劇場公開日 2024年9月27日

「完成度以上に勝る不快感。映倫は仕事してください。」憐れみの3章 ばばちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

0.5完成度以上に勝る不快感。映倫は仕事してください。

2024年9月29日
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怖い

映画としては完成度が高く、決して駄作では無い。
そのため0.5。
しかしながら本心としては星は付けない、否つけたくない。そして、この監督の作品を観ることは金輪際二度とないと確信している。

高評価が目立っていることが自分からすると不思議なので、そう感じる理由をしたためる。
(私自身は、女王陛下のお気に入り、哀れなるものたちについては映画館で鑑賞しているので、この監督の作品には今までも触れてはいる上での記載である。)

今作は一貫して、支配する者と服従する者の二項対立で構成され、1話目で服従していた者が、2話目、3話目と立場が変化しているという構図も面白かった。
(話の内容自体はそれぞれでガラリと変わり、直接の繋がりは無いオムニバス的な展開をする。)
また、何かしらに支配されている上で繰り広げられる人間模様も興味深く考えさせられるものは勿論あった。
そういう意味では確かに面白い映画ではあるのだ。

しかしながら、流石にこういう描き方をしなくてもと思う程、全体を通して不快で気持ちが悪く、あまりにも凄惨、非道いとしか言いようの無い流血表現や裸体表現も多くを占めており(蛇足、不要と感じるような箇所もあった。)、特に2話目に関しては正直吐き気を催した。
映画館から何度途中で出ようと(出なかった理由は、最後まで見ないとむしろ胸糞が悪いと感じたから本当に本当に仕方なくである。)と感じたことだろう。

勿論、一方では不条理の表し方などは監督らしい表現でもあるのは分かってはいるものの、支配と被支配を描く方法は、今回のような手法を取らずとも描くことは出来るであろう。(前作があまりに完成しすぎていたこともある。)
こちらからすると、映画の面白さや出来栄え以上に、監督がしたかったことにただただ振り回されて奔走されたと感じた。
我々は何を見せられているのだろう、と。

ホラーでもスプラッタでもなく、ジャンルに分けることはできない部類の映画だと感じたものの、強いて言えば監督の自己満映画(自己満は言い過ぎではあるものの、やりたいことを好き勝手にやった、人にわざわざ見せるものではないような映画といった感じか。)の部類だと思う。
前作のディズニーというストッパーがいかに貴重であったかを心から感じた。

また、これは映画の内容とは直接関係は無いが、
正直事前の宣伝とギャップがありすぎるのもいかがかと思った(宣伝は全体的にポップで幻想的な雰囲気もあり前作寄りな印象。)し、こうした内容の映画は観る人を選ぶはずなのに、それを堂々と巨大スクリーンで流してしまう危うさよ。
監督も俳優陣もビックネームであることは間違いないが、内容としては小さい箱用の映画ではあったと思う。
倫理的に考えても、決して誰もが見に行くような映画館で流していい作品ではないと思う。
直近のアカデミー賞受賞監督の新作であるからこそ、老若男女問わず観に行く人もいるかもしれない中、もう少し事前の魅せ方には工夫はできたはずである。

本当に、映倫は何を見てR15にしたのか。
グロさだけ取ってもR20でも足りないと思う。
いつも思うが、映倫のバー感は低すぎる。
正直普段こういったジャンルを敢えて選ばない身としては許し難い内容であった。

貴重な日曜日を費やしたというのに、鑑賞後は上記に記載をした理由による怒りと疲労で困憊だった。
本当に悪夢のような映画であった。
監督は人間であることを棄てている。

これ以上の被害者(としか言いようがない。)を増やしたくはないので、観るのは自由である前提としても、是非こうしたレビューも読んで欲しいと思う。

少なくとも、自分自身の感性には全く合わなかったし、共感し得ない映画であったことは間違いない。
悪趣味極まりない。

ばばちゃん
ばばちゃんさんのコメント
2024年10月2日

ありがとうございます。こちらの作品について賛否両論ある中、共感頂けて嬉しく思います。
この内容でR15は目を疑いました。最近、映倫の基準が少々緩くなったように思います。
観客の層を厚くする為なのかしれませんが、然るべき判断を下して欲しいと感じてしまいました。

ばばちゃん
ねこのあおさんのコメント
2024年10月2日

ほんと、R15はどうなんでしょうね。

ねこのあお
ばばちゃんさんのコメント
2024年9月30日

ありがとうございます。
自分のように感じた方がいらっしゃることに安堵を覚えました。
こちらこそ、哀れなるものたちへのご感想、共感しかありません…!
傍から見れば不器用ともとれる者たちが、歪ながらも彼ら彼女らなりの愛のかたちを育んでいく真摯なストーリーに胸を打たれた者の1人です。
今作も面白い作品ではあったものの、テーマ性を汲み取りきれず、個人的には残念に感じました…

ばばちゃん
かばこさんのコメント
2024年9月30日

映画としては完成度が高く、決して駄作では無い。
でも、ひたすら悪趣味

まったく同感です。おっしゃるとおりと思いました。
「哀れなるものたち」も悪趣味でしたが、真摯さ、ひたむきさ、深い愛など、人としての真っ当さが気持ちよくて、好きでした。

かばこ