「拝啓、亀山千広様。」室井慎次 敗れざる者 deepbaseさんの映画レビュー(感想・評価)
拝啓、亀山千広様。
踊るシリーズのファンとして、まずはこの映画を作って下さった事に、本当に感謝しています。
青島俊作は太陽のような存在だと常々思っています。
ならば室井慎次は言ってみれば月のような存在、かと。
太陽のような人間は放っておいたってどこでも輝ける。でも月は太陽の光がなければ輝けません。
室井さんは青島の存在により考えを変え、信念を持って日々戦ってきた。
「事件は会議室ではなく現場で起きている」と青島は言い放ったけど、室井さんには彼なりの、物語には現れない彼自身の戦いが数多くあったはずです。
そしていつしか戦いに敗れ、夢敗れて警察を辞め、地元へ「逃げてきた」「負け犬」(室井本人弁)のその後の物語です。
常に輝ける太陽よりも、光の当たり方でその形を変える月のような人間の物語を見たかった。
ちなみに自分は2回鑑賞しました。
1度目は冒頭から感極まり、涙腺ゆるゆる。
それが森山さんとの邂逅のシーンで遂に決壊し、その後まともに見る事が出来なかったため笑
気掛かりである青島との約束の行方については、後編で何らかの回収があると信じています。
恐らく、青島が現在所属しているという本庁の捜査支援分析センターも後編では関与してくるのではないかと。
ちなみにこの部署は実際に存在しており「防犯カメラなどの画像処理及び顔画像照合に関することも行っている」(Wikipediaより)そうなので今回の事件では充分に活躍の可能性がありそうですし、何よりそうでなければわざわざ新城との会話の中で青島の現状に触れる事も無かっただろうと笑
でも個人的には、青島は室井さんほど約束の事は気にしていないんじゃないかな、と。
自分と志同じ人間が上にいて見守ってくれているだけで嬉しく、心強かったでしょうし。それこそ何より太陽のような存在ですから笑
今回の捜査の過程で青島からの何らかのメッセージなどあっても良いのではと想像しています。
これが室井さんの最後の事件になるそうなので、何とか救ってやって欲しい。
約束に縛られ、それを果たせず後悔の念に苦しめられている責任感の強い男を解放してやって欲しい。もう充分戦ってきたし、後はかつての和久さんと吉田副総監のように後世に託しても良いのでは。
後編に期待する事はただそれだけです。
「敗れざる者」というタイトルの本当の意味は後編「生き続ける者」で知る事になると信じます。
自分にとって大切な作品になりました。
改めて、この物語を作ってくれて、本当にありがとうございました。
余談ですが…
「あぶない刑事」シリーズも大好きなため、室井さんが里子であるタカの名前を呼ぶ度、自分はやや過剰に反応してしまいます笑