「評価しづらい、が完結編に期待大」室井慎次 敗れざる者 YU–GOさんの映画レビュー(感想・評価)
評価しづらい、が完結編に期待大
室井さんの今、家のすぐ近くで見つかった死体の捜査を軸として、引き取った子供たち、目的不明の少女、近隣住民との関係など、数多くのストーリーラインが展開されます。
人物像など一つ一つが丁寧に描かれていて、引き込まれる。
「どうなるんだろう」というワクワクが止まりません。
評価しづらいのは、そのストーリーラインのうち、カタルシスを得られるところまで展開したのが一つだけ、ということ。その一つは、齋藤潤演じるタカくんが、自身の母親を殺した犯人と拘置所で面会するシーン。それ以外は、どう畳むのかの端緒すらない。今のところは伏線投げっぱなし。
ただ。このシーンは、本当に本当に素晴らしかった。タカが、裁判での証言を迫る弁護士にどう応えるか。室井さんが親としてどうサポートするか。そこで出した結論。タカが犯人と対峙し、血の滲むような覚悟で言葉を振り絞る。「よく言った!!」と声が出そうになりました。涙が溢れて止まりませんでした。今思い出しても泣きそうになります。
前編として、区切り方がぶった切り過ぎて、評価しづらい。単体では成立していない映画です。でも。このシーンがこのクオリティなら、間違いなく、後編には期待していい。そう思いました。
そして、「敗れざる者」とのサブタイトル。これ見よがしにサブタイトルを回収するようなシーンはなかったと思います。でも、散りばめられている。警察組織改革の夢敗れ、「都落ち」した室井さん。しかし「室井が蒔いた改革の芽は、確実に時代に引き継がれ、育っている。」そう感じられるシーンはたくさんあったのではないでしょうか。ここを、どう纏めるのか、ここが後編のクライマックスになるのでしょうか。私はそれが本当に楽しみです。
特大の伏線が山盛り。どうまとめるのでしょう。2時間でまとめられるのだろうか。、心配になるくらい。後編が待ち遠しくてたまりません。