劇場公開日 2025年3月14日

「まるで萎れた向日葵が咲きなおすが如く」ドマーニ! 愛のことづて ihatakaeightさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0まるで萎れた向日葵が咲きなおすが如く

2025年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

単純

第二次世界大戦後のローマ、女性への地位権利が低かった時代に生きる市井の人々の姿を描いた2023年イタリアでヒットしたドラマ。

まずお伝えしたいのは、お涙頂戴の女性人権映画やヨーロッパ古典映画のようでもない、一言で”下町母ちゃん奮闘記”だ。主人公デリアは、娘に”ママの生き方は絶対嫌だ”と強烈な一言を浴びせられるような日々だ。彼女の人生は正しいのか、彼女が求めているものは何なのか観客に問いかける。

既視感があった。私の母は戦中、祖母は大正生まれ、その時代を生きた女性達の事を考えてしまった。今が良いとか悪いとかではない、時代と共に変わる価値観の問題だ。この映画はそれを、ユーモラスにエンタメ性高く再現している。これは監督主演のパオラ・コルテッレージのセンスだ。彼女と同世代で、下町育ちの私にも共感するものがあった。

クライマックスに期待してほしい。デリアは、まるで萎れた向日葵が再び太陽に向かって咲き直すが如く、輝く。映画史に残るといってもよい。鑑賞後の清涼感も高い。

語り口の気持ち良いエンタメ映画なのでご安心ください。もし、お近く劇場で上映があれば、是非劇場でデリアをご覧ください。

ihatakaeight