ドマーニ! 愛のことづてのレビュー・感想・評価
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斬新で愛おしい映画。
モノクロで虐げられた女性の権利をテーマとした映画。
確かにその通りではあるが、まったく予想の斜め上をいく凄い映画だった。
夫のDV場面がミュージカル風だったり、恋心で見つめ合う2人の歯がチョコレートまみれで、しかも待たされて怒るおっさん客を入れ込みながらのグルグルカメラワーク!
突然、普通に起き上がる寝たきりの義父をはじめ、バカ夫、バカ息子2人、娘のバカ婚約者等々のキャラクター祭り!
その中で輝く娘の可憐な美しさは、主人公の母からテーマを受け継ぐにふさわしい。
ラスト、拭う口紅からのエンドロール曲に合わせたハミングの口の動きのチャーミングさ。
なかなか考えつかないセンスのある演出で彩られた上質の人間ドラマであり、上質のコメディである。
少しでも多くの人に観てもらいたい傑作。
女性の自立が、失われた想像力を取り戻す
体力差からくる役割(例えば、狩猟採集の時代に狩りをして食糧を確保するとか、戦争で領土や資源や財産を掠奪するとか)などから一定規模の集団の中で男の方が戦力的に重宝されたり、リーダーとして祭り上げられてきたのはそれなりに理解はできる。
だけど、どこをどう勘違いすれば、男は支配し罰を与え、女は服従し耐えるだけの存在なのだと思い込めるのだろう。
優しくない人というのは、他者への想像力のない人。
こんなことをしたら(言ったら)相手はどう感じるだろう。この人の家族はどう思うだろう。
そんなことを少しでも想像できる人なら、絶対にしないこと。
戦争というのは、他者への想像力を失わせ(そうでなければ相手を攻撃できない)、自己保身(自分の命だけでなく、自己中心的な立場や名誉を守る)ばかりが優先される世の中にしてしまう。
だから、戦争に向かう時代は、言論や自由がどんどん統制されていき、世の中から想像力や優しさが奪われていくのだと思います。
戦後間も無い時期の〝女性参政権〟は、戦前から戦時まで社会全体が失っていた想像力(=優しさ)を取り戻すきっかけにもなったのだと思います。
あの特別な1日がオチとは出来過ぎか
彼女の名前はデヴォアンナ!(=私、行かなくちゃ)
すごく面白かった!センスのいい選曲。あっと言わせる「手紙」の役割。夫のDVをダンスと歌で表す可笑しさと皮肉、女達のお喋りと助け合いと意地悪、女には偉そうに振る舞い男同士ではマウントする男達。戦後イタリアのモノクロ映像の中、ルティーン化している夫の難癖暴力が日常になっていても逃げることもせず、でも思考停止状態にはまだなってない妻。そして愛する娘の将来のための凄い決断!強さと明るさを太陽のように浴びた。
この映画が昨年、イタリアで並みいるハリウッド映画をぶっ飛ばして興行収入ナンバーワンの大ヒットになった理由がよくわかる。戦後イタリアを舞台にしながら現在にも未だ繋がる状況を本当にうまく織り込んでいる。台詞も衣装もセットも素晴らしい。
この映画は日本でも一般公開して欲しい。
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