「スカッとアクション映画並みの鑑賞後感が、よいのか、悪いのか、 奇跡なのか」教皇選挙 しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
スカッとアクション映画並みの鑑賞後感が、よいのか、悪いのか、 奇跡なのか
初週から結構お客さんが入っているとのことで、画面で登場するような、オレのようなおっさんや先輩方ばかりの客層かと思えば、さにあらず。熱心な若い映画ファンなんだろうね、カップルさんも多く、意外とオレのようなメンドクサイお客さんはいなかった。
ルックと鑑賞後の印象ががらりと違う、オシャレさんもエンタメ大好き映画ファンも満足ささる、ある意味奇跡の
「教皇選挙」
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「ああ、面白かった!」でスカッとアクション映画並みの鑑賞後感がよいのか、悪いのか、
奇跡なのか、といった塩梅。
面白いけど、ご都合すぎやしねえか。キャラがテンプレ過ぎて漫画だし、ベニテスの演説もちょっとセリフ自体はこっ恥ずかしい。
と思っていたのだが、ラストの亀の出現とそれを噴水に帰す、というところで、これは前教皇が描いたシナリオ通りに事が進んだことが分かる。
前教皇がチェスの名手(先を読む、手駒を操る)であるということと、トマスが前教皇を、「愛してた」ことが本作の主軸。
トマスは、前教皇から、管理者としての使命を受けるが、すでに、クセものだらけの、というよりも、「おいおい、こんなのしかいねえのか。。。」のおじさんたちを教皇候補から外すよう導かれただけで、ベニデスを教皇に仕立てあげるシナリオ通りにことが進んだだけに過ぎない。
もちろん、トマスが、前教皇の部屋に侵入し、ベッドのそばの壁の隙間から証拠を見つけることも織り込み済なんだろうね(笑)
「愛」故に、一人教皇のベッドの脇でおいおいと、むせび泣くところは最高だった。
トマスは「愛していた」から、教皇の思い通りに「管理職」に徹することを決意し、だが、色気なのか、こんなに選挙がもめるなら、なってやろうかと思ったのか、の自分への投票の際、「おいおい、お前違うだろ! ちゃんと仕切れや!」と、爆発という形でのお叱りを受ける。
そんなこんなで選ばれた新教皇が、そういう身体的特色を持った人物だった。
ストーリー自体はもうネタとサプライズ優先のご都合主義満載だが、前教皇の「シナリオ通り」と言われれば仕方ない。。
ところが、前教皇の意に反して、手術を行わなかったことは、トマスの信仰をさらに上回る、ありのままの姿(インノケンティノス)で「理想を求める」姿だった。それは「無垢」であり、「絶頂期」を期待させるダブルミーニング。
トマスの名乗ろうとした「ヨハネ」は、そういった流れからは、「洗礼者」のほうではなく、「弟子」の方を指しているのかなと。
「イノセント」な新教皇誕生と尼僧の笑い声を聞くトマスは、シスター・アグネスの存在も併せて、バチカン内の「女性」の存在を改めて知り、また新時代への「理想」を想像したことだろう。
追記
票を失った各候補のシュンとした顔、素敵。
追記2
「女性」を意識したことで、トマスの「愛」はどこに向かうのか。
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