劇場公開日 2024年7月19日

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「新たな世代へバトンタッチ」逃走中 THE MOVIE sumichiyoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0新たな世代へバトンタッチ

2024年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

萌える

逃走中は10年ほど見てなかったけど、何となく興味本位で鑑賞しました。が、バラエティ番組の映画化と思えないほどの青春ドラマになっていた。青春ドラマ!?

物語の舞台は東京、数年前に都内の高校を卒業した元男子陸上部員の6人が主人公となる。とある理由でバラバラになった6人はバラエティ番組『逃走中』の一般人参加型企画で再会し、陸上部時代の想いや後悔と向き合いながらゲームに挑んでいく。当然、普通の逃走中でなく、未知の人物の干渉を受けたデスゲームに。

単純に逃げ切るドラマかと思いきや、逃走中は舞台でしかなかった。現在の6人は進学や就職などそれぞれの道を歩んでいるのだけれど、「バラバラになった元陸上部」という点で関係性は何となく理解できました。そして、その青春時代の唯一無二の感情も。苦い思い出ほど記憶を占めてしまう。6人が逃走中を通じてわだかまりを解いていく姿を、いい大人ならいい懐かしさと、これからの若者なら青春の手本と感じてほしいですね。

ゲーム自体はあの逃走中そのもの。近未来ドラマ仕立てのメインストーリーはさっぱり。ある意味、見せ場と言えるハンターに確保されるシーンでがんばる有名人もちらほら。やはり、台本ありきのドラマなだけあってゲームパートは控え目でした。

主役の6人は存じませんでした。グループ名も全然。でも、みんな個性を持ちつつ、元陸上部らしい爽やかで真っ直ぐな演技ができていた。普段のグループ活動通りなのかも。エースとして突っ走る大和役の川西拓実さん、和を保とうと努める少し内気な瑛次郎役の中島颯太さん、仲間にコンプレックを抱きながらも仲間のために尽力する賢役の木全翔也さん、苦労人だが仲間との思い出を大事にする勇吾役の金城碧海さん、仲間をまとめるムードメーカーの陸役の瀬口黎弥さん、負い目のせいかなかなか打ち解けられない譲司役の佐藤大樹さん。みんな、素顔と演技の間をとったようなフレッシュな印象でした。

改めて、逃走中の懐かしさとバラエティ番組の底力を感じました。ネットやYouTubeが台頭して数年、同じような動画が目につき、断片的な情報が流れてくる。私自身もネットを多用しますが、家族で話題になる話は断片的だったり。ふと当時の逃走中の出走者の他愛ない賞金の使い道が本心すぎたのを思い出し、ふらっと足を運んだ程度ですが、逃走中は最初から最後まで見せ場がありましたね。本作はドラマ仕立てなのでまた違った視点で見ないといけませんが、これはこれで新しい世代が慣れ親しんでくればいいかなと。今後、様々な長寿バラエティ番組で劇場型ドラマが展開していくメディアミックス作品が作られるたりすると面白いですね。

暴走ハンターは特別な個体と思ったけど、やはり初放送からのハンターさんでしたか。すごい。

澄千代