「芸術への愛が詰まった良い映画。」ブルーピリオド yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
芸術への愛が詰まった良い映画。
今年288本目(合計1,380本目/今月(2024年8月度)13本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
(前の作品 「プー2」→この作品「ブルーピリオド」→次の作品「ノリャン 死の海」)
テレビアニメ版などが原作なようですね。
そのため、確かに普通に考えるとかなり設定に無理があろう点(一般常識論など。いくつかは後述)はありましょうが、美大でも音大でもいわゆる広義の意味での「芸術系大学」については当事者の後援などあったようでかなり詳しく描かれています。
こうした点について描く映画といえば、去年だったか「私は線を描く」だったかのタイトルで取り上げられた書道の例くらいで数が少なく、また日本においてはやはりごく少数といえる芸術系大学(体育系大学等も超広義に含めてもやはり全体からすると少ない)等を扱っていたという点はよかったのかなというところです。
こうした大学への進学には親の理解が必要なところ、最初はいろいろ反対もしますが最終的には賛成して受験当日見送っていく親の対応なども評価が良かったところです。大学受験会場で彼を待ち受けていたもの、またその結果は…というところになるとネタバレになりましょうね。
採点に関しては特段気になる点まで見当たらないのでフルスコアにしています(ただ、結局「推薦を受ける」という話になってましたっけ?国立大学はどこであろうと共通テスト(旧センター試験)の受験が必須です)
--------------------------------------------------------------------
(減点なし/日本におけるこうした大学への進学と、中学高校の接続事情)
日本ではいわゆる「実技系科目」と呼ばれ高校の入学試験ではおよそ出てこない(特に公立高校だとまともに採点できない)実技試験はその関係で、中学→公立高校入試では、内申点を倍にするなどして対応している都道府県が多いです(私が大学進学したときの広島は確か2倍扱いだったかな)。一方で名目上はこれら実技科目は中学では全てやります。名目上は義務教育だからです。
しかし、高校にはいると、芸術、音楽…(あとは、工芸と書道)と分かれてしまい、単位数も「各1」の「どれか」だけが必須単位の扱いで、「~2」「~3」を設けている高校は少ない(他の必須科目や、一般的な国公立合格を目指すカリキュラムにすると時間が絶対に足りなくなる)のが実情です。これは実際にそこまで扱える教員が少ない、また、美大音大等を目指す場合は公立であろうと私立であろうと実際に専門の学校(ここではそれ専用の予備校といったほうがよい)に通うのが普通という実際上の問題によるものです。映画内でも専門予備校などに通っているのはそうした事情でしょう。
かつ、高校を公立高校で選ぶにせよ私立高校で選ぶにせよ、基本的に芸大音大ほかを想定した教育を行っている高校は少なく(それらの私立の付属私立高校はまた別だが、高校入試並みとはいえ実技が科されることになる)、「行きたくてもいけない」という事情以上に、「日本ではおよそ想定されておらず、行きたいなら願書の提出等はするが勉強は各自でやってね」に実質的になってしまっている点はあります。各「~1」だけは必須なので全員学習しますが、それはあくまで指導要領の関係であって、それだけで芸術系大学に入れるわけでも何でもないからですね。
一方で「中学まででは最終的に全て学習する」とは書きましたが、逆に言えば高校でその初歩の「~1」を学習もしない他の科目(音楽にせよ美術にせよ)に関してはそこどまりであり、それもそれで何だかな(日本の日常生活でそれらの中学レベルの知識レベル「さえ」必要となるシーンはほぼないといって差し支えないが、かといってそうであるなら、逆に何で必要なのかもよくわからなかったりする)といったところはありますね。
また、「国公立が無理ならせめて私立でも」というような趣旨の発言があったと思いますが、日本ではこれらのいわゆる「芸術系大学」は私立まで広げても数が少なくむしろ地方クラスでも単科であるかないかくらいです(例えば広島にはエリザベト音楽大学という私立大学がありますが、名前の通り「音楽」のみの単科です)。