で謎のままだった。
信仰と権力の狭間で蠢く人物達のリアルさが存分に描かれた、恐ろしくも深い傑作だった。
あらゆる「選挙」や「権力争い」に共通する要素が存分に含まれてましたね。面白かった。
自分自身も、「羊飼い」(リーダー)ではなく、「農場管理者」(調整役)タイプだと思っているのですが、もしかしたら、「リーダー」になれないが故に、「自分はこっち向き」と自分に言いきかせてるだけなのかもと考えてしまいました。自分に票が入ると、困ったような顔はしてるけど、内心では嬉しかったりするのも事実だし。
予告編だったか何かを見た時、ローレンスに「私はあなたに5回投票したが誤りだった」と言われていた人物が、「一番のワル」だと思い込んでいたら、単に「人望がなかっただけ」だったのは、ちょっと身につまされた。
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