「わざわざ2部作にする必要はあったのだろうか?」室井慎次 敗れざる者 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
わざわざ2部作にする必要はあったのだろうか?
室井が過去に関わった事件の犯人の1人が遺体で発見されたり、別の事件の犯人の娘が転がり込んできたりと、新たな事件の発端は描かれるものの、その後は、一向に話の進展がない。
結局、室井が里親として引き取った高校生の少年が、刑務所で、彼の母親を殺したヤクザと対面する場面が、本作での一番の見どころになっているのだが、どうしても本筋から外れたエピソードにしか思えないし、物語としてのテンポの悪さも感じざるを得ない。
ほとんどの出来事が第2作へと引き継がれ、本作ではほとんど何も決着しないところを見ると、どうして2部作にしたのかが理解できないし、2本分の映画の興行収入を稼ぐために、わざわざ2部作にしたのではないかとさえ勘ぐりたくもなる。
いずれにしても、本シリーズの最大の魅力は、「キャリアの警察官僚と現場の刑事達との軋轢と確執」にあると言っても過言ではなく、過去の回想ではそうしたシーンが度々出てくるものの、本編でそうしたことが描かれないのは、やはり物足りないとしか言いようがない。
これについては、警察の組織改革を成し遂げられず、自分を「敗者」だと思っている室井が、今後、どのようにして、そんな自分に折り合いをつけるのかに期待するしかないだろう。
その一方で、30年近い月日の流れを見届けるに当たっては、「キャリアの警察官僚」である室井だけでなく、「現場の刑事」の代表である青島にも登場してもらいたかったと、どうしても思えるのである。
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