劇場公開日 2024年10月11日

「人間「室井慎次」の物語」室井慎次 敗れざる者 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人間「室井慎次」の物語

2024年11月15日
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鑑賞方法:映画館

踊るシリーズのムービー1.2.3と「容疑者 室井慎次」を復習の為に見直してから本作を鑑賞した。
室井は自身が望んだ組織改革審議委員長を5年勤めたが成果を出せず、その後交通局担当をしたが定年前の57歳で警察庁を辞めた。最終の職位は警視監である。キャリアであればたどり着ける職位とはいえ巨大な警察組織の上位40名位なのだからかなりの出世はしているが、最上位である警察庁長官や警視総監にはなれなかった(日本を代表する大企業であれば取締役にはなれたが社長や会長にはなれなかったという感じか)。ましてや青島刑事との約束(上に行って警察組織を変える)を果たせなかった。だから室井にとっての自分は「負け犬」と卑下してしまうのだろう。
映画は2部作の前編なので物語の本筋に向けてのイントロダクションの意味合いが濃いが、私は 人間「室井慎次」が仕事一筋の人生の中で作れなかった「家族」というものを如何にして築こうとしているかを知ることが出来、温かい心持ちになれました。特に母を殺されたタカが裁判中の犯人と拘置所で対峙するシーンとその前後の室井とのやり取りは感動を呼びます。後編でリクや杏とのやり取りもおそらく「家族」を感じとれる物語にしてくれるのでは?と期待してしまいます。
皆さんのレビューの通り過去の踊るシリーズの回想やカットがかなり多いので楽屋落ちになり過ぎないようにすべきと思いますが、人間「室井慎次」のドラマとして丁寧に作られていますので、観る側はピュアな気持ちで向き合うべきと思います。

アベちゃん