「建物!服!音楽!めっっちゃすげー!! あと宗教的な映画じゃなく、めちゃくちゃエンタメ寄りの映画じゃん」教皇選挙 オニオンスープさんの映画レビュー(感想・評価)
建物!服!音楽!めっっちゃすげー!! あと宗教的な映画じゃなく、めちゃくちゃエンタメ寄りの映画じゃん
とにかく見終わった直後の感情をタイトルにした。
本作はカトリック教会の最高司祭を決めるという非常に宗教的な行事がメインテーマではあれど、その実情は誰がリーダーになるかという権力争いを描いた映画であった。
私自身、典型的な日本人の宗教観というか無宗教観で育ったため、カトリックに詳しいわけでも、思い入れもない。ただ私は、なんかカッコいいという理由で神や宗教は好き。そこには拭いきれていない中二病もあるが、観光客がその土地の名物を味わったり、観光地に足を運ぶような、自分には無い異文化への憧れや好奇心という方が強い。
だから本作に神の御業であったり、祈りであったり、信仰的なモノが見れると若干の期待を胸に見に行ったが、蓋を開けてみると非常にエンタメ的でしっかりとしたミステリーで上質なサスペンスで、良い意味で全く違っていた。
本作に登場する神父達は、如何にして自分が又は誰を教皇にするか、誰を蹴落とすかの「策略」を絶えず行っており、信仰的な行為というか神の存在を語るようなシーンはほとんど見られなかった。
逆に神の存在を積極的に語っていたのは、シスターの「神は目と耳を与えてくださった」やベニテスの「神から与えられしこの体」というような、カトリック教会では役職に就けない女性や女性性を持つ2人が、人や役職や教会よりも、まず神に重点をおき、真摯に信仰していたという描き方、また教皇になるというカトリック教会に於いてのコペルニクス的転回が非常に面白かった。
また、本作を力強く下支え、芸術的にも映画的にも底を押し上げ素晴らしい作品としてたらしめた要因は、礼拝堂などのセット、出演者たちの装束、劇中音楽である事は間違いない。
純粋に美術的に卓越した完璧な完成度で観客を魅了し、礼拝堂の構築美は圧巻で荘厳であり、その優美さは極致的な素晴らしさを誇り、列柱の巨大さと優雅さ、宿泊場所の大理石?の壁も重苦しさや窮屈さはありつつ高貴的で神秘性も兼ね備えたデザインなども実に見事で、それらの場所に洗練さと品格さを極めたような深みのある紅の装束を纏った俳優たちが歩いている。
はい、もうカッコ良すぎて息できません。
また、序盤から中盤にかけて、弦楽器の低音が緊張感や不安定感を非常に高め、各シーンに見事に溶け込み映画全体の雰囲気を引き締めていた。
総じて、ストーリーもさることながら、映画としての要素であるセット、衣装、音楽も素晴らしすぎる非常に良い映画体験が出来た上質な作品であった。
あと何回かは劇場で見たい。
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