「達観したって事か」港に灯がともる Mackintoshさんの映画レビュー(感想・評価)
達観したって事か
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初め、理由はよく分からないけど、倦怠した雰囲気から始まり、喧騒、慟哭、嗚咽を伴って不和が表現される。理由を仄めかすワードはで始めるが、ハッキリとは語られず、それを内に秘めたまま家庭と個人が壊されて行った。そこから順を追っての元への再生ではなくてリノベーションの話。
もっとはっきり主人公家族に具体的に起こったトピックを創作してくる筋書きかと思ったけど、そうじゃなく普通の生活を営んで来た普通の人達の過去と現在を何重にも重ねることで、生きていれば誰にでもある・あった観客個々の不安や不満などの経験を想起させ、登場人物達の情緒に寄り添わせる事で、映画のメッセージを自然と吸収させようとしていたように思う。
ちょっと引っかかったのは、比較的診療所を早く退所して就活した事。あの辺りの時間の進み具合がよく認識出来てないけど、発作や症候群めいたものは時折その後も表現されていて、秘密にしてでも診療所に通いながらという演出を取らなかった趣旨は何だろう?と思った。完治といかなくても復調のきっかけを掴んだのは分かったんだけど、あの辺りの心と身体のバランスの演出の仕方が、映画の主題がボヤけるとしても、その設定にして、アノ長回しを入れ込むぐらいなら、もう少し大事に扱っても良いのでは?とは感じた。
それよりもそんな状態にしたであろう原因の一つ一つを同時に潰しに行けるだけの強さがあったって事なんだろうか。。。
全体的には、よく考えて作られている良作なのは間違いない。
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