人生って、素晴らしい Viva La Vidaのレビュー・感想・評価
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生きているからこそ、人生は素晴らしい「Viva La Vida!」
2024.4.30 字幕 アップリンク京都
2024年の中国映画
原案は、朱金平が雑誌「婚姻与家庭」に投稿した記事『最功利的婚姻交易,最动情的永恒约定(2015年)』
腎臓病を患う女性と脳腫瘍の後遺症に悩まされる青年との日々を描いた人生讃歌
監督はハン・イェン
脚本はハン・イェン&ワン・シャオアイ&リー・ヤンウェン
原題は『我們一起搖太陽』で「一緒に太陽を揺らしましょう」で、サブタイトルの『Viva La Vida』は「生きる」という意味
物語の舞台は、中国・湖南省の長沙市近辺
人工透析を始めて4年近く経っている元旅行ガイドのリン・ミン(リー・ゲンシー)は、日々の食事制限、水分摂取制限などと戦いながら、旅行記事の投稿で生計を立てていた
彼女には父(ガオ・ヤリン)と母(リウ・ダン)がいたが、医療が充実していることを優先し、都会で一人暮らしをしていた
ある日、感情を昂らせたミンは、「亡くなったらドナーになってくれる人と結婚したい」という趣旨の動画を闘病コミュニティにアップロードしてしまう
すぐに冷静になって削除するものの、それを見てしまったリュト(ペン・ユーチャン)からダイレクトメッセージが送られてきた
会って説明しようと考えたミンは、指定された料理店に行くものの、そこに現れたのは挙動不審な男で、話している途中にいきなり寝たり、節操のない多言で忙しない男だった
ミンは動画を上げたのは魔が差したからだと言い、今は考えが変わったと告げるものの、リュトはその日を境にストーカーのように付き纏い、病院や自宅まで押しかけてきてしまうのである
物語は、ミンの病状を知ったリュトがドナーになろうと考える流れになっていて、その理由が「悪性脳腫瘍の再発」となっていた
リュトは手術をしなければ助からないが、これ以上、母(シュウ・ファン)に迷惑をかけたくないし、再発は何度でも起こるのでキリがないと考えていた
そして、偶然の出会いを経て、ミンを調べていくうちに「自分がドナーになれること」がわかり、彼女の願いを叶えようと行動を共にしていく
押しかけ女房のようなリュトの行動力に気圧されながら、ミンは次第に彼のペースにハマっていく
そして、「臓器提供のための結婚」へと向かうのだが、「結婚3年以内の臓器提供は違法」であることが判明するのである
いわゆる難病系の映画で、かなりリアルな透析の現場と日常が描かれている
医療監修もきちんとなされていて、少しの油断で体調の激変が起こる様子が刻々と映し出されていく
重くなりそうなテーマだが、リュトのキャラクターがそれを緩和していて、ユーモアと感涙のバランスが良かったと思う
個人的にも透析一歩手前まで悪化したことがあるので(しかも風邪をひいてIga腎症)他人事ではない感じがした
いずれにせよ、リュトの趣味でもある「宇宙との交信」であるとか、他人を信じ過ぎてしまう裏側にあるものもリアルで、短気でイライラしがちなミンがリュトとの出会いによって、少しずつ変わっていく過程は良かったと思う
結末に関しても良い意味で裏切ってくれるので、ラストに向かうキーシークエンスの演出も心に刺さるものだった
腕も肌もボロボロで、顔を横断する傷がある二人だが、依存から支え合う関係になっていったので、とても観賞後感の良い作品になっていたと感じた
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