「フィクションとノンフィクションの狭間」アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 うっかさんの映画レビュー(感想・評価)
フィクションとノンフィクションの狭間
ただのトランプに対するネガティブキャンペーンになっていないのが映画としての凄味がある。スピルバーグが完全に反トランプへのカウンターとしてペンタゴンペーパーズを制作。あれで一度は追い落とす一助になったかも知れないが、2025年あの時とアメリカは、そして世界は変わったのだ。再び返り咲いたのだ。
アメリカの政治機構が生み出す強者がどんな歪んだカタチ、キャピタリズムの権化かつキリスト教福音派を兼ね備えたモノが世界に君臨することができる。
その病理を映画的に抽出できたのは、故国イランの実情を問い、結果国を追われ、アメリカでフォーリナーとして俯瞰できる監督アリ・アッバシの手腕に脱帽。80年代数々の政治的な案件を含め、世の中を変えてきた弁護士ロイコーン。その中で見出し、その弟子apprenticeとして、大成させ、後に切り捨てられる、現大統領トランプの孤独の悲哀をフィクションとしては感じられるが、現実の世界はトランプが王になることによって、make America great again 名のもとに世界は混沌に導かれていくことはノンフィクションなのだ。
北米では大統領選前、日本では大統領選後なので観る時系によって評価が大きく変わるのはなかなかない楽しみ方なのでぜひ。
あ、セバスチャンスタンとジェレミーストロングは最高の演技でした
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