アプレンティス ドナルド・トランプの創り方のレビュー・感想・評価
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Beginner's luck
演説で過激なスピーチを続けまくっているドナルド・トランプが少し前にアメリカ大統領に就任する前のお話で、今あるトランプ像を作り上げた人物をどう見せるのかなと思っていましたが、その人物すらも喰ってしまっていました。トランプ恐ろしや。
弁護士のロイ・コーンの猪突猛進な感じで自分が正義を貫き通す姿に強く感銘を受けて自分自身も近い感じで立ち振る舞っている姿が現在のトランプの原型だったんだろうなと思いましたし、演説の一つにあった「性別は男と女しかない」発言は若い頃一貫していましたし、コーンがゲイだと発覚してからは煽りまくり罵りまくり騙しまくりと恩人を仇で返しまくってて笑っちゃいけないんですが笑ってしまいました。
自分の欲に素直でやりたいことは全部やってのけるの精神で行動しているので、その直向きさは見習いたいものですが、こうはなりたくないと本能で思わせてもくれるので本当不思議な人物だなと思いましたし、この人に惹かれる人がいるのも分かるなとなりました。
映像が古き良きな感じでタッチとしてはドキュメンタリーに近い形なんですが、当時の様子を違和感なく味わえるという点で長所になっていたなと思いました。
音楽もアッパーチューンなものからしんみりしたものまで幅広く揃えられており、聴きごたえのあるものに仕上がっていました。
ジェレミー・ストロングとセバスチャン・スタンの演技合戦は見応えしかなかったです。
トランプの生き写しでは?と思うぐらいセバスチャン・スタンのトランプ感が凄まじかったです。
そりゃトランプも激おこなわけです。
脂肪をとったり、毛を増やす手術の違和感だったりはありましたが絵面の痛さとそれを臆することなくやるので、実際にやったんだろうな…という気分にさせられるのが不思議でした。
自伝を書いてくれと頼んだ作家に書くことがあんまないと困らせるところは最高に笑いました。
こんだけ波瀾万丈の人生を渡り歩いているのに書くことないんだ…と当人も困惑したはずです。
今後アメリカがどんな国になっていくのか、日本とアメリカの関係性はどうなっていくのか、パナマ運河はどうなるのか、これからもトランプからは目が離せません。
130歳くらいまで元気に生きそうだなこの人。
鑑賞日 1/22
鑑賞時間 16:05〜18:25
座席 Z-1
ただ最後に勝つために
ドナルド・トランプ
第45代・47代アメリカ合衆国大統領
ニューヨーク・クイーンズ生まれの
自らの名を冠した不動産グループの王
お騒がせスキャンダルやテレビ露出を経て
アメリカではどの層も知らない人は
いない程の有名人
共和党も咬ませ犬的に候補選挙に
挙げたら16人の候補を勝ち抜き
あれよあれよと政治家も従軍経験も
ないながら大統領になってしまった
2025年2期目に再就任
トランプアレルギーの日本のマスコミは
絶賛発狂中である
ざまあみろ
そんなトランプの若いころから
5番街に今でもそびえ立つトランプタワー
を構えアメリカを強くする野望を持ち
成りあがるまでの自伝的映画
どうだったか
常にノイズの乗った70~80年代の
ニューヨークの世界観に
セバスチャン・スタンの
仕草まで完璧に再現した演技
まさに赤裸々に
現職大統領の過去としてここまで
やっていいのか!?とつい
引いてしまうほどの遠慮のない描写
最後まで面白かったです
転がってる〇体を跨いで歩くほどの
治安の悪い1970年代半ばの
ニューヨーク
不動産王の父フレディの会社は
そこに建設したアパート群に
黒人の入居を断ったとして
政府から訴えられていた
そんなフレディの四男に生まれ
兄フレディJr.はTWAのパイロット
ドナルドは父の会社でアパート群の
家賃回収をする毎日
ドナルドはその貧困層の
支払いの悪さに
訴訟に負け入居を許したら
会社が破綻するのは目に見えており
有数の財界人がいる高級クラブに
入り込みロイ・コーンに出会います
ロイはウォーターゲート事件で
辞任したニクソン大統領ともパイプが
あるほどの辣腕弁護士
ソ連のスパイ活動を行っていた容疑で
死刑判決が下っていたローゼンバーグ
夫妻をほぼ自白だけの証拠で
死刑に送ったとも豪語する
コテコテの反共保守派の性格はアレ
そんなロイにドナルドは状況を
相談すると政府だろうと人権屋の
ふざけた訴訟など楽勝だと言い放ちます
そんな頃からドナルドは5番街の
「コモドア・ホテル」というボロホテルを
買い取り世界一のホテルを建てる
野望をあたためていきますが
銀行にも父にもこんな貧民街にそんな
ものを建ててどうすると相手にされません
ドナルドはそれでもロイにともかく
訴訟の対応を頼み込むと了承され
100%俺の言うとおりにしろと
言われます
そしてロイは「3つの鉄則」
1.「攻撃 攻撃 攻撃」
2.「非は絶対に認めず否認し続けろ」
3.「最後まで勝つと言い続けろ(最重要)」
をドナルドに教授していきます
1.「攻撃 攻撃 攻撃」
政府側のベテラン判事に電話で
さっさと訴訟を取り下げないと1億ドル規模の
訴訟を起こすぞと怒鳴り込みます
2.「非は絶対に認めず否認し続けろ」
裁判に臨み平然と退廷したロイはドナルドに
「これは勝てない」と言います
入居を断った黒人の名前の頭に
「C(Colored)」と書いてあり
人種で分けた証拠が明白だったからです
じゃあどうするんだとドナルドが聞くと・・
3.「最後まで勝つと言い続けろ(最重要)」
ロイは政府側の高官を呼び出し
愛人(同性)とまぐわっている写真を見せ
訴訟を取り下げないとこれがポスト紙に
出回って嫁が知るぞと要求します
ドナルドはドン引きしつつ
ロイが3度自身が訴訟されても
勝ってきたやり口を理解します
あとひとつロイは
「人と論ならば人の方が重要」
「人を押さえれば理屈などどうでもいい」
という「現実」をドナルドに伝授します
ドナルドはロイと訴訟の依頼を
する際に小切手を渡していましたが
ロイはそれをそっくり返してきて
「報酬には友情で応えてくれ」と
ここからタッグを組むことになります
その後ドナルドはぐんぐん
ニューヨークの街を再開発していき
妻イヴァンとも結ばれ成功者の道を
歩んでいきますが
ロイの秘書ラッセルとのあっ…(察し)
な関係なども知るようになって
いきます
そして5番街のトランプタワーの夢
トランプは市の有力者にプレゼンを
行いますがハイアットの支配人に
5番街の発展のためなら
ハイアットの莫大な納税を
チャラにさせるとつい言ってしまいます
困ったドナルドはロイに頼み込むと
秘密の部屋膨大な盗聴テープを
取り出してきて5番街再開発にあたり
ハイアットの税金をチャラにする
議決を勝ち取ります
…ひょっとしてニクソンに
ウォーターゲート事件とか
盗聴しまくる癖を植え付けたのは
…いやなんでもない
1980年代半ばに入り
アメリカは減税や規制緩和の
レーガノミクス全開
そしてトランプ・タワー完成も
まだ終わらぬうちにドナルドは
ニュージャージーの観光都市
アトランティック・シティの
カジノなど急速な開発は借金を膨らまし
ロイはやめるべきだと忠告しますが
トランプは徐々に聞く耳を持たず
他の弁護士にも頼むからと言います
ロイはついにじゃあ俺も報酬制に
してくれと言い友情は終わりを
迎え始めていきます
しかしとりあえず完成したトランプタワー
落成式に現れたロイ
そして秘書ラッセルが肺炎になったので
ハイアットで療養させるよう頼んできました
ドナルドは一応了承しますが
ロイも体調が悪そう
その後調べさせると
ラッセルはHIVウイルスに感染していた
事が判明しドナルドはラッセルの退去を
こっそり指示するとロイが怒鳴り込んで
きましたがここで決別は決定的と
なってしまいます
実際トランプは何度も負債が膨らんで
資産を売却したりしていますから
ロイの指摘は間違っていませんが
そのたび蘇ってくるのがドナルド
その後トランプも酒におぼれて
死んでしまった兄から酒はやめたが
多忙から服用していた興奮剤
アンフェタミンによる副作用
過食・インポテンツ・脱毛により
身体はボロボロになっていきます
そもそも医学的な知識はデタラメ
(このへんがCOVID-19の際の
対応も遅れてしまった事にも
影響しているかもしれない)
夫婦仲も最悪になっていき
結局ドナルドは自分の理解者は
ロイしかいなかったことを痛感し
フロリダでロイの誕生日祝いを
しようと連絡しますが
ロイは案の定HIVに感染しており
立てもしない状態でした
ドナルドは接触感染は
ないことを確認しつつ
それでもロイを呼び誕生日を
祝います
その後ロイは程なく亡くなり
ロイが余生を過ごしたフロリダの
大邸宅は徹底して「消毒」されます
その後ドナルドは自身の取材に対し
過去は語る気はないと言いつつ
生きていくのに必要なのは・・
1.「攻撃 攻撃 攻撃」
2.「非は絶対に認めず否認し続けろ」
3.「最後まで勝つと言い続けろ(最重要)」
だと語り話は終わっていきます
最後までドナルド・トランプという人物を
どこか感情移入させるようでさせない
不穏さが逆に画面から目を離させない感じ
批判でも肯定でもないライン
アリ・アッバシ監督の手腕が光っていると
思いました
ヤなやつ
さすがにロッキーとミッキー、ダニエルさんとミスターミヤギ、酔拳のジャッキーと赤鼻の蘇みたいな関係にはいかないよな。
お互いの私欲で出来上がってしまった師弟関係?が大変面白かったです。
ロイが弁護料を受け取らず人間関係の構築に比重を置く所など、マフィアみたいで思わずうなってしまう白眉な場面でした。
詳しくはないまでも、報道で大よそ主人公の完成形がどんなか分かってるだけに、
最後は期待通りしっかりやーな奴になってて、つくりものとして興味ぶかい作品でした。
トランプが成り上がってからの、諸々の裏切りなんか ・・でしょうねと、いちいち納得して見てました。
オーラスの頭皮移植と脂肪吸引オペは醜悪でありながらも、まるでアナキンがベイダー卿なっていくような変な清々しさを感じました。
本当の意図は分かりませんが、アナログTV画像風な画面演出も当時の80年代の雰囲気を醸し出してて興味深いところでした。
コレを制作できるアメリカの土壌って改めて凄い。
楽しめたので及第点。
マスターは誰なのか
すごく気になって観てました〜、ロイコーンの。
以前TVでドキュメンタリーを観たの思い出しても、
その辺の記憶が曖昧で。
ロイの映画もあったら鑑賞したくなる映画でした♪
スターウォーズ風に云うとドナルドさんはパダワンですよね。
思いっきりマスター=師匠をコケにして、闇落ちしてました。
ビデオっぽかったり、フィルムぽかったり、映像効果の色褪せやノイズ、
昔むかしのポップの楽曲も相俟って、ドキュメンタリーに寄せてますが
だまされそうなくらいです。
セバスチャン・スタンさんは名演技です!
2月までバッキーが待てなくて、ノーマークだった本作みちゃいましたが
逆に見逃さなくてよかった、よかった
1970〜90年代のアメリカを知らないと意味不明だと思うので、事前に予習はしておいた方が良いと思います
2025.1.22 字幕 TOHOくずはモール
2024年のアメリカ映画(123分、R15+)
実在の人物ドナルド・トランプの若き実業家時代を描いた伝記映画
監督はアリ・アッバシ
脚本はガブリエル・シャーマン
原題の『The Apprentice』は「見習い」という意味
物語の舞台は、1973年のアメリカ・ニューヨーク
父フレッド(マーティン・ドノヴァン)の会社「トランプ・オーガニゼーション」の副社長を務めているドナルド(セバスチャン・スタン)は、ニューヨークの再開発に興味を持っていたが、父と意見が対立していて思うように動けなかった
彼は、父が作ったトランプ・ビレッジの管理を任されていて、家賃の回収に向かうものの、住人からは冷たい目で見られていた
トランプ・ビレッジは貧困層にも貸し出していたが、人種差別を行っているとして、公民権局から訴訟を起こされていた
理不尽な訴訟だと反論するものの、世間体は厳しく、勝ち目のない裁判となっていた
ある日のこと、会員制クラブを訪れたドナルドは、そこでラッセル(ベン・サリヴァン)という若い男から声をかけられた
彼は「友人が話したいと言っている」と言い、ロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)のいるテーブルへと案内した
そこには、マフィアのトニー・サレルノ(Joe Pingue)、実業家のスタインブレナー(ジェイソン・ブリッカー)などもいて、ドナルドは彼らと一緒に飲むことになった
ロイはフレッドが訴訟を抱えていることを知っていて、ドナルドは「いじめだ」と訴える
ロイの友人たちは「彼に頼めば良い」とふざけるものの、ドナルドは本気で彼を頼ろうと考えていた
父はロイのことを快く思っていなかったが、家族会議の末にロイの話を聞くことになり、彼はトランプ家の代理人として、公民権局と戦うことになった
映画は、この出来事をきっかけに、ドナルドとロイがクライアント以上の関係になっていく様子が描かれていく
ロイは「勝つための3つのルール」というものを持っていて、それをドナルドに教え込んでいく
「攻撃、攻撃、攻撃(Attack, Attack, Attack)」
「何一つ認めず、全否定せよ(Admit nothing, Deny everything)」
「勝利を宣言し、負けを認めるな(Claim victory and never admit defeat)」
ドナルドはその教えを忠実に守り、やがてはロイの制御が届かないところまで上り詰めていくことになったのである
物語は、ロイの他にのちに妻となるチェコ人モデルのイヴァナ(マリア・バカローバ)との出会いも描かれていく
会員制クラブに入れなかったイヴァナを助けたことがきっかけで、この恋愛にもルールを押し通していく
だが、結婚制度に異議を持つロイは自殺好意だと激怒する
やむを得ずに「婚前契約書」を交わすハメになるのだが、そんな結婚がうまくいくはずもなかった
やがて、ドナルドの成功とともに表舞台に出ざるを得なくなるイヴァナは派手に着飾ったり、夫の意見を取り入れて豊胸手術をしたりしていく
だが、夫婦の倦怠期はあっさりと訪れ、「もう魅力を感じない」とまで断言されてしまった
ロイとの関係は、仕事というよりもロイの健康面のが原因で、それが全米を襲ったエイズの流行だった
ドナルドはロイとラッセルがそのような関係であることを知っていて、ラッセルの病気がエイズであることに気づいていた
当初、ドナルドはハイアットホテルにラッセルを泊めていたが、偏見はやがて衝突を生み、彼をホテルから出さざるを得なくなった
この行為によってロイとの間に亀裂が生じ、さらにロイ自身もエイズに感染してしまう
ドナルドは距離を置かざるを得なくなり、美容外科医ホフリン(マット・バラム)にも、それとなくエイズのことを聞いていた
やがて、ロイは車椅子生活を余儀なくされ、ドナルドの知らないところでラッセルは亡くなってしまう
ロイは新しい恋人ピーター(Aidan Gouveia)の介助を受けるものの、ドナルドに抱いていた想いも捨てきれずにいた
ある日のこと、ピーターとともに避暑地に出向いたロイは、そこで盛大な誕生日会を催してもらう
ドナルドから高価なカフスボタンをプレゼントしてもらうのだが、イヴァナはそれを「安物だ」とバラしてしまう
ロイは落胆するものの、アメリカの国旗を施したバースデーケーキを前にして、最後の意地を通して、ドナルドと切れることを決意するのである
一般的にカフスボタンは女性が気になる男性に贈るもので、「私を抱きしめてほしい」という意味合いが込められていると言う
受け取ったロイとすれば、ドナルドの計らいに感動するものの、イヴァナの言葉でその意味が逆転してしまう
また、国旗を施したケーキを見て、ロイは「ドナルドの決意」と言うものを感じ取る
それは、これまでにロイが掲げてきたアメリカ・ファーストの考え方を、今度はドナルドが受け継ぐと言う意味合いになっている
それゆえに、ロイは私情を挟むことなく、ドナルドの前から姿を消すことを厭わなかったのではないだろうか
いずれにせよ、実在の人物が大統領選に出ると言う段階で制作されているので、ある種のネガキャンの一歩手前のような映画になっていた
公開差し止め請求が来るのも当然で、かなりプライベートな部分を掘り下げすぎているように思える
ドナルド自身が良くても、故人の名誉を蔑ろにしたり、さらに家族に与える影響というものも大きいだろう
ただし、思ったよりもネガキャン要素は感じられず、ドナルドの人間的な部分と彼の政策に関する思想を尊重しているので、その点は悪くないのかなと思った
この映画はドナルドの伝記であると同時に、これから変わっていくアメリカの方向性というものを表している
なので、賛同者は「USA!」な政策に鼓舞し、その思想にそぐわないと感じるものは反発をするのだろう
ある種の分断が起こっているのだが、民主主義は分断を起こすことが前提になっているイデオロギーでもあるので、今後はマイノリティには住みづらい世の中になっていくのかなと思った
トランプという人間性の難しさ
序盤は若い青年がコーン達から影響を受けて、途中からトランプのキャラクターは性欲、顕示欲、投資の3つしか価値観がないという趣旨の内容が途中から繰り返されていく。そして、そのまま映画は簡単に終わってしまった。おそらく、アメリカの陰謀論や権力闘争の歴史に興味がなければ後半のシーンは全く魅力を感じない人もいるだろう。
私もあまりにアッサリとした終わり方に疑問が出たが……。
トランプが出演しているテレビの関係者と番組の決め台詞を考えたり、経済的な失敗もかなりしている部分は殆ど描かれてなかった。しかし、映画のラストも「投資の芸術家」と言わせたり、そういうビジネスマンという印象が強い通り、トランプとはイメージ戦略に特化した人間であり、それを巧みに扱いアメリカンドリームを掴んだ数少ない人間の一人なのは確か。その意味では正しい映画の締めだったのかもしれない。どこまでが虚構で、どこまでが真実なのか見極められる人はいない。それが分かる映画だった。
ちなみに海外のレビューサイトでは、やっぱり陰謀論について議論されたものが多かったように私は感じた……。
トランプ大統領就任の日に
急に思い立ち、キノシネマみなとみらいで鑑賞。
他人の助言を求めていた青年時代からの変貌ぶりに
観終わった直後はショック状態になったが、
1日経つと「だから大統領まで上り詰めたのか」と妙に腑に落ちてきた。
トランプとロイ•コーンの師弟関係はこれまで知らなかった。
知らなかった世界を知れる、だから映画は面白い。
ラスト、ロイ•コーンの3つの教えを自分は勘が良いからと、
元から自分の考えのように記者に語るトランプ。
セバスチャン•スタンが、作品が進むにつれ、
どんどんトランプに見えてくる…とくに横顔!
ジェレミー•ストロングが演じるロイ•コーンは、
鬼気迫る迫真の演技で序盤から引き込まれた。
これは私自身の願望かもしれないが、
ロイにプレゼントしたティファニーは、
本当に偽物だったのだろうか?
イヴァナからロイへの仕返しでそんな事を言ったのでは…?
トランプ氏に少しでも人間らしさが残っていて、
死期が近づくロイに最後は恩返しをしたと思いたい。
彼の素が垣間見れて楽しめた! 見事な表情ジェレミー・ストロング氏に賞を!
ドナルド・トランプ殿へ
二度目の米国大統領就任おめでとうございます。
この映画を観るまでは そんな気には全く成れなかったでしょうね。
人と言う者は、本性を包み隠さす曝け出して語って
それで評価を受ける物でしょうかね。
中々それは誰しも出来かねる事ですが
大統領に成る人物はそれが成し得てこそかもです。
この映画を観て少しはトランプ氏の人となりを感じ得た次第です。
厳しい試練を日本に投げかけて来るかもですが
それもまた 運命なのでしょう。そんな気がします。
この映画で出ていた
ロイ・コーン(弁護士):演じた ジェレミー・ストロングさんが良かったです。
この表情、この変化。お見事ですね。とっても好演でした。
なんか助演賞をと感じましたです。
そして トランプ氏を演じた セバスチャン・スタンさんですね。
出だしから中々のアメリカの好青年を演じてますね。
とっても良かったです。
最初の奥様との求愛もそこだけは 想いは素敵な感じでした。
一見、中々周囲から理解されない殿方トランプ氏。
でも元々は普通のアメリカの好青年であって
今も彼の中にはそれが存在しているのではと 私は思いたい所でしょうか。
興味ある方は
是非 劇場へ!
ロイ・コーンの怪演がすごい
ドナルド・トランプを、並外れて功名心と成功欲が強いが、利己的で傲慢で、自身に甘く、他者に厳しく、人情が無い、単純で愚かな人物として描いている。人並み以上の成功を求めたために、人並みの幸せを手に入れることができなかった哀れな男としても描いている。
かなりの部分を推測で脚本化している映画とわかるので、この映画を観たからといって、「トランプけしからん」、とはならない。
でも普通にドラマとして面白い。ナイーブな成功欲の高い若者が、ロイ・コーンという怪物に出会い、変貌していく物語。ロイ・コーンの怪人物っぷりの演技は素晴らしい。
ロイ・コーンを、同性愛者でありながら、同性愛に対して蔑視的発言をする、自身が同性愛者であることを認めなかった、複雑な人物として描いているのも面白い。
この映画の核心は、ロイ・コーンの語る「勝利への3つのルール」。どんな汚い、非合法な手段を使ってでも、目的を達成する、というロイのやり方をトランプは目の当たりにしていく。
そして成功者となったトランプは、インタビューで、この3つのルールをロイから聞いたとは言わずに、自分が考えたことかのように語る。ロイから聞いたと言いたくなかったともとらえられるが、むしろ、ロイから聞いたということすら忘れてしまうくらいに自分自身の考えとして一体化してしまった、とも解釈できる。
この映画のトランプは、(もちろん実際のトランプの実像とは大なり小なり違うだろうということは承知で、)利己的な愚かな人間ではあるが、どこか憎めない、共感できる要素もあるように思う。
道徳や良識のごまかしで覆われて見えにくい本音を言ってくれる人物でもあるように思う。兄からもらった子供へのおもちゃをゴミのようにぞんざいに放り投げるシーンは、まるでコントのようで笑えた。
あたりさわりのない言葉ばかりで何を考えているか分からない政治家よりは、悪人でも本音で語ることができる政治家の方がましなのかもしれない。
兄ちゃん
TWAのパイロットという立派な仕事に就きながら、父から蔑まれ息子のうちに数えてもらえなかった、トランプの兄ちゃんにいちばん感情移入してしまった。ロイ・コーンというトランプの人格を作り上げるに影響大であった人物との付き合いも、兄ちゃんの後押しあってのことだったんである。どこか兄ちゃんに支えられながら、父に勝ちロイ・コーンに勝つためには、兄ちゃんの情緒的で優しい部分は切り捨てられなければならなかった。/killerとしてのトランプも父もロイ・コーンも、肉体に裏切られるというところも面白かった。/アメリカ的男性性の毒を描いた作品として、『アイアンクロー』と合わせて見たい作品だと思った。/セバスチャン・スタンの“トランプになっていく”演技がうまかった。
「トランプ圧勝」「レッドシフト」と言われる事の事実関係
・2024年大統領選でトランプは初めて民主党より得票数で上に立った(7800万票近く得票)。ハリスに対して280万票程度上回った。
・なお民主党は2020年8120万票に対して7500万票まで減った。トランプは激戦州で80万票超の新規投票者獲得をした上で200万票超を民主党から鞍替えさせた。残り400万票近くは投票放棄という形で減った(なお第3政党・独立系立候補者が260万票ほどとっているがここも50万票近く減っている)。
・選挙人団の州人数配分は連邦上下院定数を合計したものになっている。この関係で人口の少ない州は最低3人の枠を持っており人口の多い州の意思が通りにくくできている(ワイオミング州だと人口58万人で選挙人団3人。カリフォルニア州は人口4000万人近くで選挙人団54人)。人口の少ない州は大抵共和党支持なのでトランプは16年選挙でクリントンより280万票少ないにもかかわらず「圧勝」した。ゲームのルール、勝者を決める仕組みとしてはわかっている話なのでいいんですが、ただこれを「圧勝」と呼ぶのはデータ見てないだろというしかない。ちなみに2016年と2024年の得票差は近い数字です。
・2024年選挙は投票数が大きく減っていて、それは民主党側の支持層が起こした反応だと見られる。「レッドシフト」と言われるが実態は投票数の減少=民主党支持指標の減少が大きくて得票率の変動はこれに影響されている。ハリスも嫌だがトランプも嫌だという人が400万人近く出た事が「レッドシフト」を大きく見せている。
・『アプレンティス』いうまでもなくトランプが「お前は首だ」で有名になったリアリティショー番組のタイトルでもある。
・トランプの調査報道をまとめた本が訳されている。文芸春秋社『トランプ』(2016)。ロイコーンの話を含めて詳しいのでおすすめです。
むしろトランプ支持者が増えそう
ピカレスクロマン(悪漢物語)としてそれなりにつくられているので、むしろトランプに感情移入する人も多そうな出来上がり。
トランプが嫌いな人は批判的に見られるだろうけど、そうでない人や元からの支持者には、困難を乗り越え、父や恩人さえ蹴落としてのし上がっていくヒーローに見えるでしょうね。
演技陣はいいです。とくに主役は、あのトランプがちゃんと映画の中にいる感じがします。風貌や喋り方までよくコピーしています。
トランプがロイ・コーンの戦術を学んでつくられていったというあたりがストーリーの中心なんでしょうけど、こういう人であることは知ってるし、過去に悪どいことをやってきたのもだいたいわかるので、これならドキュメンタリー映画にした方がよかったのではという気もしました。
ただ、ロイ・コーンが落ちぶれ、信頼できる人が周りに誰もいない状態の末路をたどったのが、将来のトランプの末路だといいたいのかもしれません。
もうすぐ始まる
~ネタバレ~
勝つためには手段を選ばない師匠に若きトランプは言った。
「それは違法では?」
師匠は答える。
「アメリカ!!」
「アメリカの国益の為ならどんな行為も許される」
~~~~~~~~~~~
今「アメリカファースト」を掲げる大統領が生まれようとしている。
彼が何をするか推して知るべし。
ロイコーンの強烈なキャラクター
トランプの若いころの映画らしい
時代的には70~80年代のアメリカという感じ
本作では個人的にもトランプよりも
トランプの師匠であったロイコーンのほうがキャラが強烈だと思った
彼は「赤狩り」でローゼンバーグ夫婦を電気椅子に送るために
違法な手段まで使った悪徳カリスマ弁護士らしい
勝利のために以下の三つのルールをトランプに教える
1攻撃 攻撃 攻撃
2非を絶対認めるな
3どんな苦境でも勝利を主張し続けろ
このルールはネット社会になった現在では
さらに世間で有効になったように思う
バズった政治家とか普通に使いそう
ロイコーンの言葉はいろいろ強烈で
それによってトランプが大物になっていくという感じだが
トランプは成功するために行動をしている感じになっているが
信念みたいなものはあまりないので空虚な感じがする
ロイも危ない道をわたってまでトランプを助けようとした理由がよくわからない
トランプがビッグマウスで「税金を免除してもらう」というところは
ロイは助けなくてもよかったよなと思った
ロイは筋トレでストイックだったりするが
トランプはカネと医療によって
コンプレックスを解消しようとする部分が
二人の対比をしていると感じた
ロイはゲイであり、晩年エイズになって亡くなってしまうが、
そのことをインタビューで最後まで認めなかったのは
3つのルールを最後まで守ったことになるのか?
彼は「赤狩り」の急先鋒だったり
当時は共産主義に対して相当な危機感があったので
反左翼、反共産主義がアメリカのためになるという
信念がかなり強いように思えた
トランプはイヴァナに相当ぞっこんだったのに
まったく興味を持てなくなってしまう
トランプの裁判の発端は
黒人を入居させなかったことから始まっているが
差別主義者としては描かれていなかったので
妻へのハラスメントなどは衝撃だった
ロイがエイズになったときに
距離をとっていたときがあったのは
エイズが怖かったからなのかなと思った。
そのあと、普通に接していたし
最後にトランプは3つのルールを
語るがそれを「自分でつくった」ようにふるまうが
トランプは過去を詮索されるの露骨に嫌がるのは
ロイとの関係を隠そうとしているように感じる
【”ドナルド・トランプという怪物を生み出したモノ”ひ弱な若きトランプが周囲の人のエキスを吸ってドンドン怪物になって行く様と、演じたセバスチャン・スタンが、ドンドントランプに見えてきた事に驚いた作品。】
ー 私は、ドナルド・トランプという男が大嫌いである。だが、今作は何故にあのような怪物が出来上がったのかを、明瞭に描いていて大変に興味深く鑑賞したモノである。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・20代に厳しい父の跡継ぎとして不動産業を任されたトランプが、ローゼンバーグ夫妻をソ連のスパイとして死刑に持って行った悪徳弁護士ロイ・コーン(ジェレミー・ストロング:一切、笑顔を見せない怪演は素晴らしかった。)に多大なる薫陶、影響を受けて行く様は、実に見応えがあった。
特に、ロイからの三つの教えである。
1.攻撃、攻撃、攻撃
2.自分の非を絶対に認めない
そして、”一番重要なのだが・・、”というフレーズの後に告げられる
3.自分の勝利を主張し続ける
これ、今のトランプそのモノじゃない!
トランプが、元々は”中身のない空っぽな男”であり、彼が怪物になって行った大きなきっかけが悪徳弁護士ロイ・コーンに、気に入られたという事が明瞭に分かるのである。
・更には、最初に一目ぼれしたチェコスロバキア出身のモデル、イヴァナ(マリア・バカローヴァ)への猛アタックシーンの数々。部屋中が一杯になる程の薔薇を贈り、スキー場まで追いかける姿。彼女が結婚していたにもかかわらず。マア、ドッチモドッチ夫婦である。そして、豊胸手術までさせておいて飽きると浮気をする。人間として駄目駄目である。
・兄が困窮してやって来ても、部屋には入れずにハイアット・ホテルに部屋を取る姿。で、兄は急死。
序でに、老いたロイ・コーンから何度も電話がかかって来ても出ずに、ロイからの教えをインタビュアーに自らの考え方の様に、滔々と述べる姿。
漸く、エイズに罹患している可能性があるロイを海が見える別荘に招き、彼の59歳の誕生日を祝うシーンでの、ロイが、初めて見せる涙。あれは、嬉し涙ではなく悔し涙であろう。そして彼が亡くなると、トランプは、さっさと部屋中を消毒させるのである。
・彼の肉体改造シーン。アンフェタミンを常用していたために腹が出て来て、髪も薄くなった時に、脂肪吸引、頭皮切除するシーンも凄かったなあ。
今でも、色々とアヤシイ薬を飲んでいるのかな?
<今作は、ひ弱な若きトランプが周囲の人達のエキスを吸ってドンドン怪物になって行く様を見事に描き出し、且つトランプを演じたセバスチャン・スタンが、ドンドントランプに見えてきた事に驚いた作品である。
今後の世界、大丈夫かな。それにしても、この映画を良く上映したモノだなあ。>
目を背けたくなるシーンあり。
面白おかしくドラマを作っているだろうが、強調されるから、ちょっと、目を背けたくなるシーンも何ヵ所かある。ご本人サイドも、この映画をフェイクと訴えているらしいが、妻のイヴァンカに後ろから襲いかかるシーンはグロテスクだ。亡くなったイヴァンカの自伝にあるということだが、ドアップで劇場で、それも若くもなくロマンスでもなく、他人のご夫婦の情事を見させられるのはちょっと、ストーリーとは関係なくきつすぎる!フェミニズムの観点からトランプはひどいやつだという印象操作だろうが。敢えてこういうのを入れる所が、反トランプのプロデューサーが作っただけある映画だ。
師匠のロイが、結婚して離婚するときは夫から妻へのプレゼントを返還せよと、イヴァンカに婚前契約の文言をいれたが、晩年に、トランプからウソモノのTIFFANYのジルコニアを贈られ涙するシーンがあった。人間は身体が丈夫なときはいいが、不健康になったら自分がトランプに教えた事が堪えるものだなぁ。(苦笑)
これからのトランプと、我々日本人も共に同じ時を過ごすのだとおもうと、全く関係ない場所に住んではいるが、自分と同じ時代にいきているってすごいことだなぁ。ちょっと怖い。
プロパガンダか、問題提起か? これがトランプの実像なのか?
日本橋の映画館は公開3日目でほぼ満席。最前列での鑑賞となった。アメリカ新大統領、そしてこの映画への関心の高さを感じる。
鑑賞前の懸念は、多くの報道やメディアで知識人たちが強調するトランプの「悪魔性」を一方的に強調するものではないかということだった。多くの問題を抱える毀誉褒貶の激しい人物であるのは周知のことだが、2回の民意の支持を受けた人物である。そこには、多様な価値観の渦巻くアメリカの複雑な人々の意思が反映されている。
単純に断罪する視点で描くのは、彼に託された民意を矮小化するものになりかねない。そんな映画だとイヤだなと思ったのだ。
イラン出身のアリ・アッバシ監督のこれまでの作品は未見だが、調べてみると、単純な善悪の二元論でわかりやすく描く監督ではなく、「人間の複雑性」や「真実と言われるものの曖昧さ」を描いてきたという評価のようだ。期待を高めつつ、座席に座った。
冒頭で、弾劾され辞任したリチャード・ニクソン元大統領の記者会見を引用し、明快にテーマが提示される。
「もし、大統領が悪魔なのであれば、国民はそれを知る権利がある」
そして若き日のトランプの物語が始まる。
序盤では、権力とお金にしか興味がない若き日の彼の姿が描かれる。デート相手の女性が彼の軽薄さに嫌悪感を抱き、トイレに向かう姿が象徴的だ。
記録映画と見紛うほどトランプ本人にそっくりな主演俳優の演技がリアルで、エピソードも戯画化されつつリアリティ抜群だ。
物語は、資産家2世としての初々しい野心を持った若者のトランプが、悪魔的な能力を持つ弁護士ロイ・コーンに気に入られるところから進む。コーンはトランプに勝利の方程式である「3つの原則」を叩き込む。
1. 攻撃は最大の防御である
2. 決して謝罪するな
3. 現実を作り出せ
トランプはこの行動原則を武器に、欲しいものを次々と手に入れる。障害となる人物を社会的にも経済的にも「抹殺」することにためらいはない。
映画で描かれるトランプの実像は、徹底的に醜悪だ。恩師も、父母も、兄妹も、妻や子供すらも愛せない人物として描かれる。そして、自らの醜さを覆い隠すために整形手術を受ける場面では、その醜悪さがさらに強調される。
彼にとって「愛」や「絆」は重要ではなく、「3つの原則」のみが彼の人格を形作っているという印象が残る。
また、映画では政治家になる前の彼のルーツが描かれるが、何らかの社会課題認識や志に基づく政治的野心の原点は描かれない。本当に何もない空虚な人物ならば描きようがないのかもしれないが、これまで「人間の複雑性」をテーマにしてきたという監督の作風とは異なるのではないか。紋切り型に善悪の二元論で描く、ピカレスクエンタテイメント作品と私には見えた。
ラスト近く、伝記作家と思われる人物とのインタビューシーンで、トランプには語るべきルーツも思想もなく、彼の中にあるのは『3つの原則』だけの空虚な人物であることが重ねて描かれ、映画の締めくくりとなっている。
最後まで飽きさせない、強烈に面白い映画であった。
しかし、アメリカの複雑な民意を反映して選ばれた人物としてのトランプには一切触れられない。もちろん、政治家になる前の彼のルーツを描く映画だから、触れようもないのかもしれない。現代アメリカの複雑な現実に触れることなくストーリーが終わる点は物足りなさを感じるが、それこそが監督の狙いでもあったのだろう。
冒頭で投げかけられた問い――「もし大統領が悪魔ならば、国民はそれを知る権利がある」――は、映画全体を通じて、その悪魔性が補強される。
一方で、この映画には監督自身が「自らにも繰り返し問いかけた」作家的な深い問いではなく、観客を啓蒙しようとする意図が感じられた。まるで、「愚かな大衆の1人であるあなたにも、これでわかったでしょう?」と言われているような気さえした。
この映画を見たトランプ支持者はどう感じるのだろう? 本作は対話を生まず、分断を加速するのではないか?
とても面白く、よくできたプロパガンダ映画だ。これが観賞後の率直な感想である。私は何かを見落としているのだろうか?
明日就任するのは本当にこの人?
大体の悪徳弁護士ものは、倫理的にどうなの?とか、違法すれすれ!というものだが、ロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)は完全に違法。
それでも、挙げられないのは、声を上げれば自らも破滅してしまうという人間の弱みをがっちり掴んでいる「勝者」だからなのか。ウツボのような澱んで微動だにしない瞳が恐ろしい。
そんなコーンに助けを求めたトランプ(セバスチャン・スタン)は、ウツボに飲み込まれて消化されてしまうのかと思ったら、大き過ぎてウツボがゾウの形に変形していく。
水をちびちび飲みジジババ相手に集金していた冴えないトランプが徐々に自信をつけていくところは応援したくなるような部分もあったが、増長し過ぎた彼は人間として醜悪極まりない。ラスト近くの手術はあえてグロテスクな描写が、フランケンシュタインのような怪物を作っているようにも見えた。
彼が超大国の主となるこれからの4年間、日本も相当強く出ないと滅茶苦茶にされてしまう。それにしても、次期大統領になろうという人を題材に日和らず忖度せず、よくこういう映画を作れるな、とアメリカの表現者たちのバイタリティは本当に尊敬に値する。
それにしても、コーンはどうしてあんなに力をなくしてしまったのかが分からず。年と病気が原因としても、愛人1人良い施設に入れられないなんて、お金は使い果たしちゃったの??
終わりがあっさりしすぎて、もっと見たかったので少し物足りなかったけれど、全体として怖さとストーリーがしっかりしており、見応えあり。ジェレミー・ストロングとセバスチャン・スタンの演技も素晴らしかった。
実業家としてのトランプの、何を描きたかったのかがよく分からない
トランプに似ているというイメージのなかったセバスチャン・スタンだが、特徴的な口元をうまく再現していて、そのうちトランプ本人に見えてくるのだから、やはり熱演と言って良いのだろう。
内容的には、トランプと、彼に影響を及ぼした弁護士との関係が描かれているのだが、確かに、弁護士は、成功するための三原則なるものを教示しているものの、それで、トランプが、純粋な若者から「怪物」に変身したのだとはとても思えない。
攻撃的で、自分の非を認めす、勝つことに執着する実業家なんて、それこそ五万といるだろうし、生き馬の目を抜く実業界では、そういうキャラクターこそ求められるに違いないと、逆に納得してしまった。
トランプがのし上がっていく手口にしても、相手の弱みにつけ込んで脅迫し、人種差別の訴訟を取り下げさせたり、ホテル建設に伴う税金を免除させたのは、あくまでも弁護士の方で、トランプ本人があくどいことをした訳ではない。
あるいは、積極的な不動産事業の展開で資金繰りが苦しくなったり、結婚生活に行き詰まったり、脂肪の吸引や薄毛対策の手術を受けたりはするものの、それで、トランプの人格に大きな問題があるとも思えない。
むしろ、エイズに罹患した弁護士を、一度は切り捨てようとしたものの、最後は、死期の迫った彼を自宅に招いて、感謝の気持ちを伝えるところなどは、トランプが「善い人」に思えてしまった。
結局、実業家としてのトランプの出自は分かったものの、そんな彼の何を描きたかったのかは、最後までよく分からなかった。
トランプが、国民的な人気を獲得する契機となったリアリティ番組への出演のエピソードは描かれないし、自らが政治家になるよりも、金を渡して政治家を動かした方が良いと考えていたトランプが、どうして大統領になろうと思ったのかも分からずじまいで、観終わった後には、大きな物足りなさが残った。
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