「神威に誓って戦う事が全てでは無い!相互理解が無ければ互いに滅んでしまう。」シサム The silk skyさんの映画レビュー(感想・評価)
神威に誓って戦う事が全てでは無い!相互理解が無ければ互いに滅んでしまう。
ムサシ、いや シサム。 シャザムとも違う。
アイヌ語で和人(アイヌ人以外の者)の事である。(勉強になるね)
アイヌとは 人(人間)て事でもある。
偶然にも北海道の神威岬(カムイミサキ)にも行った事あります。
かつて165年も女人禁制でもあった 積丹ブルーに囲まれた所ですネ。
今日はそんな 「シサム」を観に行きました。
昨今、ゴールデンカムイの影響なのかアイヌに脚光が。
その流れで今作が有るのだろうと言う事は安易に思いつきます。
よって、ゴールデンカムイの様なアイヌ語初心者講座的な所は全くなく
ガチで言葉が入ってきます。
内容的には、映画アバタ-的な感じの流れに捉えられる所もあり、
異なる民族同士がいかに相容れるかでしょうか。
つまり和人がアイヌ民族と過去どの様に接してきたかを訴えてますね。
(良かった所、思った所)
・何と言っても森の中の撮影。山の中をリアルに旅してる感じに成ります。
川土手にフキがいっぱい生えてて、全部取ったら良い山菜料理出来そうって思いました。実際の山中撮影なのが良く分かります。
採光の関係もあり撮影は大変であっただろうと感じました。
・規模は小さいですが山中での戦い場面ですかね。弾丸や矢が観ているこっちの方向に飛んでくる描写が多く有りとっても迫力がありました。矢が飛んできて刺さっているのが結構リアルに出来てて 邦画も中々遣るじゃん~て思いましたね。
・序盤の松前藩が船積で用意したコメ等を浜辺に下ろして一旦保管してる場所。そこが火災消失する場面。絶対燃えるだろうと思ってた。燃えやすい建屋作りに 浜辺であれでは寒すぎる。なんか作りが自体が変に感じました。
・孝二郎がアイヌに助けられて、彼等の生き方や自然界との調和を大切にしている点を学んで行くところは良かった。しかし浜辺で松前藩の3人に見つかり善助とリキアンノが殺されてしまう所を何も出来ずにいるのは ちょっとなと感じた。
一番肝心な所だったのに、何も起こらなくてあっけなくて残念な場面だった。
・シカヌサシが命からがら村に戻ってきて、そこへ孝二郎が松前藩の連中がやって来るから 皆逃げろと警告しに来たところ。
村のアイヌの者達が何処に逃げろと? 今まで平穏無事にここで暮らしてきて何故逃げて行かねばならないと、毅然とした態度を示す所は感動した。
そこへ 松前藩のリーダ-部隊が遣ってきて、村人達と藩の戦闘部隊とが硬直状態に陥るが、孝二郎がアイヌ側に立って ”同じ人間”で誰も藩と戦うものは居ないと諭すところ。 一触即発だったが 鉄砲を下ろした事で戦いは起こらなかった。
しかし、その後 松前藩はどうしたのかが 描かれていない。とっても気になる所。
・松前藩のアイヌ領域を許可なく汚したり、約束のコメの量が勝手に減っているのを突き止めた手帳。折角、砦の者に渡そうとしたが 時が既に遅いとか言って何の役にも立たなかったところ。あれでは善助、兄の栄之助も浮かばれないのでは無いか。結局 自分が色々なアイヌ地域を旅して藩の不正行為を記して行くのだが。
もう一つ意味ある様には感じられないかな。
何時か役に立つって・・・それは今でも残ってたのかな?
・圧倒的に武力が違い過ぎてて、鉄砲と獣狙う弓矢では勝負着いている様なもの。
アイヌ民族資料館にも行ったけど、彼らは至って質素倹約の民族だと感じた。
日本国内においても イスラエルとパレスチナみたいな事が有ったって事、忘れちゃイケないなと感じる。
・素直に感想を言うと、心の奥底に熱いものが湧き起ったのは確かであるが涙流すほどの感動には至らなかった。
きっと自分がその場所を征服した側の和人であるからであろうと、そう思う。
だからこの映画には、アイヌの方にしか伝わらない深い思いが有るのでしょう。
きっとそう感じます。
皆さんがこの映画を観て、互いが理解し助け合いながら生きて行ければと
そう願います。
ご興味ある方は
是非劇場へ!!