「言葉がとても染みる映画です。」ブルーピリオド Buttonさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉がとても染みる映画です。
「あなたが青く見えるなら、りんごもうさぎも青くていいんだよ…。」 普段規則まみれの社会人の私には、森まるちゃんの言葉にポロッときました。
「俺はやっぱりただの人だ、天才にはなれない。やった分しか上手くならない、だったら天才と見分けがつかなくなるまでやるしかない…。」 自分自身を理解しながら、絵を描く事への八虎の覚悟を感じてグッときました。
八虎も天才の部類だと思いますけどね。
不良仲間と付き合いながらも学校の成績も良い、卒のない生き方をしている高校2年生の八虎。周りに合わせた生き方ですが、自分自身が無い八虎が絵画に目覚めて自分自身を見いだし東京藝大合格を目指すストーリーです。
家庭の事情から国立の東京藝大一択しかなく、浪人もできないであろう八虎が絵画にのめり込み大学を目指す過程が痛々しいです。絵画なんて答えの無い感性の世界ですからね…。
私は趣味で写真をしていますが、写真も感性が必要です。八虎の場合は趣味レベルではなく、短期間で技術と感性を磨いて、最難関大学に合格しなければならないのです。自分が描いている絵を中途で破いてしまう、上手く描けずキャンバスを倒してしまう、壮絶ですよね。
そして現れるライバルの絵の天才達……。八虎の不安は募るばかりです。
徐々にですが、技術と感性が磨かれて描く事を楽しめるようになった八虎。その時初めて大学合格レベルに達したのでしょう。受験のシーンでは出題される絵の課題に対して、八虎が本来持っている卒のなさ、戦略性が発揮されます。受験会場での磨かれた八虎独特の感性を発揮するシーンにもうなりました(割れた鏡のシーンとかね)。
果たして八虎は藝大に合格するのか……。
「好きな事に人生の一番大きなウエイトを置く、これって普通の事ではないでしょうか…。好きな事をする努力家は最強なんです。」
佐伯先生に背中を押されているようです。
私も会社を辞めて写真家を目指そうかな、なんて少しでもそんな気持ちにさせる熱い映画です。