「ユーリズミックスのムダ遣い」憐れみの3章 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
ユーリズミックスのムダ遣い
「メタファーだよ、象徴的だろ」は、
「聖なる鹿殺し」か、
「ロブスター」か忘れたが、
バリー・コーガンのセリフだっただろうか。
ヨルゴス主導のシナリオは、
テーマもストーリーもまとまらないどころか、
それを言っちゃおしまいのセリフまで書いてしまう。
ジョークのような開き直りのセリフ、
(本作は、R.M.F)も駆使して、
ホラーすれすれの自己意識の暴発、
またはバックファイヤーの、不協和音を鳴らしながら、
登場人物の奇声、奇行、愛情の押し付けは罪なんだろうか等、
を観察者のフィクスのカメラで追っていた。
そろそろネタも無くなってくるだろうと、
予想していたら、
女王陛下の悪態、プアーな尊厳の解放を、
ワイドレンズ、必要以上の仰角、伏角を多用、テーマも狙いも明確だった。
それに伴う美術の造り込み、というアップデートを遂げ、
魚眼のようなパースで、
現代社会にも通じる人間の心の闇や歪みを象徴しているよう・・・
とこじつける事もできなくはなかった。
驚きは隠せなかったが、すばらしい作品だった。
ところが本作は、
ヨルゴス・ランティモスがなんだか初期化されたようで、
撮り方のカロリーも低く、
[愛情][人質][疑い][奴隷]プレイ等、
全体的に変な事はやっているが、
それが単なる「変な映画」の域を出ない。
今後、可能であれば、
バリー・コーガンやエマ・ストーンのようなキャラが活きるような、
女王陛下や哀れなるのような、
ちゃんとしたシナリオライターを起用するほうがいい、
もちろん、ジェシー・プレモンス、デフォー博士も・・観たい、
ホラーやスプラッタ未満の作品を観たいが、
無理な注文なんだろうか・・・
エマ・ストーンの【しらんけどダンス】は笑えた。
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