「依存症当事者と家族のリアルが詰まった日本初のエンタメ映画」アディクトを待ちながら 青子さんの映画レビュー(感想・評価)
依存症当事者と家族のリアルが詰まった日本初のエンタメ映画
依存症者とその家族の解像度が本当に高く、涙無しには見れない作品です。特に当事者やその家族であれば尚更です。
本作は、様々な種類(ギャンブル、薬物、アルコール、買い物)のアディクト=依存症者がゴスペルグループを結成し、依存症当事者・依存症の家族たちともに回復に向かっていく道のりの一部を描いた作品。
当事者の俳優さんを多く起用していることでも解像度が高くなるのはもちろんのこと、その他の俳優さんたちも本物の当事者なのではないかと思うくらい、依存症者の人たちのセリフが胸に響きました。
作品の製作にあたり綿密に取材されただろうし、俳優さんたちのインプット量もものすごい量だったことが窺えますが、役者によって異なる台本を渡すといった製作手法が取られたことでよりリアリティが増し、フィクション作品でありながら半ドキュメントに感じました。
作品内に差し込まれる、世間から依存症者へ向けられる偏見や差別もすごくリアルだった。
自分もかつては偏見だらけの側の人間でした。薬物依存する人は、犯罪へのハードルが低い違う種類の人間だと思っていた。世間にバッシングされまくっても仕方がない人種なのだと勘違いしていた。でもそれは誤りでした。
私は、自分の家族が依存症になって初めて「依存症」という病気をちゃんと勉強した結果「どんな人でも誰でもなり得るのが依存症という病気の恐ろしさなのだ」と理解しました。
犯罪を犯すことは勿論してはならないことだけれど、その罪を償った上で依存症当事者の人生が続いていくことを忘れてはいけない、と思わせてくれる良作。
是非、依存症に特に関わりのない人にも見てほしい。アディクトは意外と身近に生活をしているので。
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