室井慎次 敗れざる者のレビュー・感想・評価
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11月も楽しみ
とても楽しみにしていて、ハードル上がった状態で見ましたが、とても楽しめました。
和久さんと約束した吉田副総監は約束を果たせなかった。次の世代で室井さんも青島との約束を果たせなかった。ついでに新城は望んでいた出世コースを外れてしまうという。
大きな組織ではそうそう望みが叶えれるものでもなく、寂しさというか悲しみ?残念な思いもあるけど、それが世の中というものなのかなと感じたり。
そんな中、沖田は出世コースを進んでいて(詳しくはわからないがそうらしい)、緒方は警視庁刑事部に行ったり、ライバル?だった遠山は経緯はわからないけど地元の刑務官にと、長い期間の映画ならではの、人生の紆余曲折を見せてもらえました(もちろん青島の現状も)。
こんなところばかりを見ていたわけではないですけど、全体的には室井映画の色合いを出しつつ、笑えるところあり、懐かしいところありで楽しめています。
次のも非常に楽しみにしています。
ただ、室井さんのスーツが焼けてしまって、、、もう終わりってことなら悲しいですが(泣)
最後まで楽しみたいです。
室井さん!事件ですよ
二部作構成になっているのでテンポが良くないように感じました。
一つ一つが長い。長いのに深みがない。
室井さんに言わせたいセリフばかりが先行して、それを二時間という一本の映画の尺に落とし込んだ結果、唐突で、深みがありそうで無い中途半端な人間ドラマを長々と見させられるだけの前編になってしまったという印象です。
中盤から日向杏が登場しますが、後編が控えている関係で大人しかったですね。
何かありそうな雰囲気を匂わせて匂わせて。
これならテレビドラマでやった方がより深く人間ドラマを描けたような気がします。
元々はBSのドラマとして企画されたものだったと聞いて納得しました。
人間ドラマが大半を占めていたので事件の全容もほとんど分かっていません。
"レインボーブリッジを封鎖せよ!"の犯人グループの一人の遺体が、何故室井さんの住む家の傍で発見されたのか。
そして室井さんの正しい出身地は秋田県の"本荘市(現:由利本荘市)"なのに、何故彼は故郷の本荘市ではなく"北大仙市"で暮らしているのか。
そして日向杏の本当の目的は。ラストシーンの「火事」も彼女がやったという証拠はありません。
これらの謎は後編にお預けとなってしまったので、文句を言いつつも観に行かせていただきます。
室井さん!事件ですよ。
いつまで拗ねているんですか。指揮をお願いします!
一度燃え尽きた男の物語
出世争いに負け、目指していたこともできず、自分のできることはすべてやり切った。
情熱の火などは完全に消えた室井慎次。前線を引退し、第2の人生としてド田舎に住んでいるが、それでも周りからはあまり受け入れられていない模様。
そんな中、家の前で埋められた遺体を発見してしまう。
ここから、ゆっくりと物語がはじまる。基本的にこの物語はゆったり進むので、あまり激しい事件解決などを考えてはいけない。
しかし、室井さんが少しずつ巻き込まれながら前に進む姿や、権力や出世のために片意地をはっていた姿ではなく純粋な室井慎次がみえてくる。
彼はもう一度燃えることがあるのだろうか。夢、希望をもって負けた人間には少し刺さる部分がなくもない。表には見せないが、自分なりにがむしゃらに生きている室井慎次が見えてきて、少し感動する。人間模様が丁寧に書かれていて、ストーリーが想像以上に良かった。
やっぱりちゃんと室井さんだった
初めて踊る大捜査線を知ったのは「歳末特別警戒スペシャル」のリアル放送。
当時大好きだったエヴァンゲリオンを上手くパロって使っている演出やBGM、
軽快なテンポで進むセンスの良いストーリーやセリフ回し、
豪華出演者たちの絶妙な演技の掛け合いに思わず笑ってしまう面白さ、
その中で伝わる大事なメッセージの数々にあっという間に魅せられた。
そこからTVシリーズをレンタルで一気見してファンになったのを今でも覚えてます。
中でも終始寡黙で眉間のシワといつも言いたい事をグッと噛み締め飲み込んでいる姿、
雄弁に語る表情と不器用な可愛さが魅力の室井さんが好きでした。
お馴染みのテーマ曲と共に黒コートで颯爽と登場し、キレのある動きがカッコいい。
青島くんや湾岸署の面々に振り回されるたびに反応する表情の豊かさや思わずボソッと一言呟く姿、不器用で武骨な在り方が可愛くて魅力的だなと思ってました。
彼の成長物語でもあるこのストーリーは私にとって本当に大好きな作品でした。
その後。大ヒットしすぎた影響によるフジテレビの販売戦略なのか、
明らかに最初のTVシリーズや歳末スペシャルのテイストとは似て非なる軽薄な別物になって行ったので辟易し見ていなかったのですが、THE MOVIEの1は見事に大好きな要素が復活していて最高傑作。
でもその後の映画第二弾は冒頭でなんか違うと感じて挫折。
個人的に「私の好きな踊る大捜査線」はTVシリーズ・歳末スペシャル・映画第一弾で完了と思っていたのですが。
今回予告を見ていて、今作はまた本当に久しぶりに私の好きになった「踊る~」の室井さんに会える気がしてFODと買ってあったDVDで復習してから観に行きました。
結果は・・・大当たり!!
確かに室井さんでした。
夢破れた、約束を果たせなかったと悔みつつ、でも淡々と前を向きセカンドライフを生きている室井さんでした。組織を変えるという結果は残せなかった。
でも青島くんとの出会いを経て学んだことは彼の中で確かに生きていて。
それが彼の今のあちこちに感じられて嬉しかった。
特に感じたのはタカが犯人と面談する時のあの無神経でムカつく勘違い女弁護士への言葉。「君は被害者遺族への礼儀がなっていない。最初に彼の母親の遺影に手を合わせるべきではなかったのか」
初登場時、雪乃さんへの冷酷な取り調べを強行して犯人逮捕の為だと言い切った室井さんとそれに真っ向から反対した青島くんを思い出しました。
青島くんの信念=目の前で苦しんでいる人を現場で助けるのが警察官だ、
に触れて室井さんはどんどん変わって成長して行ったから。
定年二年前に退職し、無職で犯罪被害者の家族を里子にしている今の姿はとてもしっくりきました。
自分の目の前で助けられる子供たちを助けようとしていて、その子供たちからも学んでいる「まだ一年生でいつも悩んでいる」室井さんは確かに私か惹かれたあの室井さんでした。
彼の人生はあの後も続いていて。その一歩一歩の軌跡が見られて本当に良かった。
相変わらずやたらと四面楚歌状態だし、多くを語らないから誤解もされやすいけど、
芯がぶれない。とにかく不器用。でも大事なことを誰よりも大事にする強さを持っている。
慣れない田舎の暮らしを一から自分の手で創り出した時の様子、それでも一つ一つ手作りして今を作ったんだなあと。
27年の空白の時間この人がどうやって生きてきたのかを知る為に必要な、
丁寧に描かれていた前編でした。でも後編は同時上映にして欲しかった。
その辺りはやはりフジの販売戦略っぽくて嫌だけど絶対観に行きます。
不安要素ナンバー1の杏は母親に似て虫みたいな眼をしてやたらと不気味で不穏だし、
村意識の塊の秋田県民は風評被害レベルで感じ悪い。
残虐で暗い事件がある一方でコメディ要素は随所にちりばめられていて、
やはりこれも私の好きな「踊る」でもあって。上映中も同じところで笑いが起きてました。そうそう、こういう感じだった。無理のない、センスの良いお笑い。二番煎じのわざとらしい不自然な感じとは違うな、と大満足。
欲しい所にすとんと落ちる感覚でのお笑い。
懐かしの湾岸署立ち番コンビや新城もそれぞれ成長していて再会できて。
変わらない在り方と室井さんと彼らのやり取りに感動。
個人的に、映画の2以降や他のTVスペシャル、スピンオフ映画を見ていなくてもわかるように、TVシリーズと映画の1がメイン要素で作られていたのが助かりました。
エンディングや随所で流れる昔のエピソードも有難いことにそのほとんどが大好きで何度も見返したシーンばかりで超感動。
それを経ての「今」。
私の好きになった踊る大捜査線と室井さんの「その後」がまた見れて嬉しいです。
後半の最後に青島くんと再会してほしいなとはやはり思います。
そうすることで室井さんも、そして青島くんも。二人の半生が昇華される気がする。
来月が楽しみです。てかやっぱり同時上映にして欲しかった!!
後編に期待
拘置所の面会シーンでのタカの台詞が凄くよかった。手紙には何が書いてあったのか気になっていたが、この台詞なら、手紙の内容は想像に容易い。
映画全体的にはおもしろかったので、ストーリーは悪くないんだが、作りが雑だと感じた点がいくつかあった。
死体の発見のされ方や、杏の登場の仕方が不自然だったし、杏の素性を知る過程がもう少し丁寧だと盛り上がったと思う。
弁護士もちょっと極端過ぎた。
ドラマや映画の回想シーンの映像はいらなかった。この映画単独で成立してほしかった。
前編がゆっくりな展開だったので、後編では伏線を回収しきれるのか?楽しみだが、中途半端にならないように期待したい。
【敗れない映画】
いまだ実写邦画のダントツ1位を誇るシリーズの集大成。過去映像を懐かしみ、新たな切り口の展開に息を飲む。このシリーズは、やはりいつまで経っても他に敗れない。
◆トリビア
〇公式サイトには、”オールバックはムースで固める”や”美幌署署長時代、人妻と…”など、室井慎次にまつわるトリビアが掲載されている。
〇公式サイトに掲載された室井の”履歴書”には、住所や電話番号、広島県警察本部での経歴、猟銃免許の取得年月等、履歴が細かく記載されている。
〇日向を演じた福本は初の二面生のある役。「(小泉今日子が日向真奈美を演じる)当時の映像を見て、話し方や動きを自分なりに研究した」と振り返る。
◆概要
1997年に放送開始されたテレビドラマ「踊る大捜査線」シリーズで柳葉敏郎が演じる人気キャラクター、室井慎次を主人公に描く映画2部作の前編。
【製作】
#亀山千広
【脚本】
#君塚良一
【監督】
#本広克行
【出演】
#柳葉敏郎 #筧利夫 #真矢ミキ #福本莉子 #齋藤潤 #松下洸平 #前山くうが #前山こうが #矢本悠馬 #生駒里奈 #丹生明里 #松本岳 #佐々木希 #甲本雅裕 #遠山俊也 #西村直人 #赤ペン瀧川 #升毅 #飯島直子 #小沢仁志 #木場勝己 #稲森いずみ #いしだあゆみ
【公開】2024年10月11日
【上映時間】115分
◆
◆以下ネタバレ
◆
◆敗れざる者
過去の名シーンフラッシュバックから入り、それが次第に警察を辞職する室井の姿に変わる冒頭。亀山プロデューサーは、無念で思い破れても室井さんには決して“破れざる者”であってほしいという願望があったと語っている。室井は、過去の事件や新米弁護士の事を鮮明に記憶しており、“あなたはそんな人だ”と松下洸平扮する桜に言われたように、抑えようとしてもどこか室井の中に沸々と湧き上がるものが、劇中で至る所に描かれていた。そんな、警察を辞してなお“思い破れざる”室井の姿の一方で、自らの贖罪のように、事件の犠牲になった孤児を養う室井。タカの母親の仏前への礼儀を弁護士に問う室井は、穏やかにして真をつく里親ぶり。“1年生”ながらも、真摯に子供達に向き合う室井も、“思い破れざる”姿そのものだと思った。
◆懐古
それこそ冒頭のフラッシュバックから、昔の名シーンが劇中に続々と挟み込まれる。杏が作ったオムライスといった間接的なものから、室井が食べていたキムチラーメン、仕込んでいたきりたんぽなど直接的なものまで、当時を思い起こさせるアイテムが続々。レインボーブリッジが封鎖できなかったくだりが何度もしつこく描かれたのは、当時の許可取りに本当に苦労した製作側の怨念めいたものが見え隠れ笑。刑務所で再会した看守との当時の会話がきちんとエンドロールで示されるあたり、ライトファンに優しい演出も。そもそも当時の映像で冒頭とエンドロールを挟むのは、理論的にも感情的にもこの映画そのものが“懐古”に帰着する証拠。映画全体が、いまだに実写邦画でダントツ1位に君臨する本シリーズを誇り、懐かしむ感情で満ち溢れていた。
◆ラスト
室井家の小屋に火がつくラスト。タカが面会室で犯人に真理を説き(あのシーンは口数少ない室井の心をタカが代弁するようで、本当に胸が熱くなる素晴らしいものだった)、そんなタカに“大きくなった”と誇らしげな室井の姿も、“1年生”の室井に“そんな室井さんが好き”と抱きつく愛らしいリクの姿も、室井が小屋の整備に苦労していたフラッシュバックも全て、あの小屋の火がいかに残酷なものか、その振りかぶりの演出だった。室井の当時のコートが火に巻かれるのも、どこか犯人の憎悪が見えるよう。シリーズの実績的にミスリードで大どんでん返し、な展開はあまりなく、杏の仕業という事になるのか。それこそ本作そのものが次回作への大きな振りかぶりな訳で、“生き続ける者”が否応なく気になる終焉だった。
最後に余談だが、洋梨のあった死体発見現場にかけつけた車のナンバーは“04-74”(ようなし)と“08-31”(おやさい)。新城の車は“91-74”(悔いなし?)と、ナンバーに明らかな意味づけアリ。ただし室井の車は“22-74”と、これがどうにも意味が当てはまらない。もし何かお気づきの方おられたら、ぜひご教示ください。
◆関連作品
○「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」('98)
映画版第1作。実写邦画歴代興行収入第3位。FOD配信中。
◆評価(2024年10月11日現在)
Filmarks:★×3.7
Yahoo!検索:★×4.1
映画.com:★×3.6
青島の不在
室井さんが主役という事で笑いは控えめ。警察を退職した後の室井さんを描く。
秋田の田舎で事件で孤児になった子供の里親をしているというのも面白い。
ストーリーは面白い。けど、前編の為、何一つ展開はしてない😊
過去作への目配せも聞いている。劇場版2がメインとなるが、その他の話も関わったり、懐かしい人物が出てきたり。
ただ、テレビシリーズを観続けていた者が見たい室井慎次では無かったと思う。本来観たかったのは、警視庁のトップクラスになって、少しでも既存のシステムを変えようとしている室井の姿だ。それを青島との約束を何一つ果たせないまま退職では、あまりに寂しすぎる。現実はそうだとしても、ドラマとして展開しやすいとしても、あの「踊る〜」という作品は何だったのか?問わずにいられない。
それと、益々、現在の青島が見たくなった。劇場版2の事件は、室井の事件というより、青島とスミレの事件なのだ!
そして、こんな室井を動かすのは青島しかいない!と、彼の登場を待望してしまう。
矢張り、室井さんは青島あってこそ輝くのだと再認識する映画だ。
ただ、後編も観に行くけどね😄
余談だが、続けて鑑賞した「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」とこの映画が対になっている気がした。
#室井慎次
#室井慎次敗れざる者
室井慎次の近況報告です。
踊る大捜査線プロジェクト再始動と銘打って、ドラマの再放送、映画ゴールデンタイム放送と大々的に宣伝しました。でも主人公は室井のみで青島はいません。
これで再始動とはかなりの冒険というより無謀です。
警察を辞めて故郷の秋田へ戻った室井慎次。事件の影響を受けた2人の子供を引き取り、穏やかに暮らしていた。この展開時点で完全なスピンオフの話です。
室井の回想として、ドラマ、映画でのシーンを織り交ぜ室井の胸中を表していますが、話のテンポを悪くするだけで逆効果でした。
警察関係者では有名人という扱いなのに解決した事件内容(レインボーブリッジ封鎖)については知られていません。そしてギャグのようにレインボーブリッジ封鎖を使っている有様です。猟奇殺人犯・日向真奈美の娘登場、レインボーブリッジ事件の犯人が遺体で発見、村人から嫌われていて家が放火される散々盛り上げて終了。
前編、後編とせずにあえて「敗れざる者」としたのならもう少しまとめてほしいと思いました。
そもそも、踊るシリーズは劇場版第2作がピークであり、その後第3作を熱望されるも様々な事情でのびのびとなりついに製作となった第3作は失速し、最後の悪あがきとしてファイナルの第4作を製作するも精彩をかいた出来でしぼんでしまいました。
何故いまさら製作したのか疑問です。題名のとおり踊る大捜査線はとっくに敗れ去っています。後編の「生き続ける者」はしっかりとした展開となっとくのいく結末を願うしかありません。シークレットで青島登場であれば起死回生があるかもしれません。
思ったほど悪くはないけど映画化するクオリティかと言うと疑問
前評判の低さほどは悪く感じませんでしたが後編ありきの作りになっているのは事実です。
前編だけで完結している内容もあるにはあるんですがそれもあくまでサイドストーリーの一つに過ぎずほぼ物語が進展しないまま前編が終わってしまった印象でした。
室井慎次の心情が語られる部分もあり、当時踊る大捜査線も観ていた側からすると引き込まれる場面もあったものの「この内容なら映画じゃなくてスペシャルドラマ」レベルだよなぁという感想を抱いてしまいました。
評価しづらい、が完結編に期待大
室井さんの今、家のすぐ近くで見つかった死体の捜査を軸として、引き取った子供たち、目的不明の少女、近隣住民との関係など、数多くのストーリーラインが展開されます。
人物像など一つ一つが丁寧に描かれていて、引き込まれる。
「どうなるんだろう」というワクワクが止まりません。
評価しづらいのは、そのストーリーラインのうち、カタルシスを得られるところまで展開したのが一つだけ、ということ。その一つは、齋藤潤演じるタカくんが、自身の母親を殺した犯人と拘置所で面会するシーン。それ以外は、どう畳むのかの端緒すらない。今のところは伏線投げっぱなし。
ただ。このシーンは、本当に本当に素晴らしかった。タカが、裁判での証言を迫る弁護士にどう応えるか。室井さんが親としてどうサポートするか。そこで出した結論。タカが犯人と対峙し、血の滲むような覚悟で言葉を振り絞る。「よく言った!!」と声が出そうになりました。涙が溢れて止まりませんでした。今思い出しても泣きそうになります。
前編として、区切り方がぶった切り過ぎて、評価しづらい。単体では成立していない映画です。でも。このシーンがこのクオリティなら、間違いなく、後編には期待していい。そう思いました。
そして、「敗れざる者」とのサブタイトル。これ見よがしにサブタイトルを回収するようなシーンはなかったと思います。でも、散りばめられている。警察組織改革の夢敗れ、「都落ち」した室井さん。しかし「室井が蒔いた改革の芽は、確実に時代に引き継がれ、育っている。」そう感じられるシーンはたくさんあったのではないでしょうか。ここを、どう纏めるのか、ここが後編のクライマックスになるのでしょうか。私はそれが本当に楽しみです。
特大の伏線が山盛り。どうまとめるのでしょう。2時間でまとめられるのだろうか。、心配になるくらい。後編が待ち遠しくてたまりません。
プロローグ映画の是非は?
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
今作は、警察を引退し秋田の山中の池のほとりの小屋に今は暮らしている主人公・室井慎次(柳葉敏郎さん)が、その住居の小屋近くで、過去に室井が関わった事件の刑期を終えて刑務所から出所した犯人の死体を見つけるところから始まります。
ところがこの死体の事件の進展は、今作の映画『室井慎次 敗れざる者』ではこれ以降は実質ありませんでした。
もちろん、室井慎次が里親として引き取っている森貴仁(齋藤潤さん)や柳町凛久(前山くうがさん・前山こうがさん、2人1役)の3人の暮らしのエピソードはありました。
また、日向杏(福本莉子さん)と新しく始まる生活での不穏な場面もありました。
しかしながら、今作からの新しいい登場人物である森貴仁と柳町凛久と日向杏に関しては、人物紹介や序章的な展開しかなかったと思われます。
森貴仁に関しては、殺された母・森麻絵(佐々木希さん)、そして殺した被告とのエピソードはあったのですが、被告を担当している弁護士・奈良育美(生駒里奈さん)の浅はか過ぎる言動も含めて、物語に映画本来の深みを加えるまでは行っていなかったと思われます。
特に弁護士・奈良育美を演じた生駒里奈さんは、他作品では深みある演技もされているので、もう少しリアリティある脚本での人物造形が出来なかったのかが悔やまれます。
弁護士・奈良育美の人物造形が浅くなればなるほど、対峙する森貴仁や殺された母・森麻絵の事件が深みを無くして行ったと思われます。
数少ない新しい登場人物の紹介的なエピソードや序章以外は、過去の登場人物が今どうしているかの短い紹介場面と冗長な過去作の映像が流れ続けていました。
あとは、新撮を含めて室井慎次の過去の振り返り映像でした。
すると次第に、今作の映画『室井慎次 敗れざる者』は、次作の映画『室井慎次 生き続ける者』のプロローグ作品(映画)なんだな、と分かって来ます。
そうすると、プロローグ映画としての今作は是か非か?が今作の評価の根幹になって来ると思われました。
そして、私の評価は非(否)でした。
正直言って、過去作の映像だらけだった今作を観るに、この2時間弱のプロローグ作品はTVの事前SP番組として撮影されたのでは?とは思われました。
仮に、そうではなく、映画作品としてこのように初めから撮影されたのであれば、特に制作のフジテレビや東宝は、映画の観客を舐め過ぎでは?と正直思われました。
そして今作の制作関係者の皆さんは、別作品映画のここ数年の前後編やシリーズ作品の中味の濃さを観た方が良いと、僭越ながら思われました。
ただ、今作はプロローグに留まっており、今作の中味が駄目だからと言って、次作の映画『室井慎次 生き続ける者』が駄目だとは限りません。
今回起こった死体発見の事件が動き出すだろう次作での挽回を、心から僭越ながら願っております。
ファン以外が観にいったら「あの暑苦しそうな人は死んだの?」とか思ってしまいそう
2024.10.16 MOVIX京都
2024年の日本映画(115分、G)
『踊る大捜査線』シリーズのスピンオフ映画
警察を引退した元管理官が事件に巻き込まれる様子を描いたミステリー映画の「前編」
監督は本広克行
脚本は君塚良一
物語の舞台は、秋田県大仙市
定年前に警察組織から離れることになった元管理官の室井慎次(柳葉敏郎)は、里親となって、事件の被害者遺族のタカ(斎藤潤)と加害者家族のリク(前山こうが&前山くうが)を育てていた
タカはもうすぐ進路を決める時期に来ていて、リクは不登校真っ只中だった
室井は何かを強制することもなく自由に育てていたが、現地民たちは快くは思っていなかった
地区長の長部(木場勝己)ははっきりと「出ていってほしい」と明言し、牧場を経営している石津(小沢仁志)もその考えに同調していた
だが、室井はこの土地を出ていくつもりはなく、一定の距離を保とうと考えていた
物語は、室井の住む古屋の向かい側にて異臭騒ぎが起こり、そこから死体が発見されるところから動き出す
秋田県警のみならず、警視庁の捜査一課まで登場する大騒ぎとなり、そこにはかつての部下の緒方薫(甲本雅裕)などもいた
さらに、その死体が東京で特殊詐欺に加担していたメンバーの一人で、かつて室井が捜査の指揮を執ったレインボーブリッジで取り逃した男だった
そのメンバーの一人が殺され、しかもわざわざ秋田に住む室井の目の前に埋められていて、その関連を無視することはできなかった
だが、警察を退いた室井には捜査に参加する権限はなく、距離を置こうと決めていた
映画は、随所に過去作の映像が挿入される内容になっていて、知らない人が見ても何のシーンなのかはわからないと思う
あくまでも記憶の片隅に残っている人向けという感じで、それによって、室井の立場の変化とか、映画には登場しない青島という刑事との関わりを思い出すものとなっている
また、映画は思いっきり「前半」なので、事件と不穏な動きが起こって「後半に続く」という感じになっている
単体で評価できないこともないが、その評価はあくまでも「隠居した室井像」に何を求めるかというもので、彼が立場を越えて捜査に加わる意思の変化を描かれているかを判断するしかないと言えるのではないだろうか
いずれにせよ、後半は来月早々に公開されるのだが、テイストはかなり真逆な展開になると予想される
室井の有能さを見せつける警察ドラマになる可能性が高く、やはり現場に戻ってほしいという渇望を生み出すことになるのだろう
室井自身がどうなるかはわからないが、可能性としての死亡は捨てきれない部分があるので、そうなった時にファンが受け止められるのかは何とも言えない
そうならないことを願いつつも、そう言った危険性がゼロの本部で指揮を執るよりは、前線に出ることで「現場」というものを改めて認識するシリーズになるのかな、と感じた
後編次第という大前提ではあるが
後編を見なければ完全な評価は出来かねるが、とりあえず現時点では前編の出来は良いと感じる。なんというか、「ハズした部分が無い」という感じ。無難とも言う。
まず、日向杏役の福本莉子が素晴らしい。
「あ、こりゃ日向真奈美の娘だわ」というのをすぐに納得出来る、説得力のある演技だった。
それから、今回の被害者がレインボーブリッジの事件の容疑者という設定も良い。
「なぜ今更踊るの続編をやるのか」という問いに対して、「当時のスタッフがそろそろ引退するから」とか「フジテレビがもうひと稼ぎしたいから」みたいな制作サイドの理由ではなく、「昔の事件の容疑者が出所したあとの話をやるからだ」と、ストーリーの部分で正々堂々と答えが出せる設定なので、とてもスマートだ。
出所した元受刑者が社会に馴染むのはただでさえ難しい。あの事件の「洋梨」の彼らなら尚更そうだろう。彼らが出所した後に社会に馴染めずまた犯罪に手を染めるというのは納得感があり、無理のない設定だ。
また、すでに退職した室井慎次が捜査に参加する理由として自然というのも大きなプラスポイントだ。
この映画は恐らく「事件被害者のその後と向き合う」のと同じぐらい、「罪を犯した人間のその後と向き合う」というのがテーマになってくるのだろう。刑務所での面会シーンがそれを象徴していると思う。
だから"洋梨"の彼らを20年経過した今持ち出してきたというのが、決して単なる懐古のファンサービスなんかではないというのが伝わる。きっと後編でそのへんがしっかり掘り下げられるのであろう。
また、室井慎次という人間のパーソナルな部分の描写も、とても丁寧に描かれておりファンとしてはしっかり満足出来るものだった。
今作は制作陣もかなり気合が入っているのが伝わってきたので、後編もぜひ期待したい。
『室井慎次 生き続ける者』に期待したい
2024年映画館鑑賞94作品目
10月13日(日)イオンシネマ新利府
6ミタ0円
TVドラマも劇場版も全て鑑賞
複数回観ました
監督は『踊る大捜査線 THE MOVIE』『スペーストラベラーズ』『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』『交渉人 真下正義』『サマータイムマシン・ブルース』
『UDON』『少林少女』『曲がれ!スプーン』『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』
『幕が上がる』『亜人』『曇天に笑う』『ビューティフルドリーマー』『ブレイブ 群青戦記』の本広克行
脚本は『踊る大捜査線 THE MOVIE』『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』『恋人はスナイパー 劇場版』『容疑者 室井慎次』『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』
『誰も守ってくれない』『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』『これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫』『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』『グッドモーニングショー』の君塚良一
粗筋
キャリアの中では異例の東北大学出身ながら警察庁長官官房審議官交通局担当まで上り詰めた室井慎次だったが盟友青島俊作刑事との約束だった警察の改革を果たせず秋田県警本部長異動を拒否し定年前に退職した
室井は故郷秋田県に帰り長らく空き家だった農家の家を1人でリフォームし農業で自給自足の生活を始めた
人里離れた土地で携帯電話の電波が届かない地域だった
室井は犯罪被害者犯罪加害者の子供を救おうと高校生の森貴仁と小学生の柳町凛久を預かり里親になった
そんなある日に山の中から少女が現れた
杏は無期懲役囚日向真奈美の娘だった
室井は4人暮らしになった
だが地元の人たちは室井を歓迎していなかった
秋田は秋田でも室井は元々この土地の人間ではなかった
そんな折に室井の家の敷地内で異臭騒ぎが起きた
地元の警察官に穴を掘らせたら腐乱死体が埋まっていた
遺体は特殊詐欺グループメンバーの1人だった
警察を辞めた室井だが官房審議官まで上り詰めたキャリア組OBという実績を買われ特別に強制的に捜査に加わるハメになった
室井がなるはずだった秋田県本部長の代役は彼と親しかった新城賢太郎だった
新城からすれば最後が秋田県本部長とは想定外で無念の思いだった
室井ののんびりとした平和な生活は壊された
杏は嘘つきで里親と子供たちの仲を引き裂こうとし幼い凛久は信じてしまうも室井を信頼する貴仁は彼女を疑った
そんなある日に新人弁護士奈良育美が現れた
貴仁の母親を殺した加害者の担当弁護士だった
貴仁宛に何度も何度も弁護士の指示で加害者の反省文を送ったが本人は一度も開封せず読まなかった
そんな貴仁に弁護士は加害者に有利になる証言者として出廷を願った
貴仁は裁判所に出る気は全くなかったが刑務所の接見室で加害者に会うことにした
室井家の物置小屋が全焼した
懐かしい映像の数々
青島俊作(織田裕二)
恩田すみれ(深津絵里)
和久平八郎(いかりや長介)
小原久美子(田中麗奈)
日向真奈美(小泉今日子)
リクくんはなぜか双子のダブルキャスト
双子はともかく舞台なら当たり前だが映画では異例で事情はよくわからない
リクくんがコメディーリリーフ的な役割を果たしているが杏の登場でストーリーはやがて不穏な雰囲気に
二部作
後編の前振り
本格的な忠臣蔵だとむしろ前編の方が面白かったりするけど
佐々木希と生駒里奈は秋田県のバーターだろう
生駒里奈の生唾ゴックンの一場面は偶然かもしれないが彼女なりの熱演で高く評価したい
地元の商店店主を演じるいしだあゆみ
スタイルは相変わらずシュッとしてるが見るからにすっかりおばあちゃんになった
それもそのはず76歳でそれにしては若い
かつて全員集合で荒井注とコントをしていたくらいだからそれを思えばかなり昔の人
彼女が今回演じる市毛きぬも元々地元の人間ではなく東京から引っ越ししてきた余所者という設定
配役
定年前に警察を辞めて故郷秋田に帰ってきた室井慎次に柳葉敏郎
室井たちと同居することになった猟奇殺人犯日向真奈美の娘の日向杏に福本莉子
里子として秋田で室井に育てられてる犯罪被害者の子で高校生の森貴仁に齋藤潤
里子として秋田で室井に育てられている犯罪加害者の子で小学生の柳町凛久に前山くうが&前山こうが
警視庁刑事部捜査1課の桜章太郎に松下洸平[4]
集落の地域課の若手警官の乃木真守に矢本悠馬
森貴仁の母を殺害したヤクザの弁護を担当する新人弁護士の奈良育美に生駒里奈
森貴仁のクラスメイトの大川紗耶香に丹生明里
森貴仁の母の森麻絵に佐々木希
秋田県警察本部長の新城賢太郎に筧利夫
警視庁刑事部捜査1課の緒方薫に甲本雅裕
室井と同郷で警察官から刑務官に転身した森下孝治に遠山俊也
警視庁刑事部管理官の仁狩に西村直人
捜査資料管理センターに務める技術専門官の明石幸男に赤ペン瀧川
警視庁長官補佐の坂村正之に升毅
警察庁長官官房審議官の沖田仁美に真矢ミキ
牧場を営む石津百男に小沢仁志
百男の妻の石津紀子に飯島直子
地区長の長部音松に木場勝己
児童相談所の総務班長の松本敬子に稲森いずみ
市毛商店店主の市毛きぬにいしだあゆみ
タイミング
私ごとだが柳葉敏郎の4学年下、織田裕二の3学年上、10月10日で還暦を迎えた。月末で定年となるのを挟んで前後編が公開されることに勝手に縁を感じる。27年も続くサーガであれば思い入れる部分があって当然。ゆったりと進むストーリーはこちらの思いを膨らませるいいリズムにもなった。
異分子たることが明確になったのちも杏を抱えたまま生活を続けるなど腑に落ちない所はいくつかあったが、ベースとなる男の子2人との田舎暮らしが心地よい。子供達が不器用な室井を安易に嫌わせていないところがいい。
不満な点は音楽。軽い所でいかにも軽い音楽が流れるなど古い印象。(ちなみに松本晃彦でないのは何故かとググっていて盗作疑惑を今更発見、オリジナル曲を聞いてその再現度に呆れた。感動していた自分の過去を返してくれ…。)
次回の登場人物も少し明らかになり、興味はスパイダーマン・ノーウェイホーム的なところに行ってるマタゾウであった。
ちなみに小泉今日子ファンで今年も2回ライブに行く予定。映画にドラマに主演客演が続き、間違いなくシーズンが到来して行くであろう。
何故今「踊る」?しかも「室井慎次・・・」?その疑問への答えは無かったが、松下洸平演ずる桜章太郎の発言の意味とは?
今、何故「踊る大捜査線」?しかも「室井慎次・・・」なの?と思った方は多いのでは無いかと思う。
かくいう私もその疑問の答えを知りたくて映画館に足を運んだが、本作にその答えは無かった。
二部作の前編、何故今「踊る・・・」なのかの疑問は全くわからないまま、伏線残しまくって前編終了・・・か?
「踊るプロジェクト再始動」「あなたはまだ、室井慎次の全てを知らない」「踊るの時間は止まっていなかった」「”約束”と”家族”そ守れるのか」「そして、君たちを、信じる。」
キャッチコピーの盛り上げ方は相当期待度が高い。
伏線かわからないが気になるシーンがあった。松下洸平が少しだけ登場し、しかも不自然なほどこの前編で活躍しているという訳では無いにも関わらず、登場と共に「すぐに熱くなりますよ」「捜査に協力してください」「これは室井さんの事件でもある」など後編に続く意味深な発言が飛び交う。
TBSドラマではあるが「最愛」で刑事役を好演した松下、織田裕二演ずる青島が登場する事がない「踊る大捜査線シリーズ・続編」を製作するとしたら面白いキャスティングかと思うのだが・・・そんなどんでん返し・・・無いか・・・。
踊る大捜査線シリーズと言えば、日本エンタメ界に不滅の金字塔を打ち立てた作品と言っても過言では無い。ドラマ初回視聴率は飛び抜けた数字では無いものの、その後じわじわと伸びて最終回は20%超え、その勢いで作られた映画も、当時(アニメ以外)邦画は無くなるのではないかと危惧されるほど観客動員も収入も落ち込んでいる中での大ヒット、2作目では実写邦画歴代興行収入第1位を未だ抜かれて無いという異例の大ヒットを記録した作品である。
スピンオフ作品も公開当時の流れの中で公開されてるなら違和感も無い。しかしシリーズ前作「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」から12年も経っての公開に、何かしら”今公開する事”の意味が示されるかと思ったが、前編からは全くその意味は感じ取れなかった。
とりあえず、その答えがあると期待して後編も観に行くだろうが、今のところ評価はできない。
『踊る・』シリーズはそれまでの、またそれ以降の刑事物ドラマとは一線を画していた。
刑事物というよりは、「本庁の官僚主義 vs 所轄の現場主義」といった構図がキモで、組織の縦割りとその弊害が話の本筋。悪者は犯人というより縦割り警察組織におけるキャリア官僚そのもの。そして一般の公務員である現場”刑事”達が”警察”という巨大な組織に抗うさまが痛快で面白かった(室井管理官は、そんな”悪者”官僚に風穴を開けるべく密かに立ち向かう役どころだ)。
この構図はシン・ゴジラも全く同じで、巨大不明生物出現という国家の非常事態に対し、組織の手順を踏まないと何もできない役立たずなエリート達(政治家・官僚、有識者と言われる学者達)と、「出世に無縁な霞が関のはぐれもの、一匹狼、変わり者、オタク、問題児、鼻つまみ者、厄介者、学会の異端児」というさまざまな肩書き・個性をもつ「くせ者」たちが縦割りをぶち抜いて”怪獣”を倒す、という設定だ。
キャッチコピーは「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」
怪獣映画でありながら、『“日本”という“組織”において、“ゴジラ”という想定外の現実に何も対処できない政治家や官庁に対する皮肉が込められた社会派作品』という本質が、多くの観客の心を掴んだ。
それは「踊る・・・」シリーズの本質とも共通している。
ただ本作には、そんな踊るシリーズの本質は影を潜めている。
後編を見れば、答えが見つかるのかもしれないが、相当意味深な伏線の張り方をしているので果たして回収できのだろうか?よほどのどんでん返しが無いと回収しきれないのではと余計なお世話かもしれないが心配だ・・・。
踊るファンにはただ続編が公開されただけでも良いのかもしれないが、スピンオフとは言え継続した話の流れで作られた続編ではあるので、作品が持っている本質・方向性は失わないでもらいたい。
前編で良かったのは、福本莉子演ずる日向杏の演技かもしれない。決して多くを語ってるわけでは無いにも関わらず視線だけでこの作品を支配していると言っても良いほど脳裏に残った。だてに東宝シンデレラグランプリを取った訳では無い、これからの活躍が楽しみな女優だ。
矛盾点は回収されるのか?
過去作品の映像を混ぜ込み、更に当時はちょい役だった人達が昇進し室井さんの前に現れ「あー、はいはいはい。居た居た(笑)」と一気に懐かしさが込み上げました。
退職し故郷でひっそりと暮らしていた日々が、一体の遺体が発見された事に由り喧騒に巻き込まれて行く室井さん。
村人には「あんたが死体なんか見付けるから!」って嫌味を言われていたけど、アレ室井さんが発見した訳じゃ無くね?散歩させていたおじさんが(と言うか犬が)第一発見者じゃ無いんですかね?
新城さんの「捜査の基本は第一発見者を疑え」は、犬のおじさんが犯人だと指しているとしても………
多少の距離はあれども、あんなに見晴らしの良い向かい岸に、誰の目にも留まらず、かなりの深さの穴を掘り、遺体を埋めるのは無理じゃね?
街灯が無いから夜に?音が響くよね?
多少の音なら分からない日中?タカは学校、室井さんは畑仕事をしていて気付かなかったとしても、リクが気付く可能性大だよね?
村人全員で協力して短時間でやったにしても、だったら山に遺棄した方が見付かる可能性は低いと思う。
ラストの火事は、杏が故意に火を付けたと思わせておいての過失だと思う。
何にせよ生き続ける者を見ないとモヤモヤしたままになるので、或る意味監督の思惑通りですかね?(笑)
リタイア後の室井さん
リタイア後の室井さんの生きざまがメインで、徐々に事件に関わらざるを得なくなっていく前編。
組織を変えられなかった室井さんの無念さや、試行錯誤しながら子どもたちと接する姿は観ていてグッときました。
なんだか場違いな感じがしたのは、やたらテンション高いだけの秋田県警の警官、やたら分かりやすく性悪に演じる女弁護士、捜査一課のやたら生意気そうな若手刑事。
室井さんや子どもたちの深みあるやりとりに対して、彼らは軽い演技に見えて物足りなかった。
(事件に対して)「あなたもすぐに熱くなっていきますよ、私には分かる」というセリフを言わせるなら、あんな若手ではなく新城さんに言わせてほしかったです。
捜査に関わっていくと同時に、子どもたちとの問題も大きく発展。
後編での解決とテーマ回収に期待して、来月も観に行きます。
変な新キャラは、いらないです(笑)
新城の心情
既に観られた先人たちのレビューを拝見するに、おそらく次作品を観るまでスッキリしないのかな?と思ったんですが、実際に観てみると、本作だけでも、『踊る』ファンに、は充分楽しめるものでした。
ただ、本作を映画作品として、過去シリーズと関係なく初めて観る人にとっては、確かに消化不良な部分が、ちらほら。
おそらく次作は、リクと杏のエピソードか柱になるのでしょうけど、、、なんとなく青島刑事の現在も語られたようだし、スピンオフではなく本編シリーズの続編に繋がるのかなあ?
個人的には、新城元管理官のボヤキがツボでした。室井さんと違って着実に出世して、本当なら長官とか総監とか目指していたはずなのに、、、かなり無念でしょうね。
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