「素晴らしかった」ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしかった
今まで"male gaze"で括られてきたことが、
なぜ悪くて、社会にどういう影響をもたらすのかを
多くの映像と、的確な言葉たちで表した一作。
上映中、じっと画面を見入ってしまった。
傷つけられた他者を見て、
私自身も傷つけられていたことを知り、
さらに、自分も無意識に加害者目線を持っていたかもしれない、
という何重にも重なった傷が痛い。
まさに、ブレインウォッシュだ。
斉藤綾子氏のトーク、聞けて本当に良かった。
ローラ・マルヴィの歴史から、
アケルマンがなぜ現代受け入れられているのか、
アニエス・ヴァルダ、エマ・ストーンのアカデミー賞の話まで、ずっと真剣に聞き入ってしまい感銘を受けた。
ご本人が話していたが、「めまい」で映画の概念を変えられたと。そしてそれは同時に本人の思想と拮抗する。
私も同じ経験があった。
私の場合は、「タクシー・ドライバー」だった。
葛藤しながらも、後に「ジャンヌ・ディエルマン」と出会う。
「タクシー・ドライバー」に出会った当時はそれしか観る機会がなかったから仕方なかったのかもしれない。
しかし、このドキュメンタリーが"male gaze"を暴いた今、観るもの、作り出すものは真摯に未来のことを考えていくべきである。
何故ならばそれは、話す当人の物語でもあり
話を聞く私たちの物語でもあるのだから。
あとで論文も読もう。
2024/6/13 2回目の鑑賞
何回観ても、ショッキングである。
特に、「キャリー」と「レオン」が群を抜いてキモい。
キモい、というか悪質やな。
「あなたが私を見ている時、私は?」
という「燃ゆる女の肖像」の一言が響く。
Maregazeが支配していた前半から、
女の解放を描く後半の気持ちよさったらないね。