「二部作というよりは前編」室井慎次 敗れざる者 sayさんの映画レビュー(感想・評価)
二部作というよりは前編
正直、ワクワク感半分、まだ擦るのかという気持ち半分で観に行った。
晩節を汚すというほど駄目だとは思わないが、面白いとも言えない。
エンタメ作品なのだから
シリーズを見たことがない人でもある程度理解して
楽しめる内容にすべきだし
二部作とは言え別々の物語なのだから、一定の終息は見せてほしかった。
これでは単に踊る公式ファンムービー前編である。
全部散らかしっぱなしで大して切りも良くないところで
物語が終わってしまったし、タイトルで『敗れざる者』と謳いつつ
内容はずっと自分は負け犬だ、という人の話だった。
過去の映像が挟まれたり、過去作に出ていた人が出てきたり
「約束を果たせなかった」という室井さんの言葉だったりで
うるっとはきてしまう。
しかしストーリーや演出が良かったかというと
結局過去作が好きでその歴史をリスペクトしているだけで
けして本作が面白かったとは言えないと思う。
全体的に演出がしつこい。
若手警官の乃木と桜が特にうざったい。
レインボーブリッジが封鎖できなかったもちょっとしつこかった。
タカにつきまとう弁護士も非常にうざかったし
お父さん一年生だからどこまで干渉してよいかわからない
ということだったのかもしれないが、
保護者としては面会に行かせる必要はなかった。
立ち会ってくれたこと、弁護士を退けたところは恰好よかった。
タカが室井さんを尊敬してくれているのは良いのだが
それならここまでにもっとそういう描写があって良かったと思う。
タカの言葉を聞いてあんなに態度が悪かった犯人が
あっさり罪を認めるのも随分な展開だった。
本作をタカの話、自作をリクとの話をメインにすれば良いものを、
そうするにはタカ周りの描写が浅いし杏がノイズ過ぎる。
遺体が見つかって平和に暮らしていたのに警察に引き戻される
みたいな話なのかと思ったら
それにしては色々盛り込みすぎで雑音が多い。
警察でも村でも異端児扱いされている姿は気の毒だし、
村の寄り合いに出ずに白い目で見られるのはあるあるだとしても
害獣駆除を手伝えと言ってひとりだけハンターベストもなく
目立たない格好をさせられ誤射に見せかけて撃つ気なのかと思う演出は
どういう意味があったのか。
諸々次回作できちんと回収されるのだろうか。