「コウモリは恐怖の象徴」バットマン ビギンズ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
コウモリは恐怖の象徴
Huruで改めて鑑賞。もう公開してから、17年も経つんですね。
先日、新たな『バットマン』が公開され、前シリーズのダーク感は継承しながらも、バットマンが抱く心の闇にフォーカスした、ヒューマンタッチなアクション・ムービーとして復活した。
本作は、その前シリーズで、クリストファー・ノーラン監督が、若きクリスチャン・ベールをバットマンに起用した『ダーク・ナイト』シリーズ3部作の1作目。幼少期に、自分の目の前で両親を殺されたブルース・ウエインが、心の葛藤やトラウマを抱えながら、無鉄砲な正義感を振りかざして、バットマンとなっていく過程と悲哀を、クリスチャン・ベールが体を張って熱演している。
自分が幼少期に観たテレビドラマの『バットマン』は、ロビン少年を連れ立って、颯爽とバットマンカーに乗り、勧善懲悪な内容で悪党退治する正義の見方だった。しかし、本シリーズからは、ゴッサムシティ―に暗躍する悪党だけでなく、バットマン自身の心の闇にもクローズアップし、コウモリが恐怖の象徴であることも明らかにし、よりダークな雰囲気を醸し出している。
こうした印象は、ノーラン監督のカメラアングルや映像の色彩からも、これまでのヒーロー像とは違う、人間臭いバットマンを描きたかったことが覗える。
そうした練られた演出の面白さもあるが、やはり、本作は表題の通り、バットマン誕生までの過程に面白さがある。つまり、ウエイン家の地下の洞窟をバットマンの秘密基地に改良し、強靭なバットマン・スーツや武器を設え、そして戦車の様に何でも薙ぎ倒していくバットマンカーが滝から飛び出していくシーンこそが、子供の頃のヒーローへの憧れやワクワク感を思い出しさせてくれる。
本作の敵となるのが、あの『ラン・オールナイト』や『96時間』のリーアム・ニーソンが演じている。彼のイメージは、警察やマフィアと対峙しながらも、正義を貫いき最後は悪党を倒す印象が強い。しかし本作は悪玉のラスボス。その分、最初からの凄味のある表情や切れのあるアクションは、ニーソンらしい役所とも言える。また、日本が誇るハリウッド俳優の渡辺謙も、ほんの少し登場していたのは嬉しい限り。
最後には、シリーズ2作目の『ダーク・ナイト』へ続く新たな敵として、ジョーカーの存在が明らかになるオマケつき。